青年海外協力隊に向いていない人の3つの特徴
ぼくはJICAのボランティア制度である青年海外協力隊として、中米パナマ共和国で2年間ボランティア活動を行った。
そして、任期終了に伴いちょうど一ヶ月後に日本へ帰国する。
ぼくが青年海外協力隊に参加したのは、「青年海外協力隊のリアルを知ること」がひとつの目的だった。
実際に2年間ボランティア活動をしたことで、JICAボランティアの実態を知ることができた。
そして、「こんな人は青年海外協力隊に向いていない」という人の特徴をつかむことにも成功した。
そこで今回は、青年海外協力隊に向いていない人の3つの特徴を紹介しよう。
01 日本人と現地人に対して「感謝の気持ちがない」
まず、青年海外協力隊に向いていないのは、日本人と現地人に対して感謝の気持ちがない人だ。
1.日本人の税金のおかげでJICAのボランティア制度がある
JICAのボランティア制度である青年海外協力隊やシニア海外ボランティアの運営費は、日本人の税金でまかなわれている。
本当かどうかはわからないが一説によると、ボランティア一名の派遣費用は「2,000万円」らしい。
そして、これまでに派遣されたボランティアは4万人以上もいるので、とんでもない額の税金がJICAボランティアに費やされている。
参考:自殺・妊娠・辞退・任期短縮・就職難?青年海外協力隊の問題・実態10個
現在、ボランティアはいとも簡単にJICAのボランティア活動費を使ったり、派遣された後にも語学研修の追加を要求しているが、果たしてそれに見合った活動成果を上げているのだろうか?
ボランティアは事業仕分けにより国内積立金が減額されたことを嘆き、現地生活費の少なさに文句を言う前に、日本人の税金でボランティア活動できていることに感謝の気持ちを持つべきだと思う。
2.派遣国政府と現地人の受け入れのおかげでボランティア活動ができている
また、ぼくたち青年海外協力隊がボランティア活動をできているのは、派遣国政府と現地人の受け入れがあるからだ。
勘違いしている人が多いが、JICAのボランティア制度は途上国のためだけではなく、むしろボランティアをしたい「日本人のためにある制度」だ。
各国のJICA事務所が途上国で案件を探して要望調査票を作って、日本人を派遣できる状況を作っている。
参考:現役JICAボランティアが教える!青年海外協力隊のよくある7つの誤解「給料はない?実は204万円以上の国内手当がもらえる!」
ただの素人ボランティアを、2年間も受け入れてくれる派遣国政府に感謝しよう。
さらに異文化・異教徒の日本人を受け入れてくれる現地人にも感謝の気持ちを忘れてはいけない。
JICAボランティアを受け入れることは、配属先にとって相当なストレスになっているからだ。
参考:部屋の壁に貼り2年間毎日読んだ12個の青年海外協力隊活動モットー
02 ボランティア自身の問題を「JICA・協力隊員・配属先職員に責任転嫁する」
ボランティア自身の問題をJICAや他の協力隊員、配属先職員に責任転嫁する人は、青年海外協力隊に向いていない。
1.活動が上手くいかないのは、100%ボランティアに責任がある!
まず大前提として、青年海外協力隊やシニア海外ボランティアの活動は、99%上手くいかない。
JICAボランティア広報誌クロスロードには、ボランティアの成功エピソードばかり掲載されているが、あれは「どこからかかき集められた1%の奇跡体験アンビリバボー的な話」だ。
参考:【青年海外協力隊の武辺寛則】ガーナのアチュワ村で村長になりパイナップルの特産品化に成功するが、事故でこの世を去ったJICAボランティア
では、99%ものボランティア活動がうまくいっていないということは、JICAの制度が悪いのか?発展途上国に問題があるのか?
もちろん要望調査票と現実に大きなギャップがあったり、突然プロジェクトが崩壊したり、職場が消えたりするのはボランティアにはどうすることもできない問題だ。
しかし、発生した問題に対してどのような態度を取るか、その問題に対して前向きに立ち向かうか、ひたすら他人のせいにして逃げ続けるかはボランティアが選択することができる。
要はボランティア活動の達成度は、100%ボランティアに責任があるのだ。
参考:JICAが悪い?カウンターパートが働かない?否!青年海外協力隊員の活動が上手くいかない原因は、100%ボランティアに責任がある。
もちろんぼくも2年間活動して来たので、発展途上国では信じられないようなトラブル・外的障害が発生することは百も承知だが、それでもすべての責任は自分にあるという意識を持っていないと、すぐに他人に責任転嫁するという逃げに走ってしまい2年間を棒に振ることになる。
参考:相棒が指を切断、プロジェクトが崩壊、ぼくは40度の熱で寝込んだ。
参考:青年海外協力隊の要請プロジェクトが崩壊したおかげで、忘れかけていたボランティア活動のモットーを思い出せた。
2.グループ派遣の罠
特に気を付けるべきなのは、「グループ派遣」という派遣形態で派遣されるボランティアだ。
グループ派遣とは2名以上のボランティアを同じ任地もしくは同じ配属先、もしくは同じプロジェクトに派遣することで、数年前からJICAが積極的に取り入れている派遣形態だ。
パナマに派遣される隊員も、多くはグループ派遣である。
複数のボランティアが一緒に活動することは一見効率が良く、ボランティア活動の成功確率が上がるように見えるが、ぼくは成功事例をほとんど知らないし、空中崩壊などの失敗事例は山ほど耳にする。
それはボランティア同士が足を引っ張り合うこともあるし、ボランティア間のモチベーションがあまりにもかけ離れていることが多いからだ。
個人的な意見としては、「グループ派遣は百害あって一利なし」だと思っている。
03 JICAボランティアや国際協力に「清廉潔白な理想を抱いている」
3つ目の特徴は、JICAボランティアや国際協力に清廉潔白な理想を抱いている人だ。
1.国際協力の世界は特別ではなく、そこら辺の企業と同じ
国際協力やボランティアをしている人は「崇高な人間」というイメージがあるが、実際はただの人間だ。
おそらく中にはマザーテレサやガンジーのような人間もいるのだろうが、そんな人は稀で大多数のメンバーは普通の欲深い人間なのだ。
プロの国際協力の世界ではキャリアの争奪戦が過激で、足の引っ張り合いも多いらしい。
以前、国際協力機関で働いている人が「国際協力は特別な業界ではなく他の業界と同じで、性格が悪い奴ほど出世する」と教えてくれた。
心が綺麗な頭の中にお花畑が咲いている理想家ではなく、欲にまみれたゲスイ現実主義者が支配する世界なのだ。
2.JICAボランティアも人間だもの
JICAボランティアは、キリストやブッダのような聖人ではない。
ボランティアだって美味しいものが食べたいし、綺麗なベッドで寝たいし、かわいい女性・カッコイイ男性にモテたいし、お金はたくさん欲しいし、良い服が着たいし、旅行に行きたいし、たばこを吸う人もいるし、お酒を飲む人もいるし、承認欲求だって持っている。
朝から晩まで365日、砂漠で井戸を掘っている訳じゃない、だって「JICAボランティアも人間だもの」。
「ボランティアは貧しい生活をしないといけない! 娯楽は全部禁止! プライベートはない!」という思考は、とりあえず公務員を批判することと同じ発想だ。
本来、ボランティアに求めるべきものはストイックさではなく、ボランティア活動の「成果」のはずだ。
「お酒もタバコも全くしないけど、役に立たないボランティア」と「お酒もタバコもするけど、村人の生活を向上する役に立つボランティア」ならば、後者の方がぼくは良いボランティアだと思う。
【追記】青年海外協力隊についてガチで詳しく解説しよう
青年海外協力隊について、経験者がガチで詳しく解説する記事を書いた。
青年海外協力隊に興味がある人には、ぜひ一度読んでほしい。
参考:JICA青年海外協力隊とは?ボランティア経験者がガチで徹底的に解説する
まとめ
2年間青年海外協力隊として活動したぼくが考える「青年海外協力隊に向いていない人の特徴」は、以下の3つだと思う。
01 日本人と現地人に対して「感謝の気持ちがない」
02 ボランティア自身の問題を「JICA・協力隊員・配属先職員に責任転嫁する」
03 JICAボランティアや国際協力に「清廉潔白な理想を抱いている」
この3つの条件に当てはまる人は、青年海外協力隊にならない方がいいと思う。
また、もしあなたが青年海外協力隊になったことを後悔しているとしたら、これらの要因が当てはまるのではないだろうか?
ここまで書いて気がついた。
そう、だから、ぼくは青年海外協力隊に向いていないのだ。
参考:ちょうど2年前の今日、JICA駒ヶ根訓練所に入所したぼくへ「お前は青年海外協力隊に向いていない」
参考:語学留学、ギャップイヤー、ワーホリで海外移住したい人へ!20代でパナマで1年半ボランティアして得たもの・失ったもの