日本人の宗教は何?
パナマでも、インドでも必ず「日本人の宗教は何?」と質問を受けた。
海外で暮らす日本人や海外旅行したことがある人なら、この質問を受けたことがあるはずだ。
この質問にあなたは何と答えているだろうか?
「日本は仏教徒が多い」
「日本は人によって違う」
「日本人は無宗教だ」
人によっていろんな答え方があると思う。
青年海外協力隊的な模範解答
実は青年海外協力隊の派遣前訓練では宗教に関する講義があり、宗教学の専門家の方からこの質問の模範解答を教えてもらった。
それがこれだ。
「日本の宗教は、『いろんな宗教のいいとこ取りした教』です!」
「本当にこれで通じるのかなぁ」と心配になりながらも、模範的な協力隊員であるぼくは、パナマに来てから一年間この答え方をしていた。
が、やはりパナマ人の反応は良くない。
「はぁ?なんやねん、それ!意味わからんし!ちゃんと説明せぇや!」
と急に関西弁っぽい強めのスペイン語で追及してくる。
「だからね、七五三とか初詣は神社に行くし、結婚式は教会で神父さんの前であげるし、葬式は寺の坊さんがするんだよ」
と説明しても、決して理解してもらえない。
「何ゆうてんねん!宗教は一つだけって決まってんねん!もちろん神は信じてるんやろ?せやろ?」
と半ギレ状態で追及してくることになる。
ちゃんと説明しても怒り出す人も多い。
一年間試してはっきりした。
派遣前訓練の講義で教えてもらった模範解答は役に立たない!
新渡戸稲造の武士道
日本人の宗教を聞かれたときの新しい答え方を考え付いたのは、新渡戸稲造の武士道を読んだからだ。
この本はいろんな訳者の本があるが、ぼくは奈良本辰也さんの訳した本を読んだ。
訳者は違えども、新渡戸稲造の武士道を読んだことがある人は多いと思う。
新渡戸稲造の武士道は、日本の学校の宗教教育に関するこんな一節で始まる。
「宗教がないとは。いったいあなたがたはどのようにして子孫に道徳教育を授けるのですか」
武士道より
確かに日本の公立の学校では、宗教教育を受けた経験はないはずだ。
私立はクリスチャン系だったり、仏教系があるのでガッツリ教育を受けるが。
しかし公立の学校では、宗教教育の代わりに「道徳の授業」があった。
また「そもそも武士道とは何か?」について武士道を見てみると、このように説明されている。
武士道とは、武士が守るべきものとして要求され、あるいは教育を受ける道徳的徳目の作法である。
武士道より
少し乱暴なまとめ方になるが、武士道とは要するに「道徳」なのである。
公立の学校で教えているのは、実は武士道だ。
武士道の中の教えを読んでいくと、道徳の授業で教わったことと重なることに気づくだろう。
武士道とは宗教ではないが、日本人の根底にある道徳観念は「武士道」に起因していると思う。
(ぼくは小学校一年生から中学一年生までの7年間剣道を習っていたので、一般的な日本人よりも武士道に強く惹かれるのかもしれない。)
日本人の宗教を簡単に説明する方法
そこでぼくは日本人の宗教を簡単に説明する方法を思いついた。
「日本人の宗教は何?」と聞かれたら、これからは「武士道!」と答えようと思う。
すると、「武士道ってなんやねん、こら!説明せぇや!?」と追及してくるので、
「サムライ魂だよ!SAMURAI!」
と説明しよう。
おそらく、さらに追及してくるだろうが、まぁ対策はこれから考えよう。
若い人相手なら「るろうに剣心だよ!」とかでいいかもしれない。
まとめ
宗教に関しては日本人の間でも人それぞれ違うので個人の宗教を聞かれた場合は答え方はいろいろあると思うが、「日本人の」と聞かれるとなかなか説明するのは難しいと思う。
そこで、新渡戸稲造の武士道は日本人の根底にある考え方を考えるのにとても良い本だと思う。
スペイン語に訳してパナマ人に教えてあげたいくらいだ、無理だけど。
武士道は、海外に行く前の日本人にぜひ読んでもらいたい一冊である。