展示圃場が盛り上がってきた!
ぼくは青年海外協力隊・野菜栽培隊員として中米パナマ共和国の農牧省に派遣され、野菜の育て方を教えている。
最近は展示圃場作りに力を入れているのだが、いろんな事件が発生して盛り上がってきた。
今回は展示圃場の様子をご紹介しよう。
5月になっても全然雨が降らないが、野菜の苗を定植
雨が全然降らないがこれ以上待てないので、畑に野菜の苗を定植した。
1.雨が降らない
もう雨季の時期に入ったので、本来ならば毎日雨が降るはずだが、今年は全く雨が降らない。
ぼくが住むカニャーサス村では、ここ2週間で3日くらいしか雨が降っていない。
ほかの地域ではほぼ毎日雨が降っているらしく、村人は困惑している。
本来は雨が降り始めてから野菜の苗を定植したかった。
なぜかというと、雨が降らないと水道による水やりが必要だからだ。
村の中には雨が降らないことで小川が枯れて飲み水に困っている人がいるし、断水も多い。
そのため、野菜栽培に水道の水を使うことは村人から批判されているのだ。
しかし、野菜の苗が大きく育っており、これ以上は定植時期を遅らせられないので、やむなく定植することにした。
参考:4ヶ月ぶりの雨に乾季 de 歓喜!展示圃場で稲わらの刈り取りと野菜栽培の準備中
2.トマトの苗を定植
展示圃場に2種類のトマトの苗を定植した。
まずは事前に稲わらを混ぜ込んだ畝に、植穴を開けた。
参考:神様にぼくらの願いが通じた?相棒と野菜栽培用の畝を準備したら雨が降った!
稲わらや落ち葉を混ぜ込んだ効果からか、土の中にはミミズが何匹もいた。
事前に作成した特製のパナマ式コンポスト有機肥料を使った。
参考:高倉式コンポスト(JICA推奨の微生物発酵液型)を、容器が不要で簡単な作り方へ改良したコンポスト有機堆肥の作成方法
植穴に肥料を入れて土と混ぜる。
本当は数日放置したいけど時間がないので、その日のうちに苗を植えた。
日本ではあり得ない光景だが、1個のポットの中に2~3本の苗を育てた。
根鉢ができている。
トマトの苗を植えた。
2条千鳥植えで、40株くらい植えた。
3.稲わらマルチを敷いた
苗の間に稲わらマルチをたっぷりと敷いた。
このために、乾季のクソ暑い日に一人で稲わら刈りを頑張ったのだ!
参考:稲わらマルチ栽培の家庭菜園での使い方&ビニールマルチをきれいに張る方法&マルチングの種類と効果
4.バナナの幹で日除けを設置
バナナの幹で日除けを設置した。
これはパナマで覚えた農業技術だ。
まずはバナナの幹を刈り取って来て、一枚ずつ皮を剥ぐ。
それをマチェテという山刀で切って、屋根を作る。
この技術については後日、詳しくまとめるつもりだ。
完成するとこうなる。
この屋根のおかげで日差しが強い熱帯でも、苗が枯れずに定着率が上がる。
白川郷みたいな光景だけど、共感してくれる人は誰もいない。
ピーマンの苗も植えて、同じように日除けを設置した。
定植してからは毎朝水やりを行っている。
土日も毎日出勤しているので、まるで年中研究に没頭していた大学生時代に戻ったようだ。
3日後にバナナの幹を外すと、こんな感じ。
順調に活着していた。
野良牛が展示圃場に侵入して野菜畑を襲撃
トマトの苗が順調に生育していて喜んでいたら、野良牛に野菜畑を襲撃された。
1.野菜の畝に牛の足跡が
ある日、展示圃場に朝行くと、畑の土がぐちゃぐちゃになっていた。
よく見ると、牛の足跡だった。
過去にも野良牛や野良馬に展示圃場を荒らされたことがあった。
参考:世界の火薬庫と呼ばれるほど治安が悪い中南米!青年海外協力隊の配属先で盗難事件
踏み潰されたトマトもあり、ぼくは怒りのあまり「野良牛を見つけ次第、喰う!」と決意した。
2.番犬パンキーは職場放棄
このような事件が起きないように、番犬パンキーを飼い始めたのだが、パンキーは番犬として全く働いていない。
普段は寝ているか他の犬と遊んでいるし、首をしても外してしまうので、一人で勝手に村中を散歩している。
参考:職場で窃盗・放火・不法侵入事件が発生したので、見た目は凶暴な番犬を飼い始めました
かわいい奴だが、展示圃場の警備を任せてはおけない。
野良馬はぼくが見つけて、喰うことにした。
3.かわいい仔牛だった
あくる日、展示圃場に向かうとすぐに犯人を発見した。
展示圃場の隣に牛が居たのだ。
左手に展示圃場が見えていてこの近距離にいるので、間違いなく展示圃場の野菜を荒らした犯人である。
しかし、犯人はかわいい仔牛だった。
しかも5頭もいた。
かわいすぎて喰う気にはならなかったが、展示圃場に入らないように注意しておいた。
100個の空心菜の苗プレゼント作戦
繁殖能力が強すぎる空心菜の苗を100個プレゼントする作戦を思いついた。
1.空心菜の生命力がヤバい
過去にも紹介したが、空心菜の生命力がヤバい。
パナマの気候に合いすぎていて、「ぼくの村は空心菜に占領されるのでは?」と心配になるほどだ。
参考:もしかしたら、パナマのある村が「ニホンノホウレンソウ村」と呼ばれる日が来るかもしれない……
空心菜の苗を増やすために親株を展示圃場の一画に植えていたが、別の野菜を育てるために場所を移動させることになった。
苗を掘り起こしてみると、根っこが元気に伸びていた。
新しい場所に植えて、稲わらマルチを敷いた。
空心菜を知らないパナマ人に空心菜の栽培方法を見せて、ここから伸びた芽を挿し木して苗を増やす予定だった。
ちなみに空心菜の親株を育てていて空いた場所には、長ネギとセロリの苗を植えた。
カニャーサス村の農牧省事務所の展示圃場は、驚くほど野菜だらけになっている。
2.空心菜の苗を100個配ろう作戦
しかし、空心菜のこぼれ種が展示圃場の畝で発芽したので、その苗を採取して苗を増やすことに計画を変更した。
今は空心菜の苗が大量に発生して、採り放題になっている。
そこで、一株ずつマチェテで掘り起こして苗を回収し、特製の育苗培土を詰めたプラスチックコップポットで育てている。
これを養成して、空心菜の苗にしたい。
そして、村中の主婦に配って、カニャーサス村に空心菜を普及したい。
空心菜は「ニホンノホウレンソウ」と名付けて普及しているので、将来カニャーサス村がニホンノホウレンソウ村に改名しているかもしれない。
すでに100個以上の苗が準備できている。
空心菜の繁殖能力を考えると、100株の空心菜が一年後には、2万株以上に増えているだろう。
カニャーサス村の人口は1万7千人なので、来年には人口よりも空心菜の方が多くなる予定だ。
もちろん、空心菜の栄養価と食べ方、そして野生化の危険性も一緒に教える予定だ。
まとめ
野良馬の侵入や空心菜の100個プレゼント作戦など展示圃場が盛り上がってきた。
あとは雨さえ降ってくれれば最高だ。
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