2015年9月から11月まで南米ベネズエラのカナイマ国立公園に滞在してきた。
カナイマ国立公園といえば、世界最高落差の滝エンジェルフォールがあるギアナ高地が有名である。
ぼくの滞在目的はカナイマ国立公園に住む少数民族ペモン族に農業を教えることだったが、農業指導の仕事を終えた後には最大級のテーブルマウンテンであるアウヤンテプイにトレッキングすることになった。
アウヤンテプイはエンジェルフォールが流れているテーブルマウンテンで、トレッキングコースが整備されていないので登る人は非常に珍しい。
このトレッキングは往復5日間で、人生の中でもトップクラスに濃い5日間になった。
そんな貴重な経験をできたので、少しずつこのブログで紹介することにする。
そこで今回は、アウヤンテプイトレッキングの一日目の様子を紹介しよう。
南米ベネズエラのカナイマ国立公園
まずは南米ベネズエラのカナイマ国立公園について紹介しよう。
1.世界一危険なベネズエラの首都カラカス
日本からカナイマ国立公園へ行く場合には、ベネズエラの首都カラカス経由が一般的。
しかし、カラカスは世界一治安が悪い都市といわれており、今も食料不足が発生しておりデモや略奪が相次いでいる。
ぼくもカラカス滞在中に襲われそうになり、怖い思いをした。
参考:ベネズエラの首都カラカスの治安は東京の100倍危険!目の前でひったくりが起き犯人がボコボコにされた
しかし、カラカスで知り合った友人たちは優しかったし、美女が多くて感動した。
ベネズエラは世界一の美女を決める美女コンテストで最も優勝者が多い国。
カラカスには2週間ほど滞在しており、ショッピングモールに行ったり公園に行ったり楽しんだ。
ただし、アジア人に対する差別も他の中南米諸国よりも強く感じたので、住みたいとは思わなかった。
参考:世界一物価が安い南米ベネズエラのマクドナルドでハンバーガーが不人気な理由は「熱い犬?」
2.カナイマ国立公園のエンジェルフォール
カラカスからカナイマ国立公園へ行く方法は、飛行機が一般的。
まずはシウダー・デ・ボリーバルという地方都市まで飛行機で行き、そこで飛行機を乗り換えてカナイマという村へ行くのが有名なルート。
ぼくはプエルト・オルダスまで飛行機で行きそこで一泊して、翌日に車でシウダー・デ・ボリーバルまで行き、そこから小型機でカマラタという集落へ到着した。
そして、カマラタから同じ小型飛行機でカバック村へ向かった。
①成田→②メキシコシティ→③カラカス→④プエルト・オルダス→(車)⑤シウダー・デ・ボリーバル→⑥カマラタ→⑦カバックの順路で行ったので、日本から数えると片道だけで5回も飛行機に乗っている。
カナイマ国立公園は秘境なのだ。
こちらが飛行機の中から撮影したエンジェルフォール。
3.カバック村に47日間滞在して農業指導
ここがカナイマ国立公園のカマラタ集落の位置。
カマラタには電気も水道もある。
カマラタからカバックまではバイクで片道一時間くらいの距離だが、ぼくは小型飛行機に4分くらい乗って移動した。
飛行時間の人生最短記録である(笑)
これがその時の記録動画なので、ぜひ見てほしい。
※動画は栗原さん(@kurit3)にもらったGoproを使って撮影している
こちらがカバック村の場所。
すぐ左隣にあるのがエンジェルフォールが流れるアウヤンテプイ。
カバック村には電気も水道もない。
カバックの周辺には滝や渓谷などの大自然スポットがあったので、たまに遊びに行っていた。
その中でも一番感動したのが、こちらのカバック渓谷
この渓谷の凄さをなんとか伝えたいので、この動画を見てほしい。
伝わったかなー?
ベネズエラの大自然はやばくない!?
こんな場所に47日間も滞在していたので、最高な思い出がたくさんできた。
農業指導の様子はこちらの過去記事を。
参考:ベネズエラのカナイマ国立公園に暮らすペモン族の村で47日間農業を教え、テーブルマウンテンに登頂したよ
幻の秘境アウヤンテプイに登ることにしたよ
カバック村に滞在して一ヶ月経つと農業指導の仕事も一段落したので、アウヤンテプイにトレッキングすることにした。
1.ギアナ高地とは?
ギアナ高地とは、南米大陸の北部に位置する高地帯のこと。
20億年から14億年前に堆積した岩盤が剥きだしになっており、世界最古の大地といわれている。
ギアナ高地(ギアナこうち、西: Escudo guayanés、葡: Planalto das Guianas、仏: Plateau des Guyanes)は、南アメリカ大陸の北部、オリノコ川、アマゾン川、およびアマゾン川の支流の1つ、ネグロ川に囲まれた地域に存在するコロンビア、ベネズエラ、ガイアナ、スリナム、フランス領ギアナ、ブラジルの6か国と地域にまたがる高地帯である。
(中略)
ギアナ高地を形成している岩石は、主に20億年から14億年前の先カンブリア時代に堆積した砂岩や珪岩からなり、擬似カルストを呈し、巨大な縦穴の存在が知られている。
アウヤンテプイとほぼ同じ大きさのロライマ山は、「失われた世界」のモデル。
ロライマ山はトレッキングの人気コースで、ヘリコプターで山頂に上陸することもできる。
ロライマ山はアーサー・コナン・ドイルの小説『失われた世界』の舞台にもなった。またロライマ山やエンジェルフォールを含むカナイマ国立公園は世界遺産(自然遺産)にも登録されている(1994年)。
2.アウヤン・テプイとは?
テプイの意味は山で、アウヤンの意味は悪魔や黄金などいくつかの説があるが、「悪魔の山」と訳されることが多い。
多くのテプイは断崖絶壁により「陸の孤島」状態になっているので、独自の生態系を持っている。
エクアドルのガラパゴス諸島と似た状況なのだ。
そして、世界最高落差のエンジェルフォールが流れている。
周囲約650km。「頂上台地」とも呼ばれる頂上のテーブル状の地形は、総面積にして東京23区を上回る広大なものであり、この中に小さな山もあれば川もあり、それ自体で一個の生態系を形作っている。上から見るとおおよそ馬の蹄のような形をしている。
頂上台地の一角からは世界最大の落差979m (3,212 ft) を誇る滝として有名なエンジェルフォールが流れ落ちる。もっとも、この滝だけが特別高所にあるわけではなく、テーブルトップマウンテンの特徴として、頂上台地の切り立った断崖はほとんどが同等程度の高度を持っている。
この写真の後ろに写っているのがアウヤンテプイ。
今考えてみると、頂上まで歩いて登るなんて正気じゃないよね。
3.アウヤンテプイトレッキングは超レアな体験
ぼくがアウヤンテプイのトレッキングに興味を持ったのは、これが超レアな体験だから。
アウヤンテプイのエンジェルフォールを見るボートツアーは有名。
ロライマ山のヘリコプター上陸ツアーも有名で、ロライマ山のトレッキングツアーも有名。
しかし、アウヤンテプイのトレッキングツアーは超マニアックなので、日本人でこれを経験したことがある人はほとんどいない!
だったら、やるしかない!!
4.カバック村はトレッキングの出発地
幸運にも、ぼくが滞在していたカバック村は、アウヤンテプイトレッキングの出発地。
農業を教えていた家族はトレッキング客向けのロッジを経営し、ガイドもしていた。
そこで彼らにお願いして、ペモン族のガイドを手配してアウヤンテプイにトレッキングすることにした。
5.通常は7日間だけど急げば5日間で往復できるらしい
通常のアウヤンテプイトレッキングは7日間の期間が必要だけど、若者が急げば5日間で往復できるらしい。
そこで5日間で挑戦することにした。
15日間のツアーならばエンジェルフォールまでたどり着けるそうだが、さすがにそれは費用が掛かり過ぎたので今回は諦めた。
カバック村からアウヤンテプイの頂上までは、4つの断崖絶壁を登る必要がある。
1日目に1個、2日目に2個、3日目に1個超えれば、3日目には頂上で宿泊することができる。
そして、4日目に下山を始め、5日目にカバック村まで帰ってくる。
5日間のアウヤンテプイトレッキングの1日目を紹介するよ
今回のアウヤンテプイは5日間かかったので、一日ずつ紹介していくことにする。
まずは一日目の様子をお教えしよう。
1.トレッキングの準備
まずは一緒に働いていたペモン族のみんなに、アウヤンテプイトレッキングについて聞き込み調査をした。
情報の準備
返ってきた答えはこんな感じ。
・めっちゃくちゃ辛いけど、感動するよ
・ロープを使って絶壁を5回登るよ
・岩の下で寝るよ
・足を踏み外すと死ぬよ
・頂上の川で泳ぐと気持ちいいよ
なるほど。
荷物の準備
荷物も準備した。
・バックパック
・一眼レフカメラ
・交換レンズ3本 ←後に大後悔!
・Gopro
・モバイルバッテリー
・充電器
・レインコート
・着替え
・タオル
・洗面用具
・ヘッドライト
テントと寝袋、食料はガイドが用意してくれ、水は川の水を汲んで飲んだ。
2.出発は夕方15時
出発したのは夕方15時。
まずはカバック村からバイクの後ろに乗って1時間走り、ウルジェン村の先まで移動した。
ウルジェン村もトレッキングツアーの拠点。
今回のトレッキングツアーには、旅行会社オンリーワントラベルのガイド本庄さんも一緒に参加した。
本庄さんはぼくと一緒に47日間カナイマ国立公園に滞在していた。
現在、本庄さんとは次のウユニ塩湖環境改善プロジェクトのために、ウユニ市長など関係者と連絡を取り合い準備を進めている。
3.16時に歩き始めると同時に豪雨が降り始める
草原でバイクを降り、ついにトレッキングツアーが始まった。
ガイドは20代のペモン族の男性2名で、ぼくと本庄さんと合わせて合計4名。
歩き始めと同時に土砂降りの大雨が降り始めた。
ぼくが滞在していた時は雨季だったので、毎日豪雨が降っていた。
スタートしたのはこの写真の右奥。
4.全身びしょ濡れになりながら、重たいバックパックを担いで歩く
ガイドは荷物持ちも兼ねていて、食料とテントを運んでくれる。
なので、ぼくは自分の荷物と寝袋とクッションシート(寝袋の下に敷くヨガマットみたいなやつ)を運ぶだけ。
でも、それだけでもバックパックは大きくて重くて歩くのも大変。
しかも、大雨が降っているから全身ずぶ濡れ。
この状態で2時間くらい歩いた。
5.川を渡る、山を登る、崖を這いつくばりながら越える
歩き始めてからすぐに川を3本くらい歩いて渡ったので、靴は完全に水没していた。
歩きやすい登山靴だったが、水に浸かると最悪。
だからといってサンダルや長靴を履くわけにもいかない。
ガイドのふたりは安物クロックスとスニーカーを履いていて、本庄さんはサンダルしか持っていないのでサンダルで挑戦していた。
しかも、そのサンダルはヒモが壊れている。
後にこのサンダルが事件を引き起こすことになる……
草原を抜けた後は坂道を登っていく。
山の中腹に着くと、目線の先には断崖絶壁があった。
ここを登る。
重たいバックパックを背負っているので、這いつくばりながらなんとか登り切った。
道らしい道は無くて、岩の上を渡っていく感じ。
ゴツゴツした岩が多いので、足首をひねりそうで怖かった。
写真を撮る本庄さん。
サンダル、靴下、タイツ、半ズボン姿で登っている。
本庄さんに撮ってもらった写真。
ぼくは肩にGoproを乗せて、首から一眼レフカメラを下げて登っていた。
先ほど下から見上げていた断崖絶壁の頂上がここ。
ここまででも超疲れた。
ここからの景色はなかなか綺麗。
この写真の奥の方からここまで歩いてきた。
6.真っ暗闇になっても歩き続ける
休憩を終わりにして歩き始める。
しばらくは岩場が続き、その後は低木林。
18時くらいには暗くなったが、初日の宿泊地に着かないので歩き続けた。
19時くらいになると完全に暗闇でほぼ何も見えない状態で、ガイドの声を頼りに進む。
その真っ暗な状態で川を渡ると、初日の宿泊地に着いた。
7.宿泊予定地に到着するが他の観光客がいたので、ぼくらは森の中でテントを張る
その宿泊地には先客の観光客がいたので、ぼくらは森の中で寝ることになった。
翌日の朝に撮影した宿泊予定地がこちら。
ヤシの葉で作った小屋で壁はない。
翌日に撮った写真だが、ここがぼくらが泊まった場所。
一日目は夜に着いたので周囲の状況がわからなかった。
こんなテントを張って、本庄さんと二人で仲良く寝た。
寝袋とクッションシートを使って寝たので、寝心地はまぁまぁ。
ガイドの二人はハンモックを吊るして寝ていた。
アウヤンテプイトレッキングの初めてご飯。
ガイドの二人が作ってくれた、シチューかけご飯。(訂正:シチューかけご飯は2日目の夕食でした。初日はパスタだったような気がします)
テプイ飯っていいね。
めちゃくちゃ美味しくて、疲れが癒された。
テントの中にクッションシートを敷いて、その上に寝袋を置いて寝た。
8.一日目の感想
アウヤンテプイトレッキングの一日目の感想をまとめた。
出発時刻が遅すぎた
まず、出発時刻が遅すぎた。
もっと早く出発していれば土砂降りの雨の被害に遭わなかったし、真っ暗な状態で歩かなくても良かったはず。
荷物が重すぎた
ぼくは交換レンズを3本持っていたし、大型モバイルバッテリーも持っていたので、荷物が重すぎた。
バックパックが重くてめちゃくちゃ疲れた。
体力に自信がない人は、荷物運びをたくさん雇って、すべての荷物を持ってもらおう。
岩場歩きは怖い
岩場を歩くことが多くて、足首をひねりそうで怖かった。
実際、みんな岩場で足を滑らせてこけていた。
めっちゃ疲れたけど冒険っぽくて楽しい
「一日目なのに大丈夫か?」と思うほど疲れたけど、冒険っぽくて楽しかった。
翌日からのトレッキングをドキドキ、ワクワクしながら寝たのを覚えている。
まとめ
今回はアウヤンテプイトレッキングの一日目を紹介した。
一日目は土砂降りの雨、真っ暗闇、宿泊地が使えないというアクシデントがあったが、まだまだ体力に余裕があり楽しかった。
まさか、断崖絶壁を2個超えないといけない二日目があんなに辛いとは、このときはまだ知る由もない……
つづく。
追記:2日目以降の体験記
2日目以降の体験記も書きました。
→ カナイマ国立公園でアウヤンテプイに登山2日目!5分で息が切れる急斜面を2時間登り土砂降りの雨の岩場を綱渡り
→ ベネズエラのギアナ高地トレッキング3日目!7本のロープで断崖絶壁をよじ登りついにテプイの頂上へ
→ ベネズエラのギアナ高地登山4日目は下山編!頂上で珍しい植物を見てから3つの断崖絶壁を一気に駆け下りた
→ ベネズエラの世界遺産カナイマ国立公園でトレッキング最終日!5日間で最も辛い思いをしながら歩き続けた
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