南米ベネズエラで農業を教え、テーブルマウンテンに登ってきました!
2015年10月5日から11月21日までの47日間、南米ベネズエラのギアナ高地に住む少数民族ペモン族の集落カバック村で、伝統的な農法の調査と野菜の育て方の指導を行ってきた。
およそ一ヶ月半の間に、焼畑農業やトウガラシやキャッサバの在来品種を調べ、ペモン族と一緒に野菜を育てるために畑を開墾した。
ロストワールドのモデルになったギアナ高地に滞在していたので、世界最高落差の滝エンジェルホールが流れるテーブルマウンテン・アウヤンテプイに登る超過酷な5日間のトレッキングにも挑戦した。
一度には語り尽くせぬほどの特殊で素晴らしい経験を積んだので、たくさんの日本人へこの情報を共有するために、これから少しずつ複数のメディアへ記事を寄稿していくつもりだ。
そこで今回は、47日間の全体像だけをさらっと紹介したい。
ベネズエラのペモン族への国際協力プロジェクト
今回のベネズエラの少数民族ペモン族集落滞在は、中南米専門旅行会社オンリーワントラベルからの依頼を受けて始まったプロジェクトだ。
オンリーワントラベルの国際協力プロジェクト
「オンリーワントラベルの国際協力プロジェクト」として、野菜栽培を学びたいペモン族集落に対して農業指導を行うために、海外農業コンサルタントのぼくが派遣された。
また、コーディネーターとしてオンリーワントラベルで働く日本人ガイド本庄遼馬さんも集落へ同行し、農作業や写真撮影、通訳など全面的に協力して頂いた。
本庄さんは25歳という若さながらスペイン語が堪能で、ベネズエラの滝エンジェルホール、ボリビアの絶景ウユニ塩湖、ブラジルの白砂丘レンソイスなどで通訳兼ガイドとして活躍している。
しかも、イケメン。
ギアナ高地にあるカナイマ国立公園のカバック村
農業指導の対象となったのは、ベネズエラの東部ギアナ高地にあるカナイマ国立公園内のペモン族集落カバック村である。
南米ベネズエラがどんな国なのか知りたい人は、過去の記事を読んでもらいたい。
参考:世界一治安が悪いが物価は安いベネズエラは天国か、それとも地獄か?
参考:ベネズエラの首都カラカスは東京の100倍危険!目の前でひったくりが起き、犯人がボコボコにされた\(^o^)/
ギアナ高地には世界最古の地層が露出しており、映画「ロストワールド」や「カールじいさんの空飛ぶ家」のモデルになった超秘境。
カバック村は世界最高落差の滝エンジェルホールが流れるテーブルマウンテン・アウヤンテプイの麓にある村で、「観光客向けのロッジ運営」が主な収入源である。
カバック村にあるロッジのオーナーが農業と料理が好きな人で、「野菜の育て方を学びたい!」というのでこの集落へ技術指導を行うことになった。
通常はこのペモン族自治区には長期滞在することは禁止されているが、今回は地域の代表者から特別な許可をもらい、長期滞在することができた。
ペモン族の集落に長期滞在したのは、おそらく日本人初である。
47日間のふんどし滞在記の様子をさらっとご紹介
ここからは、47日間のペモン族の集落滞在の様子を簡単に説明しよう。
1.伝統的な焼畑農業を調査する
10月5日に集落に到着してから、まずは伝統的な農法の調査を行った。
農民に農業技術を教えるためには、まずは相手の慣行農法を学ぶ必要があるからだ。
ペモン族は中南米で伝統的な焼畑農業を行っていた。
ペモン族の主食はキャッサバを加工した「カサーベ」というお煎餅のような食べ物。
キャッサバの在来品種の数がとても多く興味深かったので、簡単に調査を行った。
これがカサーベの原料になるキャッサバ。
このままでは猛毒のため食べられないが、すりつぶし、水を切り、粉にして、焼き、乾燥させると毒が抜けて貯蔵できるようになる。
ペモン族はトウガラシを毎食欠かさずに食べる「辛い食べ物大好き民族」だったので、トウガラシの在来品種も多かった。
トウガラシについては事前に調査する予定だったので、念入りに調査した。
基本的には焼畑農業でキャッサバなどと混植して育てられている。
品種により色や形が異なり、日本では見かけない珍しい品種がある。
トウガラシを使った調味料や料理も多く、どれもとても美味しかった。
このように在来品種の調査を行った
2.野菜の育て方を教える
伝統的な農法の調査を行いながら、並行して野菜作りの準備を始めた。
カバックには野菜畑と呼べるような場所はなく、育て方を教える以前に畑を開墾するところから始める必要があった。
そのため、毎日朝から晩まで草原の草むしりや石拾いを行い、二週間ほどでなんとか野菜畑を開墾することができた。
この作業には技術移転を行う相手であるカウンターパートであるペモン族のアドリアン氏と本庄氏、複数の村人にも手伝ってもらった。
草むしり、石拾い、石運び、穴掘り、畝作りなど過酷な肉体労働の日々で、全身の筋肉の痛みによって毎晩眠れない日々が続いた。
精神的にも肉体的にも辛かった。
畑の開墾が終了してからは農業の基礎知識の授業を行い、植物が成長する原理や焼畑農業と野菜作りの違いをプレゼン形式で説明した。
日本やパナマの農業の様子も紹介しながら、カバック村の農業の問題点と改善方法を説明した。
村人たちは興味深そうに話を聞いてくれ、これからの農業改革へ意欲を高めてくれた。
Photo by Ryoma Honjo
その後、3日間の農業講習会を開催し、村人たちへ野菜作りの基礎を教えた。
苗床の作り方、肥料の作り方、種の撒き方、間引きの仕方、苗の移植の方法、日除けの作り方、追肥の方法などなど、農業の基礎を3日間でみっちり教え込んだ。
Photo by Ryoma Honjo
例えば、このように生ゴミや牛糞を使った肥料を一緒に仕込んだ。
Photo by Ryoma Honjo
野菜の種はベネズエラの首都カラカスや他の都市で入手したが、発芽率が極めて悪いものも多く苗づくりに苦戦した。
育てた物は、トマト、ピーマン、ズッキーニ、レタス、エンドウ豆、ラッカセイ、スイカ、カボチャ、サツマイモ、トウモロコシ、パセリ、西洋ネギ、二十日大根などなど。
最終的にはこのように石で組んだ畝の中で、野菜が生育していた。
滞在期間が短かったので収穫まで生育した作物はわずかだが、これから数か月後にはたくさんの収穫が見込まれる。
こちらが開墾した畑の全体像。
ロッジのリーダーは開墾を進めてさらに畑を広げる気でいて、頼もしい限りである。
これはズッキーニ。
順調に生育し、40日間で開花まで生育した。
アマランサスも幼葉の収穫までたどり着いた。
種子が採種できるので、これからも栽培を継続できる。
二十日大根も収穫できた。
途中からコオロギやオケラによる食害の被害を受けたが、なんとか収穫できてホッとしている。
こちらがロッジのオーナーが作った「二十日大根を使ったサラダ」。
オーナーは料理のセンスが抜群に良いので、これから野菜を使って美味しい料理を作ってくれるだろう。
完成した野菜畑で、ペモン族のみんなと本庄さんと記念撮影。
後ろに写っているのがエンジェルホールが流れるテーブルマウンテン・アウヤンテプイである。
ぼくが指導を終えてからも、村人だけで新しい畝を作り、そこにコーヒーの苗木を植えていた。
教えた事を実践してくれて、とても嬉しかった。
3.ペモン族の食文化と民族衣装を体験する
カナイマ国立公園に滞在中には、ペモン族の食文化と民族衣装を体験した。
これがペモン族の主食であるカサーベ、キャッサバからできている。
カサーベに欠かせない調味料が「クマチェ」。
クマチェはキャッサバの煮汁に特殊なアリと干し魚とトウガラシを入れて作る調味料で、味は辛い醤油。
ペモン族のタンパク源は、川魚と昆虫。
これは、川魚とバッタのスープ。
黄色いコーンみたいに見えるのは、極小トウガラシだ。
これは、トゲトゲなヤシの木に住むイモムシのソテー。
イモムシのお腹を切り開き、内臓を調味料として利用する。
こちらはイモムシ煮で、名前はカタ。
カタはペモン族が大好きな料理で、カタ専用のカサーベもあるほどだ。
民族衣装「木の皮のふんどし」の体験
民族衣装も体験した。
ペモン族の民族衣装は、木の皮をなめして作った木製の布で作ったもの。
男性はふんどし一枚で、女性は腰巻だけ。
ただし、現在では洋服を着ていて、民族衣装を着るのは観光客向けにショーをする時だけだ。
ぼくは木の皮ふんどしが気に入ったので、この姿で写真撮影もしていた。
ただし、木の皮でできたふんどしは通気性が悪いため、ケツ汗をめっちゃかく。
ふんどしはケツ汗との戦いなのだ。
このふんどしを誰から、いつもらったのかは、また別の機会に説明したい。
Photo by Ryoma Honjo
4.子供たちと遊び、日本文化を紹介する
ペモン族の集落に滞在中には農業の仕事だけでなく、子供たちとの交流も大切にしていた。
例えば、わざわざ日本から将棋盤を持って行き、子供たちに将棋を教えた。
まずは挟み将棋から教え、最終的には通常の将棋も指していた。
Photo by Ryoma Honjo
ぼくも本庄さんもサッカー経験者だったので、週末には子供たちとサッカーを行い、「ペモン族 VS ジャパン」という夢の国際試合も実現した。
農作業で疲れた体で子供たちとサッカーをするのはしんどかったが、心は満たされた。
集落の子供たちに折り紙をプレゼントしまくっていたら、近くの村の幼稚園から「折り紙を教えてきてほしい!」というラブコールを頂き、幼稚園で折り紙教室を開催した。
ハートの形の折り紙とパタパタツルの折り方を教えたら、子供たちと幼稚園の先生に喜んでもらえた。
参考:たった一枚の折り紙で途上国に暮らす子供たちのヒーローになる裏技
5.エンジェルホールが流れるテーブルマウンテンのトレッキングに挑戦
農業指導が一段落してからは、世界最大級のテーブルマウンテンであるアウヤンテプイの頂上を目指すトレッキングに挑戦した。
これがアウヤンテプイ。
標高は2700mくらいで、めちゃくちゃ大きい。
Photo by Ryoma Honjo
このテーブルマウンテンの最高地点まで3日かけて登り、2日かけて下ってきた。
5日間のトレッキングツアーは、今年最悪のしんどさだった。
Photo by Ryoma Honjo
道はこんな感じで、毎日6時間歩く。
毎日雨が降り全身びしょぬれになり、登山靴も壊れた。
Photo by Ryoma Honjo
アウヤンテプイの森は、雄大。
その昔、テーブルマウンテンは「神が住む山」としてペモン族の間では恐れられており、「テーブルマウンテンに登ると、呪われて災いが起る」とされ登山が禁止されていた。
しかし、最近では観光客を案内するガイドや荷物運びが、彼らの貴重な現金収入源となっている。
まるでヒマラヤとそこで働くポーターのような関係だ。
トレッキング3日目にはこの壁をロープを使って、自力でよじ登っていく。
「冗談でしょ?」と思うかもしれないが、ガチだ。
肩にGo proを装着して、ほぼすべての日程を動画撮影した。
これから少しずつYouTubeにアップしていく予定だ。
Photo by Ryoma Honjo
これが3日目のトレッキングの様子だ。
ロープを使って岩場を登っていく様子がよくわかると思うので、ぜひ見てほしい!
ちなみに話している言語は、スペイン語とペモン語である。
アウヤンテプイの最高到達地点で記念撮影。
トレッキングツアーの詳細は、別の機会に説明しよう。
アウヤンテプイの頂上には、ここにしか存在しない固有種が数多く生息している。
テーブルマウンテンは陸の孤島なので、まるでガラパゴス諸島のように植物や爬虫類が独自に進化しているのだ。
美しい花。
かわいい花。
ふわふわしたナニカ。
おたまじゃくし。
などなど、テプイ頂上は別世界だった。
日本の皆さんとペモン族ウルルン滞在記を共有したい
南米ベネズエラに行ったことがある日本人は少ないし、アウヤンテプイのトレッキングツアーに挑戦したことがある日本人は極めて稀だし、ペモン族の集落に長期滞在した日本人はひとりもいない。
そこでぼくの貴重な経験を日本の皆さんと共有したいと思っている。
1.JIBURi.comへ記事公開
まずは今まで通り、このブログへ記事を公開するつもりだ。
今回はさらっと概要だけを紹介したが、これからは一個ずつ詳しく情報をまとめていきたい。
ベネズエラ関係で100個は原稿ネタがたまっているので、これからコロンビアへ移動する前にできるだけ文章化したい。
2.他のメディアへ記事を執筆
また、他のメディアへも記事を執筆する予定だ。
すでにいくつかのメディアから執筆依頼を受けているので、これから記事を作成したくさんの人にベネズエラの魅力を知ってもらいたい。
そのために、たくさんの写真と動画を撮影してきた。
記事の執筆依頼は、お問い合わせからお願いします。
Photo by Ryoma Honjo
3.note、電子書籍、Youtubeなどで共有
これまではメディアで記事を書くだけだったが、これからはnoteや電子書籍、YouTubeなども利用していきたいと考えている。
様々な手段でこの経験を日本人と共有したい。
まとめ
47日間、南米ベネズエラのペモン族集落でウルルン滞在記をしてきた。
楽しい想い出もあるし、つらい記憶もある。
しかし、普通の日本人では経験できない貴重な経験を積むことができた。
この経験を日本の皆さんと共有していきたい。
ほしいものリスト支援者のみなさまへ
最後になりましたが、このプロジェクトのためにAmazonのほしいものリストで支援してくださったみなさん、ありがとうございました。
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みなさまのおかげで電気がなく過酷な条件のテーブルマウンテンでも無事に活動を行い、帰ってくることができました。
支援して頂いた物品は、次のボリビア・ウユニ塩湖バイオトイレプロジェクトでも活用させて頂きます。
本当にありがとうございました!