日本帰国まで一ヶ月の青年海外協力隊の活動状況
ついにぼくの青年海外協力隊生活も残すところ、あと一ヶ月になった。
昨年は山奥の無電化集落をメインに一人で活動してきたが、最近は配属先の同僚たちのお手伝いに徹している。
日本帰国が迫り新しい活動を始めることができないし、村人の力で継続してもらうために今まで通っていた集落には、最近はあえて行っていない。
その代り、同僚たちの補助として新しい活動を行っているので、最近の活動状況をご報告しよう。
1.新しいコミュニティで学校菜園の開墾指導
最近は、新しい山奥の集落で学校菜園の開墾を指導している。
(1)車の荷台につかまって山奥の集落へ
山奥の集落へ、同僚が運転する車の荷台につかまって通っている。
この業務はぼくが本来担当している活動ではなく、希望して同行させてもらっているので座席は確保できず、車の荷台につかまって連れて行ってもらっている。
要請内容であった栄養改善プロジェクトの巡回指導でも、立場が低いボランティアは座席を使わせてもらえず、荷台につかまっていくことが多かった。
崖っぷちの未舗装の超でこぼこ道を走るので、必死に捕まっていないと崖下に振り落とされる危険性があり、命がけで巡回に同行している。
以前にも紹介したが、ぼくが青年海外協力隊の任期中に死ぬとしたら交通事故だと思う。
参考:青年海外協力隊の任期中にパナマで死ぬとしたら、死因は交通事故だろう。
荷台につかまりながら命がけで、山道を走る車の動画を撮影してみたので、ご覧いただきたい。
最近アウトドア用防水ビデオカメラのGo Proがほしい。
川も車で渡るが、幸いにも最近は雨が降っていないので、水位がとても低くて安全に通過できる。
雨季のスコールの後に川を渡ろうとすると、車が流される危険性と鉄砲水に襲われる可能性があり、マジで怖い。
川を渡る時はこんな景色だ。
車の荷台に乗って1時間ほどで、ぼくが今まで活動していない山奥の集落へ到着する。
この集落にはまだら模様の豚がいた。
(2)小さな学校
集落の奥にある小さな学校で、学校菜園を開墾する予定だ。
ぼくが2年間2つの学校菜園プロジェクトを支援してきたので、その経験を同僚たちに還元するために、今回のプロジェクトに同行させてもらうことにした。
帰国間近だからと、同僚が記念撮影をしてくれた。
学校では10名ほどの子供が、一名の先生の指導のもと勉強していた。
この学校のソーラーパネルは故障していないので電気が使える。
すべての学校にソーラーパネルが設置されているが、故障している学校も多い。
学校の裏の広場を学校菜園にする予定だ。
この日は、測量をして開墾する準備をした。
(3)中くらいの学校
小さな学校から少し村の中心地へ戻ると、中くらいの学校がある。
まずは所長が保護者会に、支援の内容を説明した。
それから学校の敷地内の一画に、畑を作るために目印を立てた。
地面はガッチガチに固いので、ツルハシで掘っていく。
パナマでは土が粘土質なので農作業にツルハシが欠かせない。
日本の農家はツルハシはなかなか使わないので、ぼくはツルハシの使い方が下手くそだ。
パナマでは全員で一斉に農作業をすることは少ない。
常に半分の村人は休憩していて、交代で作業する。
そして、村人が勝手に家に帰るので、ドンドン作業する人数が減っていく。
半日がかりでなんとか畝の準備が終わった。
2.コーヒー畑の病気の調査
コーヒー畑に行き、病気の調査も行っている。
(1)枯れたコーヒーの木
カニャーサス郡内の高地では、コーヒーが栽培されている。
といっても、ゲイシャコーヒーが栽培されているパナマのボケテ高原のように大規模ではなく、山の中に数十本植えられているだけだ。
そのコーヒー畑で、最近木が枯れて問題になっている。
このように一部の新葉を残して、葉が枯れる木が多い。
すべての木が枯れている。
完全に葉がなくなったコーヒーの木。
新葉も変形している。
葉には病斑のようなものが現れている。
ぼくはコーヒーが好きだし、コーヒー農園にも2回行った。
参考:中米パナマ・ボケテ高原のレリダコーヒー農園の生産・加工・輸入・テイスティング方法
他の同僚よりはコーヒー栽培のことも理解しているので、村人の力になりたいのだが一つ問題がある。
(2)酔っ払いたち
村人たちはみんな酔っぱらっていて、話にならないのだ。
彼らははちみつを溶かした液体を発酵させて発酵酒を作り、毎日朝から飲み続けている。
カニャーサス郡の山奥の集落に住む男性のほとんどは、常に酔っ払い状態なのだ。
この男性は酔っぱらって何も話しているのか意味が分からないし、見つけた蛇にキスをしていた。
木の枝に擬態したヘビがいた。
この酔っ払いはぼくのメガネを奪い取って車の文字を読もうとした後に、「俺、文字が読めないんだった」とつぶやいていた。
これはこの集落に限った問題ではなく、すべての集落で起きていることだ。
2年間ぼくは酔っ払いに悩まされてきた。
農業指導をしようとしても村人は酔っ払っていて理性が働いていないし、「酒を飲め! オラ! 俺の酒が飲めないのか!」とからんでくる。
しかも、ぼくたちが職場に帰ろうとすると、「1ドルくれ! 金をくれ!」と金をせびり出す。
普通の同僚たちは支払わないが、獣医や所長クラスになると小銭を渡している。
彼らには彼らの暮らし方があるが、そのせいでぼくには支援できない。
3.展示圃場でマンゴーの種播き
山奥の集落で活動していると、正気な村人からマンゴーをもらった。
パナマにはいろんな種類のマンゴーがあるが、これは長細い種類だった。
完熟状態ならばバナナのように皮を剥いて食べられる。
味は美味しいが、繊維質がすごくて歯の間に繊維が挟まりまくる。
このマンゴーの種を集めてきて、展示圃場に播くことになった。
まずは土を耕して肥料と稲わらを少し混ぜて、苗床を用意した。
そこに種を植えて、あとは発芽を待つだけだ。
ちゃんと播種日などの情報を記した看板も設置した。
4.カリフラワーの袋栽培
カリフラワーの苗が大きくなったので、袋に定植した。
カリフラワーの種は野菜栽培が盛んなチリキ県で入手した。
パナマ人の同僚はカリフラワーという野菜を知らなかったが、スーパーには外国人やお金持ち向けに売っている。
苗はプラコップで育てた。
土、川の堆積物、有機肥料、稲わらを混ぜて培地を作った。
参考:メリット&失敗しないコツ!家庭菜園の袋栽培で誰でも簡単に新鮮で美味しい野菜を収穫する方法
一袋に一株ずつ植えた。
植えたらすぐにたっぷりと水を与える。
日差しが強いので、枯れないに日除けを設置した。
参考:熱帯農業のプロが教える!真夏に家庭菜園に植えた野菜の苗が枯れるのを防ぐ秘訣
事務所を訪問した村人が関心を持ってくれるように、一番目立つ場所に袋を設置した。
5.展示圃場のキュウリが収穫間近
展示圃場のキュウリが収穫間近になっている。
このキュウリは同僚が播いて、ぼくが稲わらマルチを設置したものだ。
大きなキュウリがなっている。
パナマのキュウリ系統は、今の日本の主流とは違う。
しかし、日本でも昔はこの太短い系統が主流だった。
参考:信州の伝統野菜は美味しく面白い!長野県下伊那郡天龍村の巨大な在来品種ていざなすの誕生秘話と阿南町の鈴ケ沢なすとの意外な関係
パナマでは皮を剥いて、種を取り除いて、果肉だけを食べる。
6.放牧中の仔牛が再び襲撃
順調そうな展示圃場だが、放牧中の仔牛が再び襲撃して来た。
以前にも仔牛が展示圃場の畝を踏み荒してことがあったが、またしてもこいつらにやられた。
参考:展示圃場が盛り上がってきた!100個の空心菜苗プレゼント作戦&野菜の畑を襲う野良牛vs番犬パンキー
牛がトマトの畝を踏み荒したあと。
どうやら今回は昼間に正面入り口から侵入したらしい。
仔牛のせいで3本のトマトの苗が茎を折られて枯れてしまった。
こんなこともあろうかと予備の苗を用意してあったので、すぐに植え替えた。
まとめ
青年海外協力隊の任期終了まで一ヶ月になり、最近では同僚の巡回指導に同行したり、展示圃場で農作業をしている。
そろそろ最終調査のために、ボランティア活動をメインに行った集落へ、滞在調査に行く予定だ。