改良かまどとは
改良かまどの名前の由来
改良かまどとは、岩手県遠野市で生まれた機能的なカマドのことである。
日本の栄養学者、岸田袈裟氏がアフリカのケニアで最初に改良かまどの普及を始めた。
それまで以前は「三つ石カマド」と呼ばれる、石を地面に置いただけのカマドが主流だった。
三つ石カマドには、大量の薪が必要で、室内に煙も充満し、母親の腰痛や子供の火傷も多かった。
詳しくは、Wikipediaを参照。
改良かまどのメリット
改良かまどのメリットは、以下の三点である。
1.燃焼効率が良いので、薪の量が減らせる。
森林資源の枯渇が問題になり、砂漠化が進んでいるような地域では特に必要である。
2.有害な煙を室外に排出できる。
薪を燃焼したときに発生する煙を吸い込むことで、気管支系が被害を受けることを防ぐことが出来る。
3.台の上にあるので楽な姿勢で調理でき、子供の火傷も防げる。
地面ではなく土台の上に竃を設置することで、母親の腰痛を回避できるし、子供の怪我も予防できる。
途上国での改良かまどの普及
青年海外協力隊によるアフリカでの改良カマドの普及
現在、改良かまどは青年海外協力隊などの国際協力機関の手によって、アフリカなどの発展途上国の農村地帯に普及されている。
青年海外協力隊・平成25年度一次隊でも村落開発普及員という職種で、アフリカで改良かまどの普及を行っている隊員がいる。
他にも、コミュニティ開発や森林保護、植林などの環境保護系の職種でも改良かまどの普及を行っている。
アフリカだけでなく、ラテンアメリカ地域でも改良かまどの普及は行われている。
中南米パナマでの改良カマドの普及
パナマでは、生活改善の一環として改良かまどの普及が行われている。
ぼくのカウンターパートもその取り組みに参加しており、改良かまど作りの講習会に参加した。
しかし、パナマで普及している改良かまどは、コンクリートブロックとセメントを使った頑丈な作りの改良かまどで、作るのに費用がかかるため、村落部では全く普及していない。
パナマでは、パナマの環境省と農牧省、日本のJICAとボランティア組織の青年海外協力隊、それからアメリカの国際援助ボランティア団体のピースコープなどが改良かまどの普及に取り組んでいる。
ぼくが行った改良かまどの普及活動
ぼくも青年海外協力隊として、パナマの農村地域で改良カマド作りを教えた。
改良かまどの作り方を教える
まずは、プロジェクトのコーディネーターと青年海外協力隊コミュニティ開発隊員から、改良カマドの作り方マニュアルをもらい、作り方を教えてもらった。
それから、山奥の村に行き、村人と一緒に改良竃を作った。
そのときの様子は、過去の記事を読んでもらいたい。
参照:青年海外協力隊・野菜栽培隊員も改良かまどを普及し、焼畑農業する。|JIBURi.com
スペシャル改良かまどとの出逢い
その後、別の村を調査中に特別な改良かまどを発見した。
一般的な改良かまどとは全く違う構造だが、通常以上の性能を有しているカマドだった。
そのときの記事はこちら。
参照:青年海外協力隊として村落で普及した改良かまどの作り方の再評価|JIBURi.com
改良かまどの作り方を知りたい村人
それから数か月後、配属先の農牧省の事務所にいると、「改良かまどの作り方を教えて欲しい」という女性と出逢った。
彼女が住んでいる村はプロジェクトの参加地域だったが、彼女は子供を持っていないので、学校菜園で活動するぼくとは初対面だった。
ぼくは以前に別の村で作った改良かまどの写真をパソコンを使って見せて、改良かまどの作り方を教えた。
彼女は「作ってみる!」と言い残して、事務所を去って行った。
コミュニティの村人が開発した超・改良かまど
「彼女は無事にかまどを作れたかなぁ…」と心配していると、女性が住むコミュニティで活動する青年海外協力隊の村落開発普及員から、「女性がすごい改良かまどを作った!」と教えてもらった。
そこで、今週見学しに行った。
改良かまどの見学
改良かまどを作った女性の家を訪ねるのは2回目。
この集落は町から1時間半以上離れており、電気も水道もないコミュニティである。
一回目には、彼女の家は地面に直接石を並べるタイプの「三つ石カマド」しか持っていなかった。
しかし、今回は改良かまどを持っていた。
しかも…
なんと!
五連のカマドだった!!
土台の上にあるので、調理は楽になったそうだ。
極小 → 小 → 中 → 大 → 巨大
5つの大きさの鍋にピッタリと合うように、カマドの幅が作られていた。
「一度に複数の鍋で調理ができるから、時間が短縮できる」と話していた。
改良かまどを見た感想
煙突を付けることは出来なかったけど、素晴らしい。
ぼくは一つの竃しか教えていないので、まさか五連の竃を作るとは予想外だった。
村人のアイデアに感動したし、実際に自分の力だけで改良かまどを作る行動力に感服した。
彼女はこのブログで度々登場する「クラントロビジネス」をしていた。
参照:JICAパナマのクラントロの産地化は「成功事例の中の成功事例」なのでは?|JIBURi.com
彼女はこのコミュニティの誰よりも「生活の質を改善させたい!」という意欲を持っていた。
まとめ
改良かまどは途上国で普及されている、日本生まれの技術であり、アフリカを中心に世界中の開発途上国で普及されている。
パナマでも青年海外協力隊などが普及しているが、ぼくが教えた改良かまどの作り方をさらに改良し、五連カマドを作る女性が現れた。
彼女は生活を改善したいという意欲にあふれており、改良かまどの普及には村人の意欲と創意工夫を引き出すことが重要だと感じた。
これからも、需要があれば改良かまど作りを普及しようと思う。
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