JICAシニア海外ボランティアは青年海外協力隊の給料540万円年齢40歳から69歳英語力TOEIC330点版

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“JICAのシニア海外ボランティア”って何だろう?

JICAの青年海外協力隊は聞いたことがあっても、シニア海外ボランティアのことは知らない人が多いだろう。

・開発途上国でボランティアする大人?

・でも、青年海外協力隊は若い人しかなれないんだよね?

・やってみたいけど、お金も特別な資格もないから、私には無理だよ…..

シニア海外ボランティアについて、こんな風に感じているのではないだろうか。

ぼくは青年海外海外協力隊に二年間参加した経験があるのでわかる。

JICAのことも、青年海外協力隊のことも、日本人には正しく理解されていない。

なので、さらにマイナーな「シニア海外ボランティア」のことなら、なおさら日本人には知られていない。

一回も耳にしたことがない人も多いんじゃないかな……

かんたんにまとめると、実はシニア海外ボランティアとはこんな制度。

・受験できる年齢は40歳から69歳(青年海外協力隊は20歳から39歳)

・最低限必要な英語力はTOEIC330点

・2年間で生活費が408万円支給される(もちろん返済義務なし)

・国内手当として帰国後に132万円が支給される(給料のようなもの)

・日本と海外の往復交通費は全額JICAが支払うので自己負担は一切なし

・ボランティア活動に関係する費用もJICAがすべて支払うので自己負担は一切なし

・配偶者や子どもと一緒に海外へ渡航し、家族と一緒に海外で生活することもできる

こんな条件だと知ると以前からボランティアをしたい人も、今まで全然興味がなかった人も、もっと知りたくなったのではないだろうか?

そこで今回は、知られざるシニア海外ボランティアについて詳しく紹介しよう。

【追記】

JICAのボランティア制度に大きな変更がありました。

シニアボランティアについて、JICAのホームページで最新情報をご確認ください。

 

 

目次

独立行政法人国際協力機構JICAとは?

まずは、シニア海外ボランティアを実施している、独立行政法人国際協力機構JICAを紹介しよう。

 

JICAは日本の国際協力を行う組織

JICAは日本の政府開発援助(ODA)を行う機関。

わかりやすくいうと、「日本国を代表して国際協力を行っている組織」。

年間予算はおよそ1兆円(1,000,000,000,000円)。

参考:UNDPとJICAの予算と職員数の比較が面白い

 

JICAの9個の仕事

JICAは九種類の業務を行っている。

主な二つの仕事が、以下の(1)技術協力と(2)資金協力である。

技術協力とは、例えばJICAの専門家や開発コンサルティング会社のコンサルタントを派遣するプロジェクトの実施だ。

資金協力とは、例えば途上国にお金を貸してインフラ整備を行うことだ。

(1)開発途上国への技術協力

・研修員受入
・専門家派遣
・機材供与
・技術協力センター設置・運営
・開発計画に関する基礎的調査

(2)有償資金協力

・円借款
・海外投融資

(3)無償資金協力

※外交政策の遂行上の必要から外務省が自ら実施するものを除く。

(4)国民等の協力活動の促進

(5)海外移住者・日系人への支援

(6)技術協力のための人材の養成及び確保

(7)調査および研究

(8)緊急援助のための機材・物資の備蓄・供与

(9)国際緊急援助隊の派遣

参考:JICA組織概要

 

JICAイコール、ボランティアではない

「え、JICAはボランティアをしているんじゃないの??」

と思った人もいるだろう。

「JICAは青年海外協力隊を運営している組織」と勘違いしている人もいるが、実際にはJICAにとって青年海外協力隊の運営は、業務の中のほんの一部にすぎない。

(4)国民等の協力活動の促進、として以下の3つの海外ボランティア制度を運営している。

・青年海外協力隊

・シニア海外ボランティア

・日系社会青年ボランティア

今回はこの中で、シニア海外ボランティアについて説明する。

 

青年海外協力隊とは20歳から39歳までのボランティア制度

その前に、青年海外協力隊について少しだけ説明しよう。

青年海外協力隊とは、JICAのボランティア制度の中でも一番知名度が高い。

年齢が20歳から39歳までの日本国籍を持つ人が、開発途上国で2年間ボランティアを行うプログラムだ。

ぼくは青年海外協力隊として、2013年から2015年まで中米パナマ共和国に派遣されていた。

このブログに青年海外協力隊の体験談について書いているので、ぜひ読んでみてほしい。

参考:JICAボランティア青年海外協力隊になりたい人が絶対に読むべき厳選記事まとめ

 

【追記】青年海外協力隊についてガチで詳しく解説する

20歳から39歳までの青年海外協力隊については、こちらの記事でガチで徹底的に解説しているので、合わせて読んでみてほしい。

参考:JICA青年海外協力隊とは?ボランティア経験者がガチで徹底的に解説する

 

 

シニア海外ボランティアとは40歳から69歳までのボランティア制度

今回はシニア海外ボランティアについて詳しく説明するが、まずはかんたんに説明しよう。

シニア海外ボランティアとは、40歳から69歳の日本国籍を持つ人向けのボランティア制度。

青年海外協力隊のおじさん、おばさんバージョン」と考えれば、だいたい合っている。

ただし、青年海外協力隊とは違うことも多いので、今回はそこを徹底的に解説したい。

 

 

青年海外協力隊とシニア海外ボランティアの違い、専門家との違い

次に、青年海外協力隊とシニア海外ボランティアの違い、またJICAのプロジェクトに派遣される専門家との違いを説明しよう。

応募できる年齢は40歳から69歳

シニア海外ボランティアに応募できる年齢は、40歳から69歳まで

これは応募時の年齢なので、69歳のときに応募すれば70歳になってからでも参加できる。

なので、39歳のときに青年海外協力隊に応募して、40歳になってから青年海外協力隊として派遣される人もいる。

青年海外協力隊とシニア海外ボランティアでは待遇が全然違うので、海外ボランティアに参加したい30代後半の人は、どちらが良いか考えてから応募しよう。

 

受験方法

応募方法はかんたんで、受験申し込み書類に必要事項を記入して、郵送するだけ。

申込用紙はJICAから取り寄せてもいいし、応募説明会でもらうこともできる。

JICAボランティアは「要請」と呼ばれる「採用枠」ごとに申し込むのだが、シニア海外ボランティアの場合には「2件」選択できる。

JICAがどちらが最適か判断して、合格の場合には基本的にはそのどちらかが選択される。

ちなみに青年海外協力隊は第一希望から第三希望までの「3件」を選択できる。

ただし、青年海外協力隊は希望が通るとは限らず、3件以外の派遣先を指定されることも多い。

 

シニア海外ボランティアの待遇は良い

シニア海外ボランティアの待遇は、基本的には青年海外協力隊と同じである。

ただし、金銭的な待遇、家族の待遇、福利厚生の待遇に違いがある。

かんたんにいうと、シニア海外ボランティアは青年海外協力隊よりも待遇がめちゃくちゃ良い!

 

家族と一緒に任地に住める

シニア海外ボランティアの待遇の良さとして有名なのが、家族同伴で途上国に住めること

例えば、ぼくが結婚していて奥さんと子どもが二人いたとする。

ぼくが40歳になってシニア海外ボランティアに合格した場合には、希望すれば奥さんと子ども二人を派遣先の国に連れていける。

しかも、家族の往復渡航費や生活費もJICAから支払ってもらえる。

ただし、子どもの教育費は自分持ちで、家族の健康診断などの審査がある。

 

JICAプロジェクトの専門家との違い

最初に説明したとおり、JICAは国際協力のために専門家やコンサルタントを派遣して、途上国でプロジェクトを行っている。

青年海外協力隊と専門家の違いは、「年齢の若さ」と「技術の未熟さ」と「経験の少なさ」だとハッキリとわかる。

では、専門家とシニア海外ボランティアの違いはなんだろうか?

実は専門家とシニア海外ボランティアは、年齢も似ているし、求められる技術レベルや経験の長さもほとんど同じである。

唯一の違いは、専門家は成果を求められる代わりに報酬が支払われるプロフェッショナルであり、シニア海外ボランティアは成果が求められない代わりに報酬もないボランティアであることだ。

※ただし、シニア海外ボランティアにも現地生活費と国内手当という名目で、2年間でおよそ540万円が支給されるし、往復渡航費や日本への一時帰国費用、家族の渡航費なども全額がJICAから支給される。

 

 

シニア海外ボランティアになる方法、条件

「こんな良い条件なら、私もシニア海外ボランティアになりたい!」

と思い始めた人もいるのではないだろうか?

そこで次は、シニア海外ボランティアの条件や採用される方法を説明しよう。

 

シニア海外ボランティアの採用方法

シニア海外ボランティアの採用方法は、他のJICAボランティアと同じで年に2回ある試験に合格することである。

受験票はJICAに申請して送ってもらうか、説明会やボランティアの帰国後報告会でもらうことができる。

 

説明会、帰国ボランティアの報告会へ参加しよう

シニア海外ボランティアだけでなく、JICAボランティアに応募したい人は、応募する前にボランティア説明会や帰国ボランティアの報告会に参加することをおすすめする。

採用手順について詳しく説明を聞けるし、受験の相談にも乗ってもらえるからだ。

例えば、こんな話が聞ける。

・どの要請を受けるべきか?

・自分の語学力や健康状態でも合格できそうか?

・シニア海外ボランティア経験者のぶっちゃけトーク

ぼくが青年海外協力隊を受験するときにも、何回も説明会や報告会に参加して、ボランティアから体験談を聞いたり相談した。

受験するときにはその話がとても役に立ったので、シニア海外ボランティアを受験する人にも、ぜひ説明会に参加してみてほしい!

 

シニア海外ボランティアの採用時期

募集は毎年2回、春と秋に行われる。

春募集は4月から、秋募集は10月から開始し、募集期間はおよそ40日間。

この時期になると電車や町中にポスターが貼られるので、見たことがある人も多いだろう。

 

受験手順

シニア海外ボランティアの受験手順は、一次審査で書類審査があり、二次審査で面接審査がある。

志望理由書、健康診断書、英語(外国語)能力試験の書類(TOEIC)などが必要になる。

ぼくの場合には、2012年4月の春募集に応募し秋頃に合格通知が届き、2013年4月から6月まで派遣前訓練を受けて、2013年7月からパナマ共和国へ派遣された。

なので、合格から派遣までは半年から一年半ほどの時間がかかると想定しておこう。

 

合格するポイント

シニア海外ボランティアが合格するかどうかのポイントは、以下の五点。

(1)ボランティアとしての資質(志望理由、意欲、適応力)

(2)技術力(技術、知識、経験)

(3)語学力(英語、外国語)

(4)健康状態(持病はないか)

(5)運

青年海外協力隊に合格する方法は、こちらに書いているのでシニア海外ボランティアを希望する人にも、ぜひみてほしい。

参考:本当は教えたくない!青年海外協力隊の試験に合格する裏技を暴露する。新卒で社会人経験なしなのにJICAボランティアに採用された方法

参考:合格率50%以下の難関テスト!青年海外協力隊の二次試験の人物判定面接で、JICA試験官(精神鑑定士)から受けた忘れられない質問

 

(1)ボランティアとしての資質(志望理由、意欲、適応力)

ボランティアとしての資質は、JICAのホームページを読み込んだり、海外ボランティア募集要項を読み込めば理解できるはず。

「とにかく、自分の経験を発揮したい!」みたいな人よりも、「現地の困っていることを、自分の経験を生かして解決したい!」みたいな人の方がボランティアには合っている。

(2)技術力(技術、知識、経験)

シニア海外ボランティアに求められない技術力は、青年海外協力隊よりも高いレベル。

JICAの専門家と同じくらいの経験と技術を求められている。

一説によると、専門家にかかる人件費を削るためにシニア海外ボランティアが使われているとも……

(3)語学力(英語、外国語)

シニア海外ボランティアは、語学力も青年海外協力隊よりも求められている。

例えば、スペイン語圏に派遣されるシニア海外ボランティアは、基本的にスペイン語が話せる人だけだった。

英語圏に派遣される人はもちろん英語がペラペラ。

※ただし、JICAのボランティア制度は頻繁に変更になるので、語学力の基準も変わるだろう。

(4)健康状態(持病はないか)

シニア海外ボランティアになれるかどうかの一番難しい関門が、健康診断だろう。

JICAボランティアは医療が整っていない開発途上国に派遣されるので、健康状態が良い人でないと派遣されない。

これは青年海外協力隊も同じで持病がある人や健康診断で引っかかった人は、かなりの確率で不合格になる。

シニア海外ボランティアは40歳以上なので、健康に不安がある人も多くて健康診断を突破するのが問題だろう。

JICAボランティアの中には持病を隠して受験する人もいるが、危険なのでおすすめできない。

任国で持病が悪化して何回も日本へ治療のために帰国する隊員や、任国で体調が急に悪化して亡くなってしまう人もいるので、持病を隠して受験するのは絶対にやめてほしい。

(5)運

シニア海外ボランティアになるためには、運も大事。

なぜかというと、JICAがそのときにほしがっている人材ではないと合格できないから。

どんなに能力がある人でも、それを活かせる「要請」がないと行けないのだ。

 

語学力はどれくらい必要か?

シニア海外ボランティアの語学力は、青年海外協力隊よりも必要と言われている。

しかし実は、受験するために最低限必要な語学レベルは、英検3級以上TOEIC330点である。

実はめちゃくちゃ低い。

ただし、要請によってはフランス語が必須だったり、スペイン語が必須だったりする。

また、応募者が多ければ語学力が低い人は不利になり、語学力が高い人のほうが合格しやすくなる。

 

合格後のステップ

二次試験に合格した場合には、合格通知が届く。

そのあと、本当に参加するかを考えて、どうするか返事を送る。

JICAが定める条件(JICA長期ボランティア経験者等)を満たした場合には、派遣前訓練の代わりに、3日間の「語学訓練免除者研修」を受講することになる。

そうでなければ、福島県二本松市か長野県駒ケ岳市の訓練所で「35日程度の派遣前訓練」を受ける。

ちなみに、青年海外協力隊の派遣前訓練はおよそ70日間であり、シニア海外ボランティアと同時に行われる。

 

シニア海外ボランティアの派遣前訓練

シニア海外ボランティアの派遣前訓練は、およそ35日間。

受講内容は青年海外協力隊とほぼ同じで、語学の授業が半分でもう半分はボランティア精神などについて。

派遣前訓練にかかる往復旅費、食費や宿泊費、訓練費用はすべてJICAが負担する。

派遣前訓練については、こちらの過去記事を読んでほしい。

参考:青年海外協力隊の派遣前訓練はぬるま湯!JICA駒ヶ根訓練所での70日間に及ぶボランティア語学訓練の体験談

参考:青年海外協力隊の恋愛ぶっちゃけます!JICA訓練所で恋人カップルが生まれる駒ヶ根マジックがおきる5つの理由

ただし、自己都合により訓練を途中でやめたり、訓練が終わってから自己都合で派遣を辞退した場合には、キャンセルにかかった航空券などの費用を自己負担しなければいけない。

「直前で辞めるなんて、そんな人いるの??」と思うかもしれないがぼくの同期でもいたし、カルロスさんも卒業直前で辞めている。

参考:【特別寄稿】宮﨑大輔に支えられた、カルロスの青年海外協力隊、辞退までの道のり

 

派遣期間は基本的には2年間だが延長も可能

シニア海外ボランティアの派遣期間は、基本的には2年間。

その前に35日間の派遣前訓練があるので、拘束期間はもう少し長くなる。

青年海外協力隊も派遣期間は2年間だが、最長で1年間の延長が認められている。

ただし、これは受け入れ先の団体やJICAの各国の所長の意向が強く反映されるので、延長できないことも多い。

 

帰国後の就職支援はない

シニア海外ボランティアに対して、帰国後の就職支援はない。

これは青年海外協力隊も同じで、2年間の派遣終了後にはJICAとは何の関係もなくなる。

なので、再就職をしたい人は、自分で仕事を探さないといけない。

 

どんな職業の人が多いの?

シニア海外ボランティアになる人は、どんな職業の人が多いのだろうか?

ぼくの知っている限りでは、メーカーで働いていたサラリーマンやシステムエンジニア、学校の先生が多い。

はっきりいって、その人に合った「要請」さえあれば、どんな職業でもシニア海外ボランティアになれる。

 

【裏技】JICAとのコネクション

シニア海外ボランティアになる裏技として、JICAとコネクションを持っておくと良い。

なぜかというと、JICAとしてはシニア海外ボランティアの枠を埋めたいので、募集者がいない要請には誰かを埋めたいのだ。

なので、シニア海外ボランティアに行きたい人で技術や語学力がある人を探していて、ピッタリな要請がある場合にはあちらから声がかかることがある。

 

 

シニア海外ボランティアの待遇

シニア海外ボランティアになりたくなった人もいると思うので、次に待遇について解説しよう。

日本の口座に振り込まれる国内手当(実質、給料)

無給休職又は無職の状態で、65歳未満のシニア海外ボランティアには、国内手当が支払わられる。

国内手当とは、日本国内で必要なことに使ってよいお金で、日本の口座に毎月5万5千円が振り込まれる。

※訓練期間中も月4万円が支払われる。

JICAによると、これは「給料」や「報酬」ではなく、「手当」だそう。

なぜかというと、ボランティアだから。

5万5千円が2年間(24ヶ月間)振り込まれるので、総額132万円がいただける。

青年海外協力隊はどうかというと、毎月8万5千円が24ヶ月間支給されるので、総額204万円がいただける。

※現職参加だと国内手当はもらえないが、代わりに給料が24ヶ月分支払われるので700万円とかになる。

参考:現役JICAボランティアが教える!青年海外協力隊のよくある7つの誤解「給料はない?実は204万円以上の就職準備金(国内積立金)がもらえる!」

 

 

現地生活費は6万7千円から17万円

現地での生活費は国内手当とは別に支給され、現地の銀行口座に振り込まれる。

JICAが国や地域ごとに定めた金額で、金額は月600~1,510ドル、日本円で6万7千円から17万円

※家賃は含まない

開発途上国といっても国によって物価は全然違うし、ど田舎に住むか首都に住むかで生活費も変わってくる。

「一ヶ月間の生活費が6万7千円から17万円」と聞いてどう感じるのかわからないが、途上国でこれだけもらえると、めちゃくちゃいい暮らしができる。

ちなみに、青年海外協力隊の現地生活費は月300~760ドル(日本円で3万円4千円から8万6千円)。

なので、シニア海外ボランティアは青年海外協力隊のおよそ二倍の生活費をもらっていて、ぼくらから見るとシニアの人たちはすごくゴージャスな生活をしていた。

ぼくがパナマで協力隊時代にもらっていた現地生活費は月におよそ4万円だったので、平日のお小遣いは100円くらいで我慢してポテチと瓶コーラを飲んで、連休には観光や写真撮影に行っていた。

 

家賃、住居は高級マンションか庭付き一戸建て

シニア海外ボランティアの住居は、協力隊員よりも良い。

地域にもよるが、シニア海外ボランティアは高級マンションか、庭とプール付きの一戸建てに住んでいることが多い。

贅沢に聞こえるかもしれないが、セキュリティを考えると致し方ない。

途上国は治安が悪い地域も多く、外国人の中年男性や女性がお金を持っているとわかったら危険だからだ。

なので、必然的に24時間ガードマンがいるセキュリティがしっかりした高級マンションや、電気柵で囲まれた庭付き一戸建てに住むことになる。

ぼくはセメントブロックでできた家に住み、寝ていると体の上をねずみが走り回っていたけどね(笑)

参考:青年海外協力隊のホームステイの家を決める時に、ぼくは豪邸よりバルサを選んだ。

 

往復渡航費はすべてJICAが負担

JICAボランティアの往復渡航費は、すべてJICAが負担してくれる。

なので、シニア海外ボランティアも「航空賃・交通費・宿泊費・移転料」など、すべて支払う必要がない。

飛行機はエコノミークラス。

パスポートは「公用旅券」とよばれる外交官などが使う特別なパスポートが発行される。

 

ボランティア活動費、現地業務費

ボランティアが活動するために必要な費用は、基本的には受け入れ国や組織が支払うことになっているが、実際には支払われることはほとんどない。

なぜかというと、受け入れ先がJICAボランティアを受け入れる理由は、お金をもらったり物を買ってもらうためだからだ。

なので、結局はJICAボランティアが「現地業務費」というお金を使って、ボランティア活動するケースがほとんど。

でもぼくはそれがおかしいと思ったので、2年間で一度も現地業務費を使わなかった。

参考:青年海外協力隊の給料と生活費をぶっちゃけます!ボランティア派遣16ヶ月目のぼくが未だにJICAの現地業務費を一度も申請していない理由

 

シニア海外ボランティアは家族の随伴制度がある

シニア海外ボランティアの大きな特徴が、家族を同伴して渡航、生活できること。

JICAからは、18歳以下の家族の「往復渡航費用」と「家族手当」が支給される。

家族手当は一家族当たり現地生活費の3分の2なので、月額でおよそ5万円から11万円

ただし、家族の随伴のためには、配偶者と子どもが健康診断を受けてJICAの許可が下りないといけない。

また、まずはボランティアが一人で任地に赴任し生活が落ち着いてから、日本の家族を呼ぶことも可能。

※派遣期間の半分以上を現地で過ごす場合には

これは青年海外協力隊には禁止されている。

 

配偶者と子どもの一時呼寄せ制度

シニア海外ボランティアには、配偶者と子どもを一時的に呼び寄せる制度もある。

派遣期間中に一回だけ、JICAの旅費補助を受けて一部は自己負担で、家族を任国に呼ぶことができる。

これは青年海外協力隊にはない制度。

 

年間20日間の休暇と任国外旅行

年間20日間の休暇

シニア海外ボランティアは、配属先のカレンダーとは別に、年間20日間の休暇が取れる。

もちろん所属団体が土日休みの場合には、土日は休み。

中南米の学校は3ヶ月ほどの中期休暇が年に2回もあるので、教師隊員は年間のおよそ半分が休暇だった(笑)

もちろん、この長期休暇を利用してセミナーを開催する人もいたし、ずっと遊んでいる人もいた。

任国外旅行

シニア海外ボランティアは、自己負担による任国外旅行が可能。

基本的にはどこの国でも自由に旅して良い。

青年海外協力隊も同じ制度があるが、行ける国はかなり制限があり、パナマ隊員はコスタリカとメキシコ以外には入国禁止だった。

先進国のリゾート地でバカンスを楽しむことができるし、近隣の途上国に活動する協力隊員の任地を訪問することもできる。

健康診断のための一時帰国

シニア海外ボランティアは、健康診断のために日本へ一時帰国することができ、その費用はJICAが負担してくれる。

これは青年海外協力隊にはない制度。

 

現地での生活レベル

シニア海外ボランティアの現地での生活レベルは、ぶっちゃけハイクラスだと思う。

スーパーで好きなだけ食料とお酒が買えて、移動はタクシーが使えて、お金に困ることはまったくないだろう。

もし、休日に旅行して高級ホテルや高級レストランを使う場合には、多少お金が足りなくてクレジットカードを使うかもしれないが。

 

安全対策は万全なのか?

シニア海外ボランティアになりたい人の心配ごとといえば、安全対策についてだろう。

ぼくはJICAの安全対策はかなりレベルが高いと思っている。

なので、JICA事務所が開催する安全講習会やミーティングで注意されることを守れば、犯罪に巻き込まれるリスクを下がることができるといえる。

ただし、中南米など治安が悪い地域ではどれだけ対策をしても、襲われるときは襲われる。

衛生状態が悪いアフリカでは、どれだけ対策してもマラリアにかかる。

実際に、事故や事件、病気にかかり任国で命を落とすJICAボランティアも毎年いる。

なので、シニア海外ボランティアに参加したら、日本で暮らすよりは危険な生活になることは覚悟しよう。

こちらにJICAで習った安全対策法をまとめたので、参考にしてみてほしい。

参考:海外旅行で事件・事故・スリ・強盗・誘拐・レイプに遭わない方法!青年海外協力隊の2年間でJICAから学んだ海外で身を守る安全対策まとめ

 

途上国の医療レベル

途上国の医療レベルは、日本よりは低い。

JICAは首都に提携病院を用意しているが、それでも医療レベルは低い。

緊急時には近くの先進国へ飛行機で病人を輸送することになっている。

なので、健康状態が良好で持病がない人しかJICAボランティアにはなれないのだ。

 

 

 

シニア海外ボランティアの仕事内容、職種

次に、シニア海外ボランティアの仕事、業務について紹介しよう。

シニア海外ボランティアの派遣国

シニア海外ボランティアの派遣国は、世界中の開発途上国である。

JICAボランティアの派遣エリアは、アジア、中南米、大洋州、アフリカ。

ぼくが今まで行ったことある国の中では、メキシコ、コスタリカ、パナマ、ベネズエラ、コロンビア、エクアドル、ペルー、チリ、ボリビア、アルゼンチン、ケニア、ベトナムに派遣されていた。

途上国を旅していると、どこにいってもJICAボランティアの存在を感じられる。

 

シニア海外ボランティアの職種

シニア海外ボランティアには、9つの分野がある。

(1)計画・行政

(2)公共・公益事業

(3)農林水産

(4)鉱工業

(5)エネルギー

(6)商業・観光

(7)人的資源

(8)保健医療

(9)社会福祉

 

(1)計画・行政

計画・行政分野の職種は、コミュニティ開発、行政サービス、防災・災害対策、環境行政、コンピュータ技術など。

NGOやNPO、公務員として働いた経験がある人や、コンピュータに強い理系の人に向いている分野だ。

(2)公共・公益事業

公共・公益事業の職種は、水質検査、上水道、下水道、廃棄物処理、道路、港湾、地震、土木、都市計画、建築、建築設備など。

インフラ整備の仕事なので、コンサルティング会社やゼネコン業界、建設業界で働いていた人に向いているだろう。

(3)農林水産

農林水産の職種は、野菜栽培、果樹栽培、バイオテクノロジー、病虫害対策、土壌肥料、農業土木、農業機械、農産物加工、獣医・衛生、林業・森林保全など。

農業関連企業、JA、農業試験場、林業関連企業、獣医などの経験がある人に向いている。

ぼくがシニア海外ボランティアに行くとしたら、この分野だろう(行く予定はないけど)。

(4)鉱工業

鉄工業の職種は、溶接、工作機械、冷凍機器・空調、電気・電子機器、電気・電子設備、建設機械、自動車整備など。

電気系や機械系の仕事をしていた人に向いている分野だ。

(5)エネルギー

エネルギー分野の職種は、再生可能・省エネルギー、電力など。

電気会社とか再生エネルギー関連の業務経験者が求められている分野。

マニアックな分野なので競争倍率が低そう。

(6)商業・観光

商業・観光分野の職種は、輸出振興、経営管理、品質管理・生産性向上、マーケティング、観光など。

商社で働いていた人や、観光関連の仕事をしていた人が向いていそう。

(7)人的資源

人的資源の職種は、環境教育、水泳、卓球、バドミントン、ソフトボール、野球、フェンシング、柔道、空手道、数学教育、小学校教育、幼児教育など。

スポーツ指導をしていた人や教師がなるべき職種。

(8)保健医療

保健医療の職種は、看護師、助産師、診療放射線技師、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士など。

これは完全に医療従事者向けの仕事だ。

(9)社会福祉

社会福祉の職種は、ソーシャルワーカー、障害児・者支援、福祉用具、高齢者介護など。

日本でも社会福祉施設で働いていたい人が向いているだろう。

 

どんなことをするのか?

職種を見てもらえばわかると思うけど、いろんな仕事がある。

なので、「シニア海外ボランティア」と一言でいっても、仕事内容はひとりひとり違う。

ど田舎の農村で働く人もいるだろうし、首都の高層ビルの中でデスクワークをする人もいる。

職種だけでなく要請ごとにやることが違うので、受験する前に「要望調査票」という業務内容が載った書類を読み込もう。

要望調査票はJICAのホームページで見ることができる。

 

シニア海外ボランティアのブログ

シニア海外ボランティア体験者のリアルな姿を知ってもらうために、ブログをいくつか紹介しよう。

これからのブログを読んでもらえば、シニア海外ボランティアについて理解が深まると思う。

コロンビアで小学校の算数教育

2014.10-2016.09の2年間,JICAボランティアとして,南米コロンビアのキンディーオ県アルメニア市で小学校算数教育に携わっていきます。

 

 

 

ザンビアで教育関係

ザンビアでボランティアとして活動。日常と非日常の記録。

 

 

 

ミャンマーでコンピュータ関係

このページでは、ミャンマーにJICAシニア海外ボランティアで赴任し、ミャンマーに貢献し、さらに自分を成長させていくのかをテーマに記録していきます。また、ミャンマーの発展ぶりも生活を記録したブログを通じてお届けしたいと考えています。

 

 

 

サモアの臨床検査

55歳となり職場を早期退職して、退路を断つてのJICAシニアボランティア挑戦です。

 

 

 

 

シニア海外ボランティアのメリット・デメリット

次は、シニア海外ボランティアのメリットとデメリットについて、参加者、受け入れ先、JICAの目線で考えてみよう。

参加者の目線

メリット

・金銭的な負担が0円で、海外に2年間暮らせる

・JICAの看板を背負って、ボランティアができる

・途上国のために、今までの経験を活かせる

デメリット

・日本の生活を一時的に捨てることになる

・専門家や会社員と比べて報酬額が少ない

・治安や衛生状態が悪く、リスクが高い

・日本に帰国してから進路が不安定

 

受け入れ先の目線

メリット

・タダで先進国の技術者を呼べる

・JICAの資金を使える

・実績として評価される

デメリット

・国際協力の未経験者が多い

・高齢者は異文化適応力が低いことが多い

・日本人が来ると仕事が増える

 

JICAの目線

メリット

・専門家よりも安い人件費で技術者を派遣できる

・ボランティア派遣の実績になる

・ボランティアの年齢制限を上げられる

デメリット

・青年海外協力隊よりもコストが高い

・体調を崩すリスクが高い

・要請も参加希望者も少ない

 

 

シニア海外ボランティア経験者限定のロスター制度

シニア海外ボランティアには、「ロフスター制度」という登録制度がある。

これはシニア海外ボランティアの経験者限定の登録制度で、これに登録すると二回目以降の派遣がスムーズになる。

実は、シニア海外ボランティアは2回以上行きたい人が多いのだ。

待遇が良いし、子育てを終えて暇な人が多いからね。

ただし、青年海外協力隊にはこのような制度はない。

青年海外協力隊に2回以上行く人もいるし、青年海外協力隊を経験してからシニア海外ボランティアに行く人もいるけどね。

シニア海外ボランティアロスター制度とは、開発途上国から需要の高い職種について経験、語学、健康等について一定レベルをクリアした方を予め人材として登録し、受入国からの要請に対し、より迅速に的確な人材を派遣し、活動してもらう制度です。

活動は受入国からの要請によって決まるので、長期、短期、どちらの場合もあります。

 

・2012年4月1日以降に出発した長期シニア海外ボランティア(派遣期間1年以上)の経験がある方(原則として応募職種での経験とします)

・2018年3月31日現在で67歳以下の方

・JICAが指定する語学レベル(英語・西語・仏語)「B」以上の方語学レベルの目安表でご確認ください。

・随時、さまざまな受入国からの派遣要請に応えることができる方(時間的な融通が可能な方)

引用元:シニア海外ボランティアロフスター制度

 

 

シニア海外ボランティアはこんな人におすすめ

シニア海外ボランティアは、こんな人におすすめしたい。

・早期退職して何かやりたい人

・途上国で働いてみたい人

・仕事の経験を社会のために生かしたい人

・専門家になれるほどじゃないけど、ある程度のスキルがある人

・日本での経験を海外のために役立てたい人

・新しいことにチャレンジしたい人

・海外で経験を積んで、さらに自分を成長させたい人

・家族と一緒に途上国へ移住した人

・若い頃に青年海外協力隊になりたかったけど、その夢を叶えられなかった人

・若い頃に青年海外協力隊に参加して、もう一度JICAボランティアになりたい人

 

【追記】シニア海外ボランティアになりたい人におすすめの記事

シニア海外ボランティアになる前にクレジットカードを作ろう

シニア海外ボランティアに参加したい人は、日本にいるうちにクレジットカードを作ろう。

なぜかというと、クレジットカードを持っていれば、任国でも日本の口座のお金を自由に使えて便利だからだ。

生活費はJICAから支給されるが、任国外旅行の費用や国内旅行の費用などは自己負担なので、クレジットカードは必須。

今ではほとんどのJICAボランティア隊員が、クレジットカードを持って行っている。

こちらの記事でおすすめのクレジットカード5種類を紹介しているので、ぜひ読んでみてほしい。

→ 海外旅行におすすめなクレジットカード5選!保険が付帯するので世界一周する人や学生向け

 

途上国で働きたい人は、転職サイトに登録しよう

すでにシニア海外ボランティアに参加することを決めた人は、帰国後の進路は考えているだろうか?

日本へ帰国してからもし再就職を考えている場合には、今から転職サイトに登録して転職の準備を始めよう。

一般的に企業は「海外ボランティアの二年間」を評価しないので、今から自分の市場価値を測っておくことが大切だからだ。

また、まだシニア海外ボランティアを受験しようか迷っている人も、転職サイトに登録して「途上国と関われる仕事」を探してみよう。

例えば、日系企業の駐在員として途上国で働いたり、外資系の社員として途上国で働くことだってできる。

ただし、これらの求人情報は非公開求人なので、転職サイトに無料登録しないと見ることができない。

ぼくも実際に転職サイトに登録して、その手順をこちらの記事で紹介しているので、ぜひ読んでみてほしい。

→ 転職して海外で働きたい人はリクルートエージェントに登録して求人情報をみよう

 

 

シニア海外ボランティアの情報まとめ

今回は、JICAのシニア海外ボランティアについて説明した。

シニア海外ボランティアは、40歳から69歳の日本国籍を持つ人が参加できるプログラム。

自己負担金はゼロ円で、2年間で540万円ほどの現金をもらえるので、かなり待遇が良いボランティア制度だ。

シニア海外ボランティアに興味を持った人は、JICAの公式サイトから「要請」を検索してみてほしい。

募集時期は年に二回だけなので、それに合わせて早めに探しておくといいですよ。

【追記】

JICAのボランティア制度に大きな変更がありました。

JICAの公式サイトを見て確認してください。

編集長が実際に買ったAmazonのおすすめ便利グッズ

Amazonで編集長が実際に買って使っている便利グッズを紹介します。

①デスクワーク・在宅ワーク用品

②YouTubeの撮影用品

③農業や家庭菜園用品

Amazonは詐欺商品が多いので注意しないといけないですが、使い勝手が良い通販サイトです。

Daisuke MiyazakiのAmazonの購入履歴

編集長が実際に買った楽天市場のおすすめグッズ

楽天市場で編集長が実際に買って使っているグッズを紹介します。

①イチゴ栽培に使うもの

②家庭菜園の野菜づくりに使うもの

③ビールやワイン

④おつまみとおかず

楽天市場は0と5が付く日と18日はポイント還元率が高くなるのでお得です(毎月5日、10日、15日、18日、20日、25日、30日)。

ポイント還元を含めて考えると、近所のスーパーマーケットで買うよりも安いことが多いです。

Daisuke Miyazakiの楽天市場の購入履歴

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