スタジオLの山崎亮講演会
日本で地域活性化活動を行っている、スタジオLの山崎亮さんの講演会に参加して来た。
地域活性化ブーム
日本中で「地域活性化」という言葉が流行している。
意味をネットで調べると、地域の経済やコミュニティなどを活性化させることという”答え”が返ってくる。
では、「地域活性化」の対義語は何か?
スタジオLの山崎亮さん
先日、studio-Lの山崎亮さんの講演会に行ってきた。
地域活性化に興味がある人で彼の名前を知らない人はいないだろう。
TBSの情熱大陸に出演し、本も何冊か出版している有名人だ。
みのわ健康アカデミー「幸せづくり・人とのつながりコミュニティデザイン」
今回は、長野県上伊那郡箕輪町の健康増進事業「みのわ健康アカデミー」の講師として、山崎亮さんが招かれ、箕輪町文化センターで120分間の講演を行った。
健康づくりに勤しむ高齢者の集まりに、なぜ山崎亮さんを呼んだのかは謎だ。
ちなみに20代の参加者はほとんどおらず、参加者の平均年齢は60歳くらいだったと思う。
箕輪町文化センター
タイトルは、「幸せづくり・人とのつながりコミュニティデザイン」。
山崎亮さんの講演会の内容
講演会の内容は、「studio-Lが行った事例紹介」がメインだった。
すでに本で読んだことがある話が多かったが、5分に1回くらい位の高頻度で面白い話を挟んで”笑い”を取りに来るので、退屈せずに講演が聞けた。
周りの高齢者のみなさんも笑い声をあげていたので、楽しんでいたと思う。
1.大阪府のコミュニティ調査
→家の「外」で何かすることで、住民同士の繋がりが生まれる。
2.兵庫県の有馬富士公園
→趣味を持つ住民自身にイベントを開催してもらうことで、来園者数が増加し続けている。
=住民が主体的に行動している。
3.宮崎県の延岡駅
→有馬富士公園の仕組みを導入し、住民参加型ワークショップ中。まだ本格的な活動は始まっていないにも関わらず、駅前に住民が新しい店をすでに3店舗オープンした(カフェ、雑貨屋、古本屋)。
=住民が主体的に行動している。
+コーディネーターを育成中
4.島根県の海士町
→まず住民に「海士町民の考える幸福とは何か?」を話し合ってもらい、それから事業計画を作成。
=住民の価値観が最優先。
+集落の支援を継続させるために、集落支援員に起業させた(古物屋)。
山崎亮さんの名言集
◆住民は地域活性化に疲れている。村治めという選択肢もあり、決定権は住民にある。
◆ワークショップには、地域活性化に”興味ない人”を無理やりにでも参加させるべき。
◆ワークショップは良質なインサイダー取引。地域の未来を予見できる。
山崎亮さんのお話について、しばらく自分の頭の中で整理した。
すると、地域活性化の対義語が浮かんできた。
地域活性化の対義語とは?
地域活性化の対義語とは、「住民に決定権と主体性と継続性がない活動をやらされることにより、住民が不幸になること」だと思った。
ということは……
もはや僕が考える地域活性化の対義語は、現在日本中で行われている地域活性化活動なのではないでしょうか。
地域活性化の対義語は、地域活性化かもしれない。
青年海外協力隊から見た日本の地域活性事例
僕は半年後には、青年海外協力隊員として途上国で活動している予定だ。
これは地域活性化活動の場所が、「先進国の田舎」から「途上国」に移ることを意味し、”違い”が発生することが予想される。
一番大きな違いは、『経済状況』である。日本は経済成長のピークを過ぎ下降中であり、途上国は経済成長のピークを目指し上昇中である。
それゆえに、「日本の地域活性化と途上国開発は別物だ」という意見もある。
しかし、僕は山崎亮さんの活動に青年海外協力隊との3つの共通点を発見した。
1.継続させるためにコーディネーターを育成する。
山崎亮さんは、活動を継続させるために住民の中からコーディネーターを育成している。
これは、活動が軌道に乗ったら山崎さんは地域から立ち去り、その後はコーディネーターが活動を引き継ぐためだ。
これは青年海外協力隊の制度と似ている。
青年海外協力隊の活動は、「カウンターパート」と呼ばれる派遣国の住民を1名教育することが基本だ。
協力隊の活動期間は限られているため、隊員が帰国しいなくなってからも継続して活動できるように、コーディネーター役のカウンターパートを養成する必要がある。
山崎亮さんのコーディネーター養成と同じ考え方である。
2.主体性を持たせるために参加型手法を行う。
山崎亮さんは、住民の価値観の尊重し決定権もゆだねている。
広く住民を集めたワークショップを開催し住民の意見を集め、どのような活動を行うのか住民に決めさせている。
決して主役にならず、脇役に徹している。
同じように青年海外協力隊でも「主役にならず、脇役に徹せよ」と指導される。
青年海外協力隊が目指す参加型途上国開発の第一人者は、ロバート・チェンバースさんだ。
彼の理論を一言でいえば「効果的な開発のためには、専門家は口を閉じて住民の声に耳を傾けろ」である。
また、住民に決定権を渡し、主体性を持たせることが重要だと説いている。
3.パイプ役として人と人をつなげる。
山崎さんは自身の肩書を「コミュニティデザイナーである」と名乗っていた。
コミュニティデザイナーとは、『人と人をつなげること』を表している。
つなげる関係は、住民と住民、住民と役場職員、住民とI・Uターン希望者など様々だ。
山崎さんは常にパイプ役となって、意見交換の円滑化を図っている。
では青年海外協力隊はどうだろうか?
青年海外協力隊は、地域に根ざした活動を通して住民の意見を吸い上げ、他の住民グループ、官公庁、JICAなどに意見を伝えるパイプ役になることを求められている。
僕の知り合いには、途上国開発の研究者、経験者でありながら、日本の地域活性化でも活躍している人がいる。
山崎亮さんの講演を聞いて、地域活性化と国際協力に共通点を多く見出したので、「もしかしたら、先進国だとか途上国だとかは、そんなに気にしなくてもいいことなのかもしれない」と考えさせられた。
コミュニティデザインから発展し、人生を語る。
山崎亮さんの講演会の最後に、コミュニティデザインとは少し関係ない話があった。
これから先、悩んだときにじっくり考えたいと思ったので、山崎さんの話しに自分の意見を加えてまとめた。
Wish?
好きなこと。
Can?
できること。
Need?
必要なこと。
就職活動に悩む大学生
「自分が好きなことは見つからない。自分にできることも少ない。社会に必要なこともわからない」
なにも大学生に限った話ではないけど、こんな悩みを持つ大学生は多いと思う。
僕も就職活動を始めたばかりの頃は悩んでいた。
自分はどんな職業に向いているのかじっくりと時間をかけて考えたいけど、就活は待ってくれない。
そこで、就活サイトの『質問に答えるだけで自分にあった業界と職種(=天職)を教えてくれるサービス』を使い、コンピュータに自分の天職を教えてもらい、なんとか不安な自分を安心させていた。
そんな僕は図で表すと、こんな状態だったと思う。Wish・Can・Needの範囲はどれも小さく、それぞれ独立している。
自分探しの方法
自分の好きなことを見つける方法
では、好きなことを見つけるにはどうしたらいいのか?
自分探しの旅に出る人もいるけど、僕は友達とおしゃべりするのもいいと思う。
自分の出来ることを増やす方法
できることを増やすためにはどうしたらいいのか?
本を読む、資格を取る、アルバイトをする、留学する、趣味に没頭する、友達と遊ぶ、瞑想する、、、なんでもしたらいいと思う。
社会に必要なことを知る方法
社会に必要なことを知るためにはどうしたらいいのか?
地域の人と関わる、親と話す、ボランティアする、など大学生のうちに”大学の外に出る”のがおススメだ。
おすすめする大学生活の送り方
こんな感じで大学生活を送ったり、社会人として過ごしていたら、好きなことが見つかり、できることが増え、社会に必要なことを知れると思う。
ただし今、就活をしている2014年度卒の人は、もう間に合わないと思う。
今のWish・Can・Needの状態で就活を考えるべきだ。
そして、いつの日かそれらは重なるはずだ。
2つの輪が重なった部分は時計回りに以下の意味を表している。
Wish × Can = 趣味
Can × Need = 作業
Need × Wish = 夢
人間一人一人違う、多様な生き方
例えばこんな生き方の有名人がいる。
趣味と作業に生きる人
釣りバカ日誌の浜ちゃんは、趣味と作業に生きている人と思う。
平日は適当に仕事をこなし、休日の釣りが生き甲斐という生活を送っている。
夢と作業に生きる人
お笑い芸人のスギちゃんは2011年までは、夢と作業に生きていたと思う。
週に5回のアルバイトで生活費を稼ぎ、わずかなライブ出演で芸人としてブレイクすることを目指していた。
趣味と夢に生きる人
天才画家のピカソは趣味と夢に生きていたと思う。
生活費はすべてパトロンに依存し、彼はとにかく自分が描ける好きな絵だけを描いていた。
そして、どの生き方も素晴らしい。
そこに優劣は存在しない。
Wish×Can×Need=Calling(天職)
そして、3つの輪が重なった中央部分がコレ。
Wish × Can × Need = Calling
もちろんCalling(=天職)を目指す必要はない。
釣りバカ日誌の浜ちゃん、ピカソの生き方もとても素晴らしいと思う。
でも、僕は天職を目指すつもりだ。
そのために、もっと好きなことに没頭し、出来ることを増やし、社会に必要なことを知りたい。
もし人生に悩んだら、自分のWish・Can・Needを見つめ直してみよう。
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