この時期に無料で手に入る材料だけで有機肥料を仕込んだ
農牧省の展示圃場で野菜栽培に使うために、無料で手に入る材料だけを使って有機肥料を仕込んだ。
雨がようやく降り始めたが、まだ降雨量が少なすぎるので、野菜栽培を始めることはできない。
この時期には野菜栽培に使う肥料を準備する必要があるので、この時期にちょうど手に入る材料を探して有機肥料を仕込んでみた。
今回は有機肥料作りの様子を紹介しよう。
落ちているカシューナッツの実を拾った
まずは、そこら中に落ちているカシューナッツの実を拾った。
カシューナッツは、乾季の終わりである4月に収穫期を迎える。
黄色い部分がカシューナッツの果実で、その下にある勾玉みたいな種の中に、みなさんが食べているカシューナッツが入っている。
カシューナッツの実は熟すとすぐに落ちるので、この時期はカシューナッツの木の下はカシューナッツの実だらけになる。
カシューナッツの実はそのまま食べたり、絞ってジュースに利用されるが、落ちた実は利用されることがなく、そのまま乾燥しながら腐っていく。
今回はこの腐ったカシューナッツの実と乾燥したカシューナッツの実を、有機肥料の材料に使ってみることにした。
有機肥料を作る時期に、大量に無料で手に入るからだ。
村中を歩き回って、道端で馬糞を集めた
次に、村中を歩き回って、道端で馬糞を集めた。
ぼくが住んでいる村では、移動手段として馬が使われているので、村中の道に馬糞が落ちている。
馬糞は牛糞ほど窒素分が含まれていないが、糞の中に植物繊維が残っていて、とても良い肥料の材料になる。
山奥の集落でも、村人と一緒に馬糞を集めて有機肥料を作ってきた。
今回は村の中心地で一人で馬糞を拾っていたので、かわいい女子高生に「うわっ、見ろよ中国人がウンコ拾ってるぜ、キモッ!」と言われ、変な目で見られてしまった。
そんな冷たい視線にも耐えて、大量の馬糞をゲットした!
水田の稲わらを刈り取った
次に、展示圃場にある水田で稲わらを刈り取った。
パナマでは稲わらを使う習慣がないので、そのまま放置されている。
そこで現在は、稲わらの有効利用方法として「稲わらマルチ」という技術を普及中だ。
参考:4ヶ月ぶりの雨に乾季 de 歓喜!展示圃場で稲わらの刈り取りと野菜栽培の準備中
そして、稲わらのマルチ以外の利用方法として、有機肥料への利用を試すことにした。
分解しやすように、長い稲わらを短く切り刻んだ。
日本では稲わらを肥料の材料に使う場合には、あらかじめ堆積させ腐らせて使うのが一般的だが、パナマは乾季で乾燥しているので、今回は試しにこのまま使ってみた。
本格的な雨季が始まったら、稲わら堆肥も仕込みたい。
有機肥料を仕込んだ
これらの材料を使って、有機肥料を仕込んだ。
普及する予定の村人は、文字も読めないし引き算もできない。
そして、収穫量を増やすことよりも、作業を楽にすることを望んでいる。
そのため、とにかく簡単な作り方じゃないと活用してくれないので、簡単な作り方を心掛けた。
参考:青年海外協力隊・野菜栽培隊員として二回目の有機肥料の講習会
1.馬糞を手で砕く
まずは集めてきた馬糞を手で砕いた。
しばらくは手がウンコ臭くなるが、手で砕くのが一番楽なのだ。
2.カシューナッツの実を切り刻む
次に分解しやすいように、生のカシューナッツの実を山刀で切り刻んだ。
3.材料を全部混ぜる
そして、材料を全部混ぜた。
使った材料は、稲わら、馬糞、生のカシューナッツの実、乾燥したカシューナッツの実、そして少量の落ち葉ともみ殻だ。
すべて混ぜ合わせるとこんな感じになった。
4.土と水を足して混ぜる
そこに土と水を足して、さらに混ぜた。
5.傘で覆って、石で固定して完成!
たまたま壊れた大きな傘が落ちていたので、傘の布を使って乾燥を防ぐために肥料のもとを覆った。
奇跡的にピッタリサイズ! しかもオシャレ!
番犬パンキーや鶏に荒らされないように、石で布を固定したら完成だ!
初めてカシューナッツの実主体の有機肥料を仕込んだので、うまく発酵してくれるのか不安だ。
しばらく毎日観察して、問題があれば対応したい。
日本ではとにかく肥料を工夫して少しでも肥料効果を高めようと努力するが、パナマ人に普及させるためは簡単に手に入る材料で、いかに簡単にそれなりの効果がある肥料を作るかが重要だ。
まとめ
今の時期にどこでも、誰でも、無料で手に入れられる材料を使って、有機肥料を仕込んでみた。
パナマ人の性格にあった肥料の作り方を普及したい。
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