26回目の無電化集落での滞在調査
先週、26回目の無電化集落での滞在調査を実施した。
滞在した先は、青年海外協力隊・野菜栽培隊員として2年間通った山奥の集落だ。
今回の集落滞在の目的は、ボランティア活動の効果・影響の最終調査をすることだった。
どのような滞在だったのか、紹介しよう。
無電化集落までの道のり
まずは大きなバックパックを持って、荷台に乗る乗合ジープに乗って山の中腹まで行く。
途中の舗装された道に人だかりができていたので、運転手が車を止めて一緒に見に行くことにした。
すると、トラックが崖下に落ちていた。
これは村の中心地に住む中国人が所有するトラックで、前日に運転を誤って崖下に転落したそうだ。
ぼくが住むカニャーサス郡の山道では、トラックやバスが崖下に転落する事故が何回も発生している。
参考:青年海外協力隊の任期中にパナマで死ぬとしたら、死因は交通事故だろう。
無事にジープが山の中腹に着いたので、ぼくはそこから目的地の集落へ歩いて向かう。
早歩きで、片道2時間だ。
吊り橋効果が抜群の不安定な吊り橋を渡る。
カトリック教徒が作った飾りつけの下をくぐる。
すると、目的地の集落の手前にある山が見えてくる。
中央にある山の反対側に目的地の集落がある。
途中、放牧中の牛と遭遇した。
でかい角を持っているので刺激しないように避けて進む。
ちなみに出産後の牛は、ガチで首を下げて角を向けて猛突進してくるので危険だ。
闘牛士のようにかわすか、カウボーイのように投げ縄で対抗しないと死ぬ。
参考:スペインで禁止された危険な闘牛をメキシコの闘牛場で観戦!残酷に牛を殺す闘牛士or歴史を壊す動物愛護団体、正義の味方はどっち?
山道付近には、焼き畑農業により木が焼かれた畑が点在している。
山の頂上付近の道は角度が急なので、めちゃくちゃ辛い。
バックパックを背負っているので、そびえ立つ坂道を這いつくばりながら登る。
10m進むごとに休憩しながら、少しずつ進むしかない。
峠道を登りきると、山の頂上に到着した。
山の反対側にぼくが2年間活動した集落がある。
農民のグループ菜園
集落へ行く前に、農民のグループ農園へ立ち寄った。
この農民グループと2年間一緒に活動した。
参考:青年海外協力隊・野菜栽培隊員としてポット育苗など苗作りを教えます。
苗床にはトマト、ピーマンなどの野菜が発芽していた。
ぼくはあえて野菜の種の支援を停止している。
トマトが実っていたが、トマトは枯れていた。
パナマでは大玉トマトは一段目の収穫と同時に枯れる。
野菜畑にはトウモロコシが植えられていた。
予想通りぼくが普及した空心菜が野生化していたが、思ったよりも株数は少なかった。
参考:もしかしたら、パナマのある村が「ニホンノホウレンソウ村」と呼ばれる日が来るかもしれない……
昨年空心菜を栽培した畝を中心に、空心菜が生えていた。
意外と空心菜よりもツルムラサキの方が大量に野生化していた。
いろんな畝からツルムラサキが生えていた。
グループ菜園には手が回っておらず、雑草が伸び放題になっていた。
リーダー夫婦の生まれたての赤ん坊が病気になり、近くの町に入院していたから作業ができなかったそうだ。
トウモロコシから、見覚えがある物体が飛び出ていた!
メキシコの珍味ウイトラコチェの原料である「トウモロコシの黒穂病」が発生していた。
参考:まるでトリュフ!?メキシコの珍味「ウイトラコチェ」を食べてみた
村人のリーダーから許可を得てから収穫して、自分で料理した。
初めてのウイトラコチェ料理作りは別の機会にまとめようと思う。
今年は5月下旬になっても雨が降らないので、村人は桶と木の実のコップを使って水やりをしていた。
前回集落に滞在した時に、「ペットボトルスプリンクラー」の作り方を教えた。
すると、さっそく村人リーダーが作って、グループ菜園で使っていた。
これは上手に機能しているペットボトル・スプリンクラー。
小さな穴から四方八方へ水が噴射している。
これは水圧が弱すぎるし、小さなが詰まって大きな穴からしか水が出ていない。
これは水圧はあるが、細かい穴が詰まってしまい、大きな穴から水が出ていてスプリンクラーにはなっていない。
蛇がトカゲを食べていた。
グループ菜園については、また別の機会にまとめたい。
学校にある学校菜園
次に、学校にある学校菜園を見に行った。
この学校菜園は栄養改善プロジェクトによって、強制的に開墾させられた畑である。
参考:17回目の農村滞在で開墾、焼畑、パン作り、シラミ・歯ブラシ調査、折り紙教室をした。
苗床には大量のトマトの種が播かれていた。
種を密に播き過ぎていた。
大規模農園分くらいの大量の苗が発芽していた。
完全に学校菜園には多すぎる。
新しい畝を開墾していて驚いた。
斜面を利用して段々畑を作っている。
ぼくが教えた袋栽培も実践していた。
学校菜園内にバナナの苗を植えていた。
珍しい形のトウガラシも栽培していた。
学校菜園の評価については、また別の機会にまとめたい。
焼き畑農業の調査
滞在中に焼き畑農業の調査を行った。
山奥の集落には、焼き畑農業の山が広がっている。
昨年コメとトウモロコシを栽培した場所では、今年はトウモロコシを栽培していた。
連作するそうだ。
参考:中南米の天水に依存した焼畑農業の共同作業に参加し、伝統的な技術を取得した。
ここは昨年栽培した山の隣で、昨年は山だったが今年はコメを播種していた。
参考:19回目の農村滞在にJICAのカメラマンも同行し、学校菜園と家庭菜園と焼畑稲作の調査をした。
コメの播種間隔を測定した。
トウモロコシの播種間隔も測定した。
実は、パナマでは焼き畑農業は法律で禁止されているらしい。
しかし、山奥の集落では黙認されている。
伝統的な薬草や木の利用方法を学ぶ
暇な時間には年配の村人から、伝統的な薬草や木の利用方法を教えてもらった。
パナマの山奥には、日本にはない薬草や木がたくさん生えていて、村人の暮らしに密着している。
例えば、これはパナマ帽子を作るための植物。
これはトルティーヤに使えるヤシの実。
油と薬になるヤシの実。
調べてみると、アブラヤシだった。
煮ると食べれる木の実。
蜜が採れて、刺さない野生のミツバチ。
年配の村人から伝統的な薬草や木の利用方法を教えてもらえて、とても楽しい。
パナマに来た頃は言葉の壁があり理解できなかったが、最近は村人の説明を理解できるようになった。
代わりにぼくは「地球は丸い星であること、太陽の周りを地球が回っていること、世界には200個くらいの国という塊があること」などを教えている。
子供たちに折り紙を教える
宿泊している民家で休憩していると、子供たちが遊びにやってくるので相手をしている。
最近ではぼくのデジカメの使い方を覚えた子供がいて、勝手に撮影するようになった。
折り紙は、今でもパタパタ鶴が人気ナンバーワンだ。
参考:たった一枚の折り紙で途上国に暮らす子供たちのヒーローになる裏技
もうぼくは日本へ帰国するので、これからも子供が折り紙を作れるように、「子供への折り紙教室」も開催している。
大量の折り紙を学校の先生へプレゼントしたので、子供たちはしばらくは折り紙で遊べるはずだ。
イラストが多く載っている折り紙の教本もプレゼントしたが、これを使いこなせるかは不明だ。
パナマでは中学生以上の学生全員に、ノートパソコンを無料で配布している。
無電化集落に住む中学生も全員がノートパソコンを持っているが、使いこなせていない。
ノートパソコンは持ち運び可能だ。
「エラーが表示されているパソコンを修理して欲しい」と頼まれたので、見てみることにした。
村人は英語が理解できないでいたので、画面に表示されている英語を翻訳してあげた。
しかし、結局はキーボードが操作不能だったので、何もできなかった。
ちなみにノートパソコンを使ってすることは、都会に住む親戚からもらった音楽を聴く、映画を観る、アダルトビデオを見るだけで、勉強をすることは一切ない。
携帯電話でテレビが見れるというので、見せてもらった。
すごく見づらいが、無電化集落でも携帯電話さえあればテレビが観れることがわかった。
しかし、常に誰かがアンテナ代わりの針金を頭上に持ち上げいないといけない。
青年海外協力隊の同期の栄養士隊員が作ったパンのレシピ集を、パン販売を行っている村人へプレゼントした。
パンだけでなくデザートの作り方も書いてあるし、すべてデザイン付きだ。
村人は留守だったので、子供に渡したら面白がっていた。
翌日に親が受け取ったことを確認した。
まとめ
26回目の無電化集落滞在は無事に終わった。
今回の滞在は「最終調査」のためだったので、かなり緊張した。
最終調査の結果はまだ自分の中で整理できていないので、また別の日にまとめたい。