2015年10月から11月まで南米ベネズエラの少数民族ペモン族の村に滞在した。
そして、ペモン族の伝統的な衣装であるフンドシ姿になり、村の子供たちや大人と記念撮影をしてそれをプロフィール写真に使っている。
「なんで、フンドシ履いてんのwwww」と笑われることが多いのだが、実はぼくがフンドシ姿になったのには深い訳がある。
今までは他人に説明する気になれなかったので黙っていたが、そろそろじっくり説明しようと思う。
ペモン族の村に47日間滞在して野菜の育て方を教えた
まずは簡単にペモン族とぼくが村に滞在した理由を説明しよう。
1.少数民族ペモン族とは?
ペモン族とは南米ベネズエラのカナイマ国立公園付近で生活しているインディヘナ(スペイン語でインディアンの意味)。
スペイン上陸前の中南米にはインディヘナと呼ばれるモンゴロイド系由来(が有力な説)の民族が住んでおり、今では少数民族として生活している。
ペモン族はギアナ高地で生活しており、一部はいまだにアマゾン奥地のジャングルで近代文化と接触せずに生活している。
2.電気も水道もなく道路もなく、飛行機でしかたどり着けない、長期滞在が禁止されている秘境
ぼくが滞在したのはカナイマ国立公園内のカバック村。
電気も水道も道路もない村で、ベネズエラの首都であるカラカスから3回飛行機に乗らないとたどり着けない秘境。
しかもペモン族以外が長期滞在することを禁止しているので、族長から特別な許可をもらい長期滞在した。
3.47日間村に滞在して野菜の育て方を教えた
ぼくはこの村に47日間滞在して、彼らに野菜の育て方を教えていた。
参考:ベネズエラのカナイマ国立公園に暮らすペモン族の村で47日間農業を教え、テーブルマウンテンに登頂したよ
毎日朝から晩まで肉体労働で全身が筋肉痛になり、肉体的にはとても辛かった。
ついでに焼畑農業の調査もした。
世界最高落差の滝エンジェルフォールが流れるテーブルマウンテン「アウヤンテプイ」のトレッキングもした。
参考:世界最後の秘境!ベネズエラの世界遺産カナイマ国立公園のギアナ高地ロライマ山とアウヤンテプイでトレッキングをする方法、ツアーの持ち物、注意点
少数民族の村に到着した直後に見た民族ショー
このカバック村に到着した直後に、ペモン族のショーを見ることができた。
1.ペモン族の日常
カバック村はアウヤンテプイの麓にある小さな集落。
ここは「世界最後の秘境」と呼ばれている地域。
ここに住んでいるペモン族は洋服を着ている。
ペモン族は昔はフンドシ一枚で生活していて、一部は未だにジャングルの中でフンドシ一枚で暮らしている。
今では子供は学校に通うし、大人はバイクに乗っている(車はほぼない)。
2.観光客向けの民族ショー(有料)
カバック村は観光客向けロッジで成り立っている村なので、たまに観光客が来て泊まる。
その時に有料の民族ショーを開催することがある。
これがペモン族の貴重な現金収入源。
こんな感じに夜に焚き火を囲んで行う。
おじいちゃんとおばあちゃん、そして子供たちが民族ショーを行うメンバー。
ペモン族の歌を唄ったり、ダンスを踊る。
3.欧米人観光客が眺める
ペモン族のダンスは単調で、同じリズムで焚き火の周りを回るだけ。
欧米人が観光客は焚き火の外側からそれを眺める。
男の子はフンドシ一枚で、女の子は胸とおしりも隠す。
この服は木の幹をなめして作った木の皮でできている。
フンドシ姿でお金を稼いでいる子供たちは何を考えているだろうか?
観光客向けのペモン族のダンスは、掛け声を出しながら焚き火の周りを回るだけ。
宗教的な祈りの時には麻薬成分のある飲み物を飲んで、発作を起こさせるらしい。
ペモン族の歌はとても美しい。
スペイン語バージョンとペモン語バージョンの両方を歌ってくれた。
4.少数民族の文化が見世物になっている、観光客にペモン族の文化を尊重する気持ちが感じられない
ペモン族の村についてすぐにこの民族ショーを見て、ぼくは違和感を感じた。
全然楽しくない。
少数民族の文化が見世物になっていること、観光客にペモン族の文化を尊重する気持ちが感じられないことを感じたからだ。
しかも、子供たちが楽しくなさそう。
これは中米パナマのエンベラ族の民族ショーで感じたことに似ている。
5.中米パナマのエンベラ族の民族ショー
中米パナマにはいろんな少数民族がいて、そのうちの一つがエンベラ族。
ぼくは青年海外協力隊としてパナマに住んでいたので、エンベラ族の民族ショーを見に行ったことがあった。
そして、少数民族の発展の難しさを感じた。
参考:中米パナマのエンベラ族の観光ツアーに参加して感じた少数民族のジレンマと葛藤「伝統文化と近代化は両立するのか?」
エンベラ族はカラフルな衣装を身につけているが、これは伝統衣装ではなく最近観光客向けに作った「なんちゃって伝統衣装」。
実際は超地味なフンドシ。
エンベラ族は観光客向けに伝統文化をかなり捻じ曲げているのだ。
ただし、エンベラ族の民族ショーではこのカラフルな伝統衣装を着ることができ、彼らとの距離は一気に縮まる。
同じ服装になることは、距離を詰めるためにとても良い方法だ。
少数民族の村に来たNGOの活動
村に滞在している中盤に、ぼくが滞在している村にあるNGOが国際協力活動のためにやってきた。
1.少数民族を支援する海外NGO
このNGOは数年前からこの地域を支援しているNGOで、代表者はブラジルで働いていた。
今回は村の子供たちに中古のおもちゃを配りにきたようだ。
NGOのメンバーは全員がお揃いのユニホームを着ていて、プロ用のビデオカメラを持って来て大掛かりな撮影を始めた。
どうやらスポンサーに国際協力活動を伝えるために、映像を撮るらしい。
村人に対してインタビュー活動もしている。
彼らのスポンサーの一つは、Toyotaの国際協力部門だ。
2.NGO向けの民族ショー
隣村にある学校の児童が集まって、フンドシ一枚になり劇を披露した。
この劇はNGOのために開催されたのでぼくたちは写真撮影を禁止された。
このNGOはこの劇の映像を使って、新しい募金を集めるようだ。
子供たちは一生懸命に劇を行ったし、NGOも楽しそうだった。
でも、それを見ているぼくらは楽しくなかった。
3.コレが国際協力なら国際協力なんてしたくない
この村にはもう一人の日本人本庄さんと一緒に泊まっていたのだが、彼が言った言葉が忘れられない。
「コレが国際協力なら、国際協力なんてしたくない」と言ったのだ。
説明するのが難しいけど、本当にそう感じるような体験だった。
ぼくが感じたのは、こんなこと。
貧しい子供のためにお金を集めていた大人たちが、いつの間にかお金のために貧しい子供たちを集めるようになった。
— 宮﨑大輔@ケニア (@JIBURl) 2016年7月25日
この日以来、ぼくらはそれまで以上に子供と関わるようになった。
ぼくは子供が何を感じているのかを知りたかった。
サッカーしたり、
隣の村の保育園で折り紙教室を開いたり、
農業調査を見せたり、
将棋を教えたり。
そんなことをしながら、子供が何を考えているのかを知ろうとした。
「貧しくて可哀想な子供」というレッテルを張りたくなかった。
最終日に開催された民族ショー
その後、ぼくは5日間のアウヤンテプイトレッキングに参加した。
1.フンドシをプレゼントされた
アウヤンテプイトレッキングから、くたくたになって村に帰宅した。
次の日の夜、お世話になったペモン族の家族からプレゼントをもらった。
参考:ベネズエラの世界遺産カナイマ国立公園でトレッキング最終日!5日間で最も辛い思いをしながら歩き続けた
もらったのはペモン族の伝統衣装であるフンドシ。
ヤドクガエルの毒を塗って使う弓矢と雨乞い用の楽器ももらった。
2.フンドシ姿になり一緒に踊る
そして、この夜も観光客向けの民族ショーが行われた。
いつものように踊るペモン族。
この夜は観光客も一緒に踊った。
そして、ぼくもフンドシ一枚になった。
これにはペモン族のみんなも爆笑!
ちなみにぼくはパイパンだからフンドシ一枚になれたけど、もじゃもじゃだと無理だよ。
毎日一緒に遊んでいた子供たちと記念撮影。
翌朝にこの村を旅立つ予定だったので、これが最後の別れだった。
いつもより子供が凛々しく感じた。
子供たちと記念撮影してもらい、思い出ができた。
普段はふんどし姿を嫌がっている子供も、この日は笑ってくれていた。
3.体当たりで向き合いたい
今回は思いっきりまとまりがない文章を書いている。
・少数民族が伝統文化を守りながら、近代化する方法はまだまだわからない。
・貧困地域で活動するNGOが効果的な活動をできているのかわからない。
・NGOの活動費を集めるために、可哀想な子供が作られているようにも感じる。
ぼくはまだ途上国の問題に直面すると悩むことが多い。
答えが見つからない。
でも、体当たりで向き合おうと思う。
彼らと同じものを食べて、同じ家で寝て、同じ服を着る。
彼らとの距離を縮めるために、ぼくは伝統衣装(フンドシ)を使っている。
ヨシダ、裸でアフリカをゆく
アフリカの少数民族の写真集で有名なフォトグラファーのヨシダナギさんも少数民族の衣装をよく着ているが、同じように被写体との距離を縮めるためだそう。
来週からマサイ族の村に滞在してくるよ
今は東アフリカのケニア共和国にいる。
そして、来週8月1日からマサイ族の村に泊まり込む予定。
マサイ族の村で連絡先を交換してからマサイ族のおじさんから毎日SMSが来るようになった。「おはよう、元気?、今何してるの?」みたいなメッセージをやりとりしてるんだけど、何コレ?
— 宮﨑大輔@ケニア (@JIBURl) 2016年7月25日
前回マサイ族の村に行った時に仲良くなった村人の家に泊めてもらい、マサイ族の暮らしを体験してくる。
参考:マサイ族のお宅訪問!マサイマラ国立公園でライオンと間近で遭遇しマサイ村を見学したよ
ここがマサイ族の村。
これがぼくが泊まる予定のマサイ族のジョン氏の家。
ぼくが青年海外協力隊として活動していた村の民家にそっくり。
マサイ族でもいろいろ葛藤やら疑問を感じると思うが、体当たりで向き合いたい。
ペモン族のフンドシも持って行くよ。
まとめ
今回はぼくが少数民族の村でフンドシ姿になった理由を説明した。
少数民族がフンドシ姿で行う民族ショーにあまりよい印象がなかったので、自分もフンドシ姿になってみたのだ。
マサイ族とも体当たりで向き合って、いろいろ考えたい。
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