人生2回目のコーヒー農園見学ツアーに参加
2015年お正月にパナマ国チリキ県ボケテ地区のレリダ農園で、人生2度目のコーヒー農園見学ツアーに参加した。
1回目のコーヒーツアーはカフェ・ルイス農園
前回参加したコーヒーツアーの農園は、パナマ国チリキ県ボケテ地区のカフェ・ルイス農園。
人生初のコーヒー農園ツアーに参加し、コーヒーも農業も大好きなぼくは感動した!
前回のコーヒーツアーの様子は、以下の過去記事リンクにまとめたのでぜひ読んでもらいたい。
参照:コーヒー好きは必読!パナマのコーヒー農園ツアーで学んだゲイシャ品種の特徴と栽培方法、精製・焙煎技術まとめ
パナマ国最大のコーヒー産地チリキ県ボケテ地区
チリキ県ボケテ地区は、中南米パナマ共和国最大のコーヒー産地である。
標高が高く涼しい気候と火山灰性土壌により、良質なコーヒーを生産することができる。
そのため、ボケテ地区には小さなコーヒー農家も含めれば、1,200軒のコーヒー生産者がいるそうだ。
大規模コーヒー生産農園は、自社の精製工場と貯蔵工場を持ち、世界中にコーヒー豆を輸出している。
ボケテ地区のレリダ農園
ボケテ地区にある大規模コーヒー農園の一つが、レリダ農園(Finca Lerida)である。
レリダ農園はノルウェー人により開拓されたが、その後アメリカの退役軍人に買い取られた。
2001年のコーヒー品評会では、「ベスト・オブ・パナマ」に輝いている。
一時は「品質が低下した」といわれたが、パナマ人実業家に買い取られた後は品質が向上した。
最近では、ホテル業とレストランにも力を入れ、欧米人旅行者向けにリゾート地化している。
農園内には、きれいなロッジがたくさんあり、欧米人の宿泊客が滞在していた。
レリダ農園のコーヒーが飲めるカフェ Bajareque Coffee
パナマ共和国の首都パナマシティには、レリダ農園のコーヒーが飲めるカフェがある。
カフェの名前は、Bajareque Coffee(バハレケ・コーヒー)。
バハレケ・コーヒーは、パナマシティのショッピングモールやカスコ・アンティグオにある。
参照:パナマシティ旅行者へ!世界遺産カスコ・ビエホ(カスコ・アンティグオ)の観光情報
ゲイシャコーヒーと「3種類の精製方法の飲み比べ」
バハレケ・コーヒーでは、1杯9ドルでレリア農園産ゲイシャコーヒーが飲める。
また【水洗い式・ハニー式・ナチュラル式】という3種類のコーヒー精製方法の飲み比べもできる。
実は、先日バハレケ・コーヒーでゲイシャコーヒーを飲んでいたら、バハレケ・コーヒーのオーナーと出逢い、「ぜひ、ボケテ地区のレリア農園に行って来い!」 と言われたので今回のレリア農園のコーヒーツアーに参加した。
というわけで、ここからはレリダ農園コーヒーツアーの内容を紹介しよう。
レリダ農園コーヒーツアーの体験記
コーヒーツアーの申し込み方法
レリダ農園のコーヒーツアーに申し込む方法は、電話かメールである。
レリダ農園の公式サイトから連絡しよう。
コーヒーツアーのガイド語学は、「スペイン語」か「英語」が選択できる。
レリダ農園の場所
レリダ農園はボケテ地区の中心地から、遠く離れた高台に位置しており、タクシーで15分ほどかかる。
コーヒー栽培畑はおよそ標高2,000mの高さにある。
受付でツアーガイドと会い、さっそくツアーが始まった。
前回と同じく、今回も他の参加予定者がドタキャンしたので、ツアー参加者はぼく一人だけだった。
レリダ農園のコーヒー栽培方法
コーヒーの木
レリダ農園では、たくさんの種類のコーヒーの木を栽培している。
栽培しているのは、山の斜面だ。
ちょうど収穫時期だったので、コーヒーの木にはコーヒーチェリー(コーヒーの実)がたくさん実っていた。
赤い実が収穫適期で、黄色い実と緑色の実はまだ未熟。
赤い実だけを選別して収穫する。
レリダ農園ではパナマの少数民族インディヘナのノベ・ブグレ族を雇用し、収穫作業を任せている。
給料は出来高払いで、たくさん働けば一日で30ドルも稼げるらしい。
たしかに、ノベ・ブグレ族の若者がボケテ地区のビリヤードバーにたまって遊んでいたので、稼いでいるのだろう。
コーヒーの木を守る防風林
コーヒー栽培方法の特徴は、防風林を用いていることである。
乾季には山からの吹きおろしの強風が吹くため、防風林が必要だそうだ。
フルーツと混植栽培
もう一つの特徴は、いろんな種類のフルーツと混植栽培していること。
コーヒー農園内には、オレンジやレモン、グレープフルーツなどの柑橘類の木がたくさん生えていた。
これは「アルボル・デ・トマテ(トマトの木)」と呼ばれる熱帯フルーツ。
完熟するとトマトのように赤くなり、味も酸味が効いていてトマトに似ている。
パナマではそのまま果実を食べるか、ジュースにして飲む。
木いちごも育てていた。
収穫したコーヒー生豆の乾燥・生産工場
収穫されたコーヒー豆は、乾燥・精製過程に入る。
レリダ農園は大きな生産工場を持っていて、コーヒーチェリーがそこに集められる。
ここで流れ作業的に、コーヒー生豆が調整される。
これが収穫されたばかりのコーヒーチェリー。
赤い実を指で押しつぶすと、2粒のコーヒー生豆が出てくる。
珍しく、一個のコーヒーチェリーに3粒の豆が入っていた。
コーヒーの水洗い精製方法
水洗い精製方法の場合は、まずは水に漬けてコーヒーチェリーを発酵させ、果皮を取り除く。
ここが果皮を発酵させる水槽。
発酵した果皮は、集められてミミズ堆肥の原料になる。
ミミズがコーヒーの皮を食べて、その糞がコーヒーの肥料になるのだ。
洗浄されたコーヒーは、次に乾燥工程に移る。
コーヒー豆の機械乾燥
コーヒーの乾燥方法には、いろんな種類がある。
1.水洗い式
2.ハニー式
3.ナチュラル式
参照:コーヒー豆の選び方を精製方法から4つに分類してみたよ!|Coffee Stand frank…
基本的には天日干しにするが、天気が悪いときなどは機械で乾燥させるそうだ。
機械乾燥式
今回は機械乾燥方法を見せてもらった。
この横向きの円柱の中にコーヒー生豆が入っていて、ゆっくりとしたスピードで回転している。
そして、この円柱の中に40度の温風が吹き抜けている。
40度の温風の熱源は、カマド。
カマドの主な燃料は薪だが、薪以外にも「ある粉」が混入するようになっていた。
これがカマドで燃やされていた謎の粉。
扇風機で少しずつカマドに入るようになっている。
なんとこの粉は、「コーヒーの第二の果皮」だった!
実はコーヒーの実は、【①コーヒーチェリー(第一の果皮)→②第二の果皮→③第三の果皮】という三重構造の果皮で守られている。
その第二の果皮をコーヒー生豆の乾燥のために、燃料として使っていた。
そして、これが乾燥が完了したコーヒー豆。
まだ第二の皮を被っている。
この3粒は3種類のコーヒー品種で、それぞれ大きさと形が異なっている。
コーヒーは各品種ごとに分けられて乾燥させる。
処理したコーヒー豆の屋外乾燥方法
コーヒーは太陽光でも乾燥させられる。
太陽光で乾燥させる場合は、コンクリートの上に敷き詰める。
工場でもノベ・ブグレ族の人が働いていた。
太陽光で乾燥させる場合にも、撹拌作業が必要らしい。
コーヒーチェリー付きと実が混ざっていた。
庭に描かれた砂波のような景色。
ナチュラル式なのか、ハニー式なのかぼくには見分けがつかなかった。
乾燥したコーヒー豆の調整工程
天日干しもしくは機械乾燥させられたコーヒー豆は、調整作業に移る。
まずは、大型の機械でコーヒーの「第二の皮」と「第三の皮」をむく。
その後、選別機でサイズ別に分けたり、ゴミを取り除く。
コーヒー豆貯蔵庫と出荷・輸出方法
調整作業が終わったコーヒー豆は、貯蔵庫で保管される。
貯蔵庫でもノベ・ブグレ族が働いていた。
コーヒー農園はノベ・ブグレ族に支えられている。
コーヒー豆の輸送容器は麻袋
コーヒー豆は「麻袋」に入れて保管される。
麻袋は通気性と耐久性に優れているそうだ。
この貯蔵庫からパナマ国内に発送され、世界中に輸出される。
ほとんどのコーヒー豆は、麻袋の状態で輸出されるそうだ。
しかし、例外もある。
日本への特殊な輸出方法はビニール袋+段ボール箱
なんと、コーヒー豆を「日本」に輸出する場合に限り、麻袋ではなくビニール製の袋で密封し、それをさらに段ボール箱に入れて輸送するそうだ。
「なぜ日本向けだけ特別なのか?明らかに面倒くさい作業だが、嫌ではないのか?」と聞いてみた。
日本人はこの梱包方法じゃないとダメだと言うんだ。
確かに面倒くさい作業だけど、日本人は高級コーヒーを高い値段で買ってくれるから良い客さ。
by コーヒー農園従業員
「潔癖なまでの神経質さ」と「高級品を高い値段で買うこと」が日本らしさなのだろう。
コーヒーの香りと味を確かめるテイスティング方法
コーヒーの製造工程を学んだあとは、研究施設でコーヒーのテイスティング方法を教えてもらった。
これが焙煎したコーヒー豆。
コーヒーの栽培から精製、調整作業を見た後にコーヒー豆を見ると、ちょっとした感動が起きる。
コーヒーがコーヒーになるまでは、とても長く複雑な工程を経ているのが実感できるからだ。
レリダ農園のコーヒーの評価が貼ってあった。
コーヒーは【芳香、酸味、ボディ、風味、後味】について評価する。
2種類の精製方法のコーヒーテイスティング体験
2種類の精製方法でコーヒーを飲み比べした。
左が水洗い式(果肉を発酵させて除去する一般的な製法)で、右がハニー式(果肉を付けたまま乾燥させる特別な製法)のコーヒーの粉。
コーヒーの芳香の評価方法
まずは芳香の評価の仕方を教わった。
(1)カップの上部を両手で覆い、匂いを閉じ込める。
(2)鼻を近づけて、匂いを嗅ぐ。
(3)これを2回繰り返す。
精製方法の違いにより、はっきりと芳香に違いが出ていた。
ハニーの方がコーヒーらしくない華やかな香りがした。
コーヒーの香りの評価方法
次にカップにお湯を注ぎ、香りを比べる。
(1)水面ギリギリまで鼻を近づける。
(2)スプーンで水面をかき混ぜる。
(3)匂いを嗅ぐ。
お湯を注ぐことで、コーヒーの香りがさらに豊かになった。
やはり水洗い式よりもハニー式の方が、華やかで甘い香りがする。
コーヒーの味の評価方法
次に、コーヒーの味を評価する。
(1)スプーンにほんの少しだけコーヒーをすくう。
(2)ズズーっと音を立てるように一気に空気と一緒に啜る。
(3)口内で2秒間味わい、飲み込む。
香りを嗅いだだけでは、水洗い式よりもハニー式の方が好きだったが、「味は水洗い式の方が美味しい」と感じた。
精製方法で香りだけでなく味にも変化が起こり、しかも味と香りの向上の両立はしていない、コーヒーの奥深さを実感した。
喫茶ショップでコーヒーとケーキを食べる
テイスティング体験が終わると、コーヒーツアーが始まった受付に戻って来た。
レリア農園産のコーヒー豆、コーヒーリキュール、マグカップなどが販売されていた。
ツアーに含まれているコーヒーとケーキを頂いた。
これでおよそ3時間のコーヒーツアーは終了した。
2つの農園のコーヒーツアーの比較
せっかく二か所のコーヒーツアーに参加したので、2つの農園のコーヒーツアーの比較をしてみた。
カフェ・ルイス農園とレリダ農園の経営と強みの比較
1回目に行ったカフェ・ルイス農園と今回のレリダ農園では、農園の特徴とこだわっているポイントが異なっていた。
カフェ・ルイス農園は直営のコーヒーショップを持ち、品種と栽培方法、精製方法にこだわりを持っている。
一方、レリダ農園はホテルとレストランを併設しており、観光客の集客に力を入れている。
生産方法では品種と栽培方法にはそれほどこだわっていないが、精製方法でバリエーションを持たせている。
ツアー内容の比較
2つの農園のツアー内容は【①農場見学→②加工場見学→③研究所でテイスティング体験→④カフェでコーヒー】でほぼ同じで、金額も両農園とも30ドル、所要時間も3時間弱で同じだったが、少し違いもあった。
カフェ・ルイス農園では、カフェで3種類の焙煎方法の飲み比べができ、少量のコーヒー豆と麻袋バッグのお土産がプレゼントされた。
レリダ農園では、カフェでコーヒーにケーキが付いていたが、お土産はなかった。
コーヒーツアーのまとめ
2回目のコーヒーツアーだったが、新しい発見もあったし、ツアー内容の比較もすることができた。
やはり、ぼくはコーヒーも農業も好きだ。
もっとコーヒーの栽培と生産のことを学びたい。
パナマにいる間に、3回目のコーヒーツアーに参加しようと思う。
次は隣国コスタリカの農園か、パナマの他の地域のコーヒー農園に行きたい。
コーヒーと農業が好きな人は、ぜひコーヒーツアーに参加してみてほしい。
1杯のコーヒーに感動できるし、コーヒーを飲むたびに旅を思い出せる。
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