2015年12月31日大晦日に南米ボリビアのウユニ市で30名の日本人旅行者と共に、ウユニ塩湖環境改善プロジェクトの一環として「ゴミ拾いイベント」を開催した。
今回のゴミ拾いイベントは「旅人育成団体タビイク」と「ウユニ塩湖環境改善プロジェクト」のコラボイベントであり、中南米専門旅行会社オンリーワントラベルやウユニ市役所ゴミ処理課、ウユニ市内のツアー会社からも協力を得て実施することができた。
しかし、もっとたくさんの日本人にウユニ塩原周辺のゴミ問題について知ってもらいたいのと、その解決のために力を貸していただきたいと思っている。
そこで今回は、大晦日のゴミ拾いイベントについて紹介しよう。
ウユニ塩湖環境改善プロジェクト
現在、ぼくは南米ボリビアのウユニ市に滞在し、ウユニ塩湖環境改善プロジェクトを実施している。
青年海外協力隊OBとオンリーワントラベル
ウユニ塩湖環境改善プロジェクトの中心は、JICAボランティアの青年海外協力隊OBと中南米専門旅行会社オンリーワントラベルである。
それ以外にも様々なメンバーや企業が協力してくれており、ウユニ塩湖周辺の環境改善のために活動している。
参考:ウユニ塩湖の安心日本人ガイドツアー!パナマの中南米専門旅行会社Only One Travel(オンリーワントラベル)が素敵すぎる!
ぼくたちは具体的には、以下の二点を目標に活動している。
(1)環境にやさしいバイオトイレの建設
(2)ゴミ問題の解決
今回のゴミ拾いイベントは、ゴミ問題の解決のために実施した。
ウユニ市周辺のゴミ問題
ウユニ市周辺のトイレ&ゴミの環境問題については、こちらの過去記事を読んでもらいたい。
参考:これが世界一美しい絶景?日本人旅行者に人気のウユニ塩湖の「汚い実態」を暴露します
ウユニ市内のゴミ問題について、写真を使って説明しよう。
(1)ごみが散乱している街中
ウユニ市の街中にはごみが散乱している。
ウユニ市は観光で成り立っている街なので、観光客に「ウユニ市はごみが散乱した汚い町」というイメージを持たれることは、市にとってマイナスになる。
このように道にはごみが散乱している。
市の中心地もゴミだらけ。
市民はゴミが落ちていることを全然気にしていない。
(2)ゴミ箱が少なく、小さい
ウユニ市の街中にごみが散乱する原因の一つは、ゴミ箱が少なく小さいからだ。
市内にはほとんどゴミ箱がなく、あっても容量が小さいので、すぐにいっぱいになりゴミが溢れてしまう。
(3)野犬がゴミを漁って、散らかす
さらに状況を悪化させているのは、野犬の存在だ。
ウユニ市ではゴミを交差点の真ん中に放置するのが一般的で、そのゴミを野犬が食い散らかすのだ。
野犬が散らかすことでビニールゴミがウユニ市特有の強風で飛ばされて、ウユニ市周辺に散らかってしまう。
そもそも、ウユニ市ではゴミの分別回収ができておらず、生ゴミ・ビニールゴミ・ペットボトル・空き缶・空き瓶・乾電池などなどすべてのゴミを埋め立てている。
そのため、犬が生ゴミを探すためにゴミを漁るのだ。
ゴミの量を減らすために、路上でゴミを勝手に燃やす人もいる。
ゴミを燃やすことで発生する有害物質ダイオキシンの存在など知らないのだろう。
ウユニ市内の交差点にはこのようなゴミの塊が点在しており、悪臭を放っている。
とても観光地とは思えない状況だ。
ウユニ市には野犬が多いので、観光客は不快感と恐怖感を感じている。
野犬に吠えられたり、追いかけられることもあるからだ。
もちろん狂犬病感染のリスクもある。
(4)回収方法
ウユニ市のゴミ問題は、回収方法にも原因がある。
そもそも、交差点にゴミを放置するのをやめればいいのだ!
しかも、実は最近ウユニ市に「ゴミの分別処理施設」が完成したので、ゴミのリサイクルや分別処理をすることができる。
しかし、ウユニ市民には「ゴミを種類ごとに分ける」という行為の経験がゼロなので、分別回収が全く浸透していない。
ゴミの分別回収方法を教え、回収時間を指定することで街中のゴミ問題は解決できるだろう。
ただし、彼らにそれを実施させるのはとても難しいことで「途上国のゴミ問題の解決には、最低20年かかる」といわれているほどだ。
そこで今回は、20年先を見据えたその第一日目として「ゴミ拾いイベント」を開催することにした。
「ゴミが落ちていると人はゴミを捨てていいと感じ、不法投棄ごみが増える」と言われているので、町中と列車の墓場のゴミを減らし美化意識を向上させることが目的だ。
旅人育成団体タビイクとウユニ市役所と旅行会社と協力して準備
今回のゴミ拾いイベントは、旅人育成団体タビイクとウユニ環境改善プロジェクトのコラボ企画である。
まずは準備の様子を紹介しよう。
旅人育成団体タビイク
「タビイク」とは日本の旅人育成団体である。
初めての旅は、誰でも不安である。
「あの人だからできる」なんてことは勝手な思い込み。
皆それぞれの想いを胸に秘め、旅に出る。
ワクワクに身を任せ、不安な気持ちを乗り越えて、一歩を踏み出す。
必要なのは、少しの勇気だけ。
その、一歩を踏み出すサポートを『タビイク』が全力で致します。
引用元:タビイク
今回は南米のペルーとボリビアで旅行初心者向けのツアーを開催していた。
その参加者はおよそ15名。
引率者の世界一周人気ブログ旅丸のshoさん
タビイクツアーの参加者15名を引率していたのが、世界一周人気ブログの旅丸を運営するカリスマ世界一周ブロガーのshoさんだ。
ぼくはshoさんとコロンビアのメデジンにある日本人宿Shuhariで知り合い、一緒にメイドカフェも楽しんだ。
参考:くらえ、萌え萌えビーム!世界一美女が多い町コロンビアのメデジンにあるメイドカフェは萌え死に注意
そして、shoさんから「ウユニ塩湖でゴミ拾いをしたい!」という話を聞き、一緒にコラボイベントを開催することにした。
役割分担としては、shoさんがタビイク参加者やその他の日本人旅行者を集め、ぼくが市役所や旅行会社との打ち合わせを担当した。
こちらがshoさんが運営する人気ブログ旅丸。
ウユニ市役所ゴミ処理課と協力
まずはウユニ市のゴミ問題について意見交換をするために、ウユニ市のゴミ処理課の責任者と話をした。
彼らも問題意識は持っていたので、「一緒にゴミの分別回収について取り組もう」という話になり、具体的にはプランを作成しウユニ市長へ提案することになった。
それからゴミ拾いイベントについても説明し、ゴミの回収に協力してもらえることになった。
ウユニ塩湖のツアー会社と協力
この段階ですでに参加者は25名をほどいたが、せっかくなので一般参加者も募ることにした。
ウユニ市駅前にある日本人に人気のツアー会社「穂高ツーリスト」と「ブリサツアーズ」へ行き事情を説明し、イベントの参加者を募る張り紙を貼らせてもらった。
この二つの旅行会社のスタッフとは何回も話をしていたので、快く協力してくれた。
そのおかげで、3名の一般参加者が加わった。
大晦日にゴミ拾いイベントを31名のボランティアと実施した
そして、2015年12月31日の午前中にゴミ拾いイベントを開催した。
31名の参加者
参加者は31名で、日本人旅行者が30名と韓国人旅行者が1名である。
タビイクツアーの参加者が15名で、残りはウユニ市を訪問中の日本人旅行者だった。
ウユニ市の駅前大通り
まずは、朝9時にウユニ駅に集合し、イベントについて説明を行った。
その後2つグループに分かれて、1時間ほどかけて駅周辺と大通りのゴミ拾いを行った。
ウユニ駅前でゴミを拾う参加者たち。
生ゴミ・リサイクルゴミ・埋め立てゴミの3種類に分別して回収してもらった。
参加者にはオンリーワントラベルから提供して頂いた軍手とミネラルウオーターとゴミ袋を配布し、怪我がないようにゴミ拾いをしてもらった。
大量のゴミが落ちていたので、結局100袋以上のゴミを回収した。
露天の市場でゴミを拾っていると、ウユニ市民から写真を撮られたり、質問を受けた。
「旅行者なのにゴミを拾うなんて偉い! とても素晴らしい活動だ!!」などと温かい声をかけてもらった。
1時間ほどかけてウユニ駅周辺と大通りでゴミ拾いを行った。
回収したごみはプラスチックゴミが多かった。
生ゴミや野犬の糞もあった。
最後に駅前で集合写真。
この後、徒歩で列車の墓場まで移動した。
観光名所・列車の墓場
ウユニ駅から列車の墓場までは、徒歩で40分ほど。
遠足気分でみんなで歩いた。
列車の墓場までの道は、ゴミだらけ。
普段は観光客は車で移動するので気が付かないが、歩いてみるとそのゴミの多さに驚愕するだろう。
道の両脇がゴミの山。
これはウユニ市から風で飛んできたゴミもあるし、不法投棄もある。
そして、ウユニ市の観光名所・列車の墓場に到着。
実は列車の墓場もゴミだらけなのだ。
観光客が記念撮影をする列車のすぐ隣には、大量の不法投棄ゴミがある。
誰もゴミを拾わないので、どんどんゴミは増えていく。
列車の墓場に到着した時が、実は日本が新年2016年を迎えた瞬間だった。
ボリビアはまだ31日の午前11時だったが、日本に合わせて年越しカウントダウンをみんなでしてから、ゴミ拾いを始めた。
ゴミ拾いの相談をする参加者のみなさん。
ぼくはゴミ袋を買い足したり、写真を撮影したり、話しかけてくる市民の通訳をしていて、実際のゴミ拾いは参加者のみなさんにお任せした。
列車の墓場でゴミ拾いをする日本人旅行者たち。
タバコの吸い殻、ビールの缶、空き瓶、ペットボトルなどが多かった。
ツアーの車が停まる駐車場から列車の墓場の間にも大量のゴミが落ちていたので、みんなで拾った。
最初に用意していたゴミ袋は30袋だったが全然足りず、どんどん買い足して最終的には100袋以上使った。
列車の墓場でも1時間ほどゴミ拾いをして、集めたごみを一か所に固めた。
このゴミは市役所のゴミ処理課がトラックで、分別処理場へ運んでくれることになっている。
照り付ける太陽のなか、参加者のみなさんも文句言わずにゴミ拾いをしてくれた。
本当にありがたい。
世界一周中の高校生バックパッカー、吉野裕斗くんもゴミ拾いに参加してくれた。
彼は高校を休学して、世界中で国際協力の現場を見ながら旅をしているそうだ。
後日、彼はウユニ塩湖環境改善プロジェクトへ寄付をしてくれたので、大切に使わせて頂く予定だ。
こちらが吉野くんのブログ。
これが列車の墓場で集めたゴミ。
生ゴミは少なく、プラスチックゴミと埋め立てゴミが多かった。
今回のゴミ拾いイベントの発案者である旅丸のshoさんから、最後に総括をして頂いた。
「ゴミが無くなるまで、ウユニ塩湖のゴミ拾いを毎年恒例行事にしていきたい!」 と話してくれた。
最後に集合写真。
列車の墓場の周辺にはまだまだゴミが大量に落ちているが、列車の墓場の内部のゴミは減らすことができた。
もちろんたった一日のゴミ拾いイベントではすべてのゴミは回収できないし、根本的なゴミ捨ての意識を変えて分別回収を整備しないとゴミ問題は解決しない。
今でもウユニ市と列車の墓場の周辺には大量のゴミが落ちている。
しかし、それでも日本人旅行者が30名でゴミ拾いを行ったことは、ウユニ市民に驚きを与え、ゴミについて考えさせるきっかけにはなったと思う。
今後は根本的で継続的な解決のために、本格的な活動を始めたい。
ウユニ市のゴミ問題を根本的に解決をするために
ここからはウユニ市のゴミ問題を根本的に解決するために、準備していることについて説明しよう。
コチャバンバ市とティキパヤ市のゴミ処理方法の視察
先週、ボリビアのコチャバンバ市とティキパヤ市を訪問し、ゴミ処理方法を見学させて頂いた。
この二つの市はウユニ市からバスで12時間ほどの位置にあり、ウユニ市よりもゴミ問題に対して先進的な取り組みをしている。
コチャバンバ市
コチャバンバ市はボリビア第三の都市で、街中には50m間隔で分別ゴミ箱が並んでいる。
マジで町中にゴミ箱があり、いつでもゴミを捨てられるようになっている。
住宅地には大型のゴミ箱もあり、溢れ返ることがない。
この2種類のゴミ箱をウユニ市にも設置したい。
ティキパヤ市
コチャバンバ市のお隣のティキパヤ市には、JICAのシニアボランティア・環境教育隊員が活動していて、その方に今回の視察を引き受けて頂いた。
ティキパヤ市では最近、ゴミの分別回収プロジェクトを始めたので、その様子を見学させて頂いた。
市内の一部の地域で実験的に「ゴミの分別・曜日と時間指定回収」を行っている。
ティキパヤ市のゴミ回収には、JICAと韓国の国際協力機関とスペインのカタルーニャ州が支援を行っている。
韓国の国際協力機関の支援で、この小型回収車を購入し、分別回収に利用している。
ぼくが訪問した日には、街中の家を周って「生ゴミだけ」を「手渡し」で回収していた。
こうすることで不法投棄が減り、埋め立てゴミの量を減らせるそうだ。
こちらがリサイクルゴミの保管場所。
ペットボトルや空き缶、空き瓶はここで保管してから、リサイクル業者へ販売している。
回収した生ゴミはコンポスト場へ集め、コンポストに変えている。
こちらがコンポスト。
生ゴミの塊の下には「通気溝」が設けられているため、撹拌の必要性がない。
そして、完成した生ゴミコンポストは市が経営する園芸品店で、「植物の肥料」として使われている。
ティキパヤ市では、コンポストの使い道まですでに整っているのだ!
ティキパヤ市で活動しているJICAシニアボランティアの方は、「家庭用コンポスト」を普及していた。
このアイデアはウユニ市でも応用できそうだ。
そして、できたコンポストで野菜も育てていた。
ぼくは野菜栽培が専門なので、ここまで教えられたら最高だ。
コチャバンバ市とティキパヤ市の事例を参考にして、ウユニ市のゴミ処理課とウユニ市のゴミ回収の改善を行いたいと思っている。
しかし、ゴミの分別回収の指導には、最低でも20年はかかるといわれているので、もっと大きな組織の力も必要になる。
JICAボリビアへ協力を要請中
そこで、JICAのボリビア事務所にも連絡を取り、協力を要請している。
具体的には、ウユニ市への青年海外協力隊もしくはシニア海外ボランティアの派遣を相談している。
JICAボランティアが2年間ウユニ市役所と協力して活動すれば、状況を改善できると思う。
【追記】
残念ながら、JICAボリビア様からは協力を断られました……
Ready forでクラウドファンディングを準備中
さらにウユニ市の環境を改善するためには、どうしても資金が必要になり、ウユニ市はそれを用意できない。
青年海外協力隊OBとオンリーワントラベルの力だけでは足りないので、Ready forというサイトを利用してクラウドファンディング(ネット上の募金)を1月から行う予定でいる。
クラウドファンディングで集めたお金は、ウユニ市のゴミ処理方法の改善とバイオトイレの建設費用に充てる。
以上が、今後のウユニ市のゴミ問題解決のためのプランだ。
まとめ
大晦日にウユニ市で30名の日本人ボランティアと一緒に、ゴミ拾いイベントを開催した。
ウユニ駅前と列車の墓場のゴミを拾い綺麗にすることができたが、これは20年先を見据えた改善プロジェクトの第一日目である。
「ゴミの指導には20年必要」といわれているので、ウユニ市の環境が改善されるのは早くても2036年。
ゴミ問題の根本的で継続的な解決のために、これからも市役所やJICAと協力しながら活動していく予定だ。
クラウドファンディングを開始したら、ぜひみなさんにも告知と募金に協力して頂きたい。
→ クラウドファンディングREADYFORで応援したいプロジェクトに募金する方法&ウユニ塩湖環境改善プロジェクトの宣伝
【追記】ウユニ市のローカルメディアUyuni.Web様に取り上げて頂きました。
ウユニ市のローカルメディアUyuni.Web様から取材を受け、イベントについて記事にして頂きました。
全文スペイン語ですが、良いことが書いてあります。
【追記】ボリビアの全国紙「El Deber」にも取り上げられました!
なんと、ボリビアの全国紙El Deberに取り上げて頂きました!
さすが全国紙の知名度は抜群でぼくがウユニ市で道を歩いていると、「もしかしてゴミ拾いをした日本人か? 新聞見たぞ、ありがとな!」と3名から声をかけて頂きました。
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