日本でゲストハウスが流行中
日本で相部屋(ドミトリー)が基本の宿「ゲストハウス」が流行っている。
昔は東京、京都、沖縄にしかなかったが、今では47都道府県のほとんどにできている。
しかし、このゲストハウス・ブームに喜んでいる人ばかりではない、不安に感じている人もいる。
ブームは一時的なものなので必ず終わりが来るし、ブームが去ってしまえば以前よりも悪化する可能性が高いからだ。
パナマに住んでいるぼくが日本のゲストハウスに注目しているのは、ぼくがゲストハウスが大好きで将来開業したいと考えているからだ。
そこで今回は、日本のゲストハウスブームについて紹介しよう。
日本と海外でゲストハウス・ホステルを利用してハマった、開業したい
まずはぼくとゲストハウスの関係について説明しよう。
ぼくは日本と海外でゲストハウスやホステルと呼ばれるタイプの宿を利用して、その魅力にハマってしまったのだ。
将来、自分で開業したいとも考えている。
1.日本のゲストハウス
ぼくが最初に泊まったゲストハウスは、大分県別府の別府ゲストハウスだ。
九州のゲストハウス巡り
九州をヒッチハイクで一周しているときに、ゲストハウスというものに初めて出逢い、九州中のゲストハウスに宿泊した。
特に印象に残っているのは、福岡県のタビコレ・バックパッカーズと熊本県の中島屋だ。
タビコレ・バックパッカーズでは、ぼくの運命を変えた青年海外協力隊を夢見る女子大生と出逢ったし、中島屋のオーナーの宿を開業するまでの話は映画化したいくらい面白すぎた。
参考:長崎県川棚市の超能力喫茶店で起きたマジック!もしかしたら僕の運命は超能力者に曲げられたのかもしれない。
東京蔵前のゲストハウスtoco.とNui.と長野市の1166
それ以来、国内旅行でゲストハウスを利用するようになり、ある夜、東京蔵前のゲストハウスtoco.に泊まり、古民家とお洒落なバーが融合した空間のあまりの素晴らしさに感動した。
すると、toco.のオーナーが長野県長野市のゲストハウス1166で「ゲストハウス開業希望者向けセミナーを開く」というので、当時大学院生だったぼくはすぐに参加を決めた。
そして、その開業セミナーの後、1166のロビーでtoco.のオーナーに人生相談をして、ぼくは青年海外協力隊に参加することを決意した。
もちろん日本出国前夜は、toco.を経営するBackpackers’ Japanの2号店であるホステル&ラウンジNui.に泊まった。
参考:東京蔵前の外国人向けゲストハウス&バーNui.のオーナーに青年海外協力隊に参加する挨拶をした。
ぼくの人生のターニングポイントは、なぜかゲストハウスなのだ。
常にゲストハウスに人生を狂わされている(笑)
2.インドとパナマ、コスタリカ、メキシコのゲストハウス・ホステル、バックパッカーズ
海外のゲストハウス経験は、インドとパナマ、コスタリカ、メキシコである。
インドのバックパッカーズ
青年海外協力隊に参加すると決めたが、ぼくは海外旅行の経験が剣道の試合をするために行った韓国しかなかったので、インドへ学生団体主催のスタディツアーで行くことにした。
しかし、その計画をゲストハウスtoco.のスタッフに話すと「海外は一人で行かないとダメ! 特にインドは絶対に一人で行くべき!」と怒られたので、一人でバックパッカースタイルで行くことになった。
インドではデリー、バラナシ、ブッダガヤ、コルカタなど回り、各地で安いバックパッカーズに泊まった。
コルカタの超汚い安宿では、下痢による高熱で死にそうになったが、なんとか生きて帰って来られた。
この下痢の経験のおかげでパナマの無電化集落で下痢になっても慌てずに、適切な処置ができるので、青年海外協力隊にはインド修行がおすすめだ。
参考:「青年海外協力隊に応募したいけど、途上国で2年間も暮らすのは…」って悩んでる若者は、今すぐインドのガンジス河で泳いでこい!
パナマのホステル
青年海外協力隊として中米パナマ共和国に派遣されてからも、休日にはパナマ各地を旅行してきた。
旅行といっても贅沢するほどのお金はないので、泊まる宿はドミトリー付きのホステルばかりだ。
パナマのホステルについてならば、日本人の中で一番詳しい男だと自負している。
参考:中米パナマの観光情報を10エリアごとにまとめてみました
コスタリカとメキシコ
青年海外協力隊の任国外旅行で巡ったコスタリカとメキシコでも、各地のホステルに泊まって中米のホステルを勉強した。
セキュリティが厳重だったり、プールが必須だったりと日本との違いが面白かった。
参考:中米コスタリカの首都サンホセにあるHOSTAL PANGEAをお勧めする10個の理由
参考:メキシコシティのソカロから徒歩5分のホステルCasa San Ildefonsoは、オシャレな北欧風デザインで日本人旅行者におすすめ!
3.ゲストハウスを開業したい
実はぼくは青年海外協力隊に参加する前から、ゲストハウスを開業したいと考えていた。
だからこそ、1166で開催されたゲストハウス開業セミナーにも学生なのに参加した。
参考:2020年東京オリンピックに向けて、インバウンドのため長野県で外国人向けホテル・ゲストハウスを開業
しかし、青年海外協力隊になってからは日ごろのボランティア活動に追われて、自分のやりたいことを考える時間は持てなかった。
日本への帰国を控えて過去を振り返ってみると、日本、インド、パナマ、コスタリカ、メキシコのゲストハウスに宿泊して、とても楽しかったしやっぱりぼくはホテルよりもゲストハウスの雰囲気が好きだとわかった。
さらに、パナマの田舎で開業予定のホステルに行きオーナーと話しているうちに、自分でゲストハウスを始めることの熱意が再び燃え上ってきた。
このような理由から、ぼくは日本のゲストハウスブームにとても興味がある。
パナマに住み始めてからも、ゲストハウス関係者のTwitterをフォローしたり、ブログを読んだりして毎日日本のゲストハウス関連の情報収集を続けてきた。
これほどゲストハウスが好きなぼくが、今回は少々日本のゲストハウスについて語らせてもらおう。
ゲストハウスを経営したこともないし、働いたこともない素人だが、参考にしてもらえたら幸いだ。
日本のゲストハウス開業ブームを心配する経営者も
日本ではゲストハウス・ブームが起きているが、それを嫌がる経営者もいる。
1.新しいホステル、バックパッカーズが増えている
日本中でゲストハウス、ホステル、バックパッカーズという名前がつく宿泊施設が増えている。
長野県については、過去にぼくがまとめた情報があるので、参考にしてもらいたい。
参考:外国人旅行者に人気のおすすめ格安ドミトリー付きホテル!長野県のゲストハウス・バックパッカーズ24宿
ここで、石川県金沢市で「GoodNeighbors Hostel」を開業予定のゲストハウス・クリエイターズノートさんの記事「ゲストハウスは本当にブームなのか?!適当に調べてみて分かった本当はゲストハウス開業ブームだ。」を参考にしよう。
ゲストハウス・クリエイターズノートさんは、「ゲストハウス」と「ゲストハウス 開業」という言葉でGoogleの検索数を調査し、ゲストハウスは増えていないが、ゲストハウス開業は増えているという傾向を発見した。
このゲストハウスへの熱意はすごい!
そして、「ゲストハウスビジネス(生き方)が流行っているのでは?」という結論に至っている。
ブームブームと言っているのはゲストハウスという宿泊スタイルが日本人の間で浸透し人気が出てきているのではなく、ゲストハウスというビジネス(生き方?)をやりたい人が急増しているだけなんじゃないか、と。
ぼくもこの意見に同感だ(パナマに2年間もいる癖に、偉そうにすみません)。
パナマからネットを通して、日本のゲストハウス業界を見守ってきたぼくは、日本人の中で「ゲストハウス開業しようぜ!ブーム」が起きていると感じている。
ゲストハウスを開業しようとしている、もしくは実際に開業しているのは、元バックパッカーや世界一周経験者、海外旅行好きの若者が多い。
ぼくも青年海外協力隊なので、完全に典型的な人間だろう。
そして、日本でゲストハウスが流行ることに対して肯定的な意見もあるが、心配する声もある。
2.ゲストハウス開業ブームを心配する経営者も
ゲストハウスが一気にオープンする様子を心配する経営者もいる。
なぜならば、どんなブームも必ず終わる時が来て、ブームが去った後は最初よりも業界が悪くなることが多いからだ。
そのため、飲食店や宿泊施設などの客商売ではブームを起こさないように、常連さんを少しずつ増やす経営を目指す人も多い。
しかも、「儲かるから」、「流行っているから」という理由でゲストハウスを開業する人は、ゲストハウスという宿泊施設とそれを利用する客層の特徴を理解していない人が多く、「ゲストハウス」をいう存在が間違って広まる可能性もある。
一度悪いイメージがついてしまえば、ゲストハウス業界は一気に廃れてしまうかもしれない。
参考:バックパッカーズに集まる旅人はどんな人?ゲストハウスを表す100個の理論
ゲストハウスブームで起きそうな問題
ゲストハウスブームでどんな問題が起きそうか、妄想してみた。
1.ゲストハウスという特殊な宿泊施設に戸惑う日本人問題
まずは、ゲストハウスという特殊な宿泊施設に戸惑う日本人が出るだろう。
(1)ドミトリーと共有トイレ、シャワー
ゲストハウスの多くが、ドミトリーと呼ばれる相部屋を使用している。
ドミトリーにはだいたい2段ベッドがあり、そこで見ず知らずの旅人たちと一緒に眠る。
旅館やビジネスホテルのように個室ではないのだ。
トイレ、シャワーも共有である。
(2)セルフサービス
そして、サービスの多くがセルフサービスで成り立っている。
シーツ交換がセルフサービスの宿もあるし、朝食がセルフサービスの宿も多い。
日本の旅館のように布団を敷いてくれないし、ホテルのようにサービスしてくれない。
(3)他の外国人利用客と交流する
ゲストハウスはバックパッカーズと呼ばれることもあり、外国人バックパッカーが好んで利用する。
そして、彼らは宿で他の旅人や現地人と一緒に食事をしながら話をしたり、お酒を飲むことを望んでいる。
旅館やビジネスホテルでは、他の利用客と交流をする機会は少ないので、初めてゲストハウスを利用する日本人は驚くだろう。
2.外国人バックパッカーが起こす問題
次は、外国人バックパッカーが起こす問題だ。
(1)他人を気にしない性格
外国人バックパッカーは他人を気にしない性格の人が多い。
例えば、ドミトリーのベッドでセックスをするカップル、深夜に寝室で大声でスカイプをする人、びちゃびちゃに濡れた洗濯物を部屋に干す人など、他人の目を気にする日本人の感覚ではあり得ない行動をする。
それが彼らの良いところで彼らにとっては当たり前のことなのだが、おそらく初めてゲストハウスを利用する日本人には頭にくることも多いだろう。
(2)麻薬、ドラッグの使用
インドや中南米のホステルで問題になるのが、麻薬、ドラッグ類の使用だ。
日本でもクスリが広まっていると聞くが、インドや中南米ではどこでも簡単に手に入ってしまうので、麻薬常習者も多い。
特にバックパッカーにはドラッグを常用する人が多くて、ラリッている旅人とたくさんあった。
その影響で日本人バックパッカーの中にも、麻薬を手を出している人がいて、宿が「取引の場所」になっている。
現在の日本のゲストハウスではそのような場所はほぼないと思うが、ぼくが泊まったことがある日本の宿でも「ここはヤバそう……」と思うゲストハウスがあった。
これからゲストハウスが変にブームになり、そして2020年の東京オリンピックに向けて外国人観光客が急増すると、このような問題も増えるだろう。
3.新規客が増えて常連客がいなくなり、ブームが去ってからも戻ってこない
ブームが来て新規客が増えると、常連客がいなくなり、ブームが去った後も戻ってこないことが予想される。
ゲストハウスは、施設や立地条件だけでなく、その宿のオーナーや雰囲気で人気が変わる。
そのため、人気のホステルにはそのオーナーに惚れ込んだ常連客がいるものだが、ブームが起きて新規客が増えてしまうと常連客の足が遠退き、ブームが去ってからも戻ってきてくれないだろう。
日本のゲストハウスはブームが去ってからが、本当の勝負
日本のゲストハウスはブームが去ってからが、本当の勝負だ。
1.「流行」という後押しがない状態でも、人気を維持できるか
ゲストハウスブームが去ってからも経営を続けていくためには、「流行」という後押しがない状態でも、宿の人気を維持しないといけない。
そのためには、宿のベッド、水回りなどの施設・サービスの質を向上させることも重要だが、オーナーやスタッフの人柄、雰囲気が一番影響すると思う。
「類は友を呼ぶ」というが、オーナーやスタッフの人柄に惹かれて似たような価値感の常連客が集まって、その宿の魅力・オーラを生み出している。
ブームが去った後も経営していくためには、「宿としての魅力」を持っていないとダメだろう。
2.喫茶店がカフェと呼ばれるようになったように、ゲストハウスは定着するのか?
Backpackers’ Japanのオーナーがゲストハウス開業セミナーで言っていた言葉を今でも覚えている。
「喫茶店がカフェと呼ばれるようになったように、安宿もゲストハウスと呼ばれるようにしたい!」と話していた。
たしかにいつの間にか喫茶店と呼ぶお店はすっかり少なくなり、ほとんどのお店が「カフェ」を名乗ってる。
これは日本にカフェ文化が定着したことを表している。
では、日本にゲストハウス文化は定着するだろうか?
カフェのように誰しもが知っている存在になるだろうか。
3.ブームが終わってからが、本当の勝負
間違いなく、日本にゲストハウスブームは起きている。
あとはこのブームがブームとして終わるか、文化として定着するのかが分かれ道だ。
ゲストハウス文化が日本に定着するかどうかは、ブームが去った後にブームが去っても経営を継続できるような「魅力的な宿」がどれだけ残っているかにかかっていると思う。
多くの宿はブームが終わると数年以内に、潰れてしまうだろう。
ブームが去ってからが、本当の勝負だ。
まとめ
ぼくの大好きなゲストハウスについて書いた。
日本ではゲストハウスブームが起きているが、ゲストハウス文化が日本に定着するかは、ブームが去った後にどれだけ魅力的な宿が残っているかにかかっているだろう。
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