「青年海外協力隊の一年目は結果を求めるな!」はボランティアOB・OGのアドバイスで耳タコだったけど、それでもぼくが結果を求めた1つの理由

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青年海外協力隊あるある

派遣前に青年海外協力隊のOB・OGと話をすると、だいたい同じアドバイスをいただいた。

「一年目は習慣を学んだり人間関係を築く期間で、本格的な活動をするのは二年目から」

「一年目は焦って結果を求めずに、二年目からのつもりで」

青年海外協力隊OB・OG

一年目は準備期間、二年目が活動期間。

みんなが口を揃えて言うこの言葉は「青年海外協力隊あるある」と言ってもいいと思う。

駒ケ根市で受けた派遣前訓練でも、訓練所のスタッフや講師から繰り返しこの言葉を聞き続け、もはやぼくは耳にタコが出来た。

「一年目は結果を求めてはいけません。一年目に人間関係を築いて、二年目から本格的な活動をしましょう!」

なぜみんな一年目は結果を求めるな!と言うのだろうか?

それは一年目から結果を求めて活動すると、相手国の人と人間関係でトラブルを生むことが多いからだ。

いきなり結果を求めすぎると、活動が上手くいかなくなってしまう。

そして、ぼく自身もそのつもりでいた。

 

活動するのは二年目から計画

ぼくは派遣前訓練中に「活動計画のプレゼン」という自主講座に参加した。

その場で、以下のようなプレゼンを行った。

→ 僕が青年海外協力隊サッカー隊員になった理由。|JIBURi.com

一言でまとめると「一年目はサッカーをして村人と仲良くなり、二年目から一緒に活動をする」という計画だ。

ぼく自身も一年目は結果を求めずに二年目から本格的な活動を行おうとしていたのだ…。

 

計画変更と結果

ただし、ぼくは計画を変更させた。

あえて一年目からガンガン結果を求めて活動したのだ!

問題を探求し、解決策を模索し、実行し、数値で結果を示した。

そして、一年目の最後には求めていた結果を出した。

協力隊OBやJICAスタッフから「一年目から結果を求めるな!」と言われ、自分でも「一年目は活動しない!」と言っていたのに…。

では、なぜぼくは一年目から結果を求めることにしたのか?

それには、ぼくのカウンターパートである出木杉くんが関わっている。

 

出木杉くんとのケンカ

青年海外協力隊にはカウンターパートと呼ばれる仕事の相棒がいる。

ぼくのカウンターパートは農業に関する知識と経験が豊富な農業技師で、しかも性格も真面目で優しいという完璧な男なので、ぼくは「出木杉くん」と呼んでいる。

P6250132_1799

詳しい出木杉エピソードはこちらにある。

→ 青年海外協力隊の新人隊員は、先輩隊員に恋をする。|JIBURi.com

パナマに派遣された当初のぼくはスペイン語がほぼ何も話せず、活動どころではなく出木杉くんに助けてもらってばかりいた。

しかし、派遣されて半年後からはスペイン語でも意思の疎通が取れるようになり、ようやく活動らしい活動が始まった。

まずは、山奥の集落に泊まり込んで村人が抱える問題を調査した。

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そして村人が抱える問題を解決する方法を考え、「村人に農業技術を教えること」を出木杉くんに提案すると意外な反応が返って来た。

普段の出木杉くんは本当に優しくて、ぼくがたどたどしいスペイン語で彼に意見をしても、ちゃんと話を聞いてくれ必ず肯定的な意見をくれていた。

しかし、この時だけは違った。

僕の提案を出木杉くんは「そんなの無理!」と否定した。

出木杉くんはぼくに過去の仕事の写真を見せながら熱く語った。

30年以上農業技師として働いていること。

これまでに村人にたくさんの農業技術を教えてきたこと。

しかし、それでも村人はまったく変わらないこと。

彼の意見をまとめるとこうだった。

「村人は変わらない、何をどう教えても無理!」

その後、彼と三時間以上語り合ったが、お互いの意見は平行線のままだった。

ぼくは村人は変わると考え、出木杉くんは変わらないと考えていた。

 

出木杉くんを変えるためにすべきことは何か?

彼との初めてのケンカが終わった後にぼくは決意した。

まずは出木杉くんを変えよう!

ぼくがココで最初にすべきことは「出木杉くんを変えること」だ。

違う意見を持つ二人が相棒になっても、一緒に良い活動は出来ない。

村人のために働いている彼に、村人のために活動しても無駄だと思いながら活動して欲しくない。

出木杉くんを変えたい。

しかし出木杉くんは30年以上農業技師として働いているが、ぼくはまだ25歳で働いたことがない。

ぼくらの間には圧倒的な経験の差があり、彼は自分の経験を基に「30年以上も村人に農業技術を教えてきたが、彼らは変わろうとしないんだ」と言う。

彼の言葉には説得力があるが、ぼくの「教え方を工夫すれば変わるよ!」という言葉に説得力はなく、彼を変えることは出来ないだろうと思った。

そこで、ぼくは結果を出そうと思った。

「村人は変わることが出来る」という結果を見せて、出木杉くんを変えようと思った。

出木杉くんを変えるために、村人は変わることを証明することにした。

 

結果を求める活動の、結果は?

派遣から半年経った辺りから今日まで、あえてぼくは結果を求めて活動した。

もちろん出木杉くんとは別にケンカをしている訳ではないので、一緒に協力して活動した。

そして、願っていた通り村人の行動に変化を引き起こすことができ、先週開催されたJICA主催の中間報告会でもその結果を発表した。

→ JICA主催の「協力隊活動報告会」に参加し、15分間の中間報告プレゼンをスペイン語で行いました。|JIBURi.com

一つの集落のわずかな変化だが、それでも教え方を工夫すれば村人は変わるという証明になると思った。

そして、その半年間のぼくの活動結果を出木杉くんにもスペイン語でプレゼンをして伝えた。

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フィールド調査団最終報告1_1800

 

結果と共に「ぼくたちに政府の体制は変えられないし、農牧省のシステムも変えられないし、村人の教育水準も変えられないけど、教え方を工夫すれば村人の農業だけは、変えられると思う」とも彼に伝えた。

ぼくの活動と言葉から彼は何を感じたのだろうか?

それはこれからの彼の行動から知ることが出来ると思う。

最近の彼は、自分で車を運転して集落の巡回に行くようになった。

今までは他人の車に乗るだけだったので、これは今までにはなかった彼の変化だ。

少しは彼に影響を与えることが出来たのかもしれない。

 

二年目の活動

ぼくの青年海外協力隊の一年目は相棒との意思のすり合わせのために、結果を出すことに費やした。

明日からぼくの青年海外協力隊生活の二年目が始まる。

二年目は「その結果が継続する仕組み作り」を相棒と取り組みたいと考えているし、また彼が取り組みたい有機肥料の活動の補助もしたいと思っている。

結果を求めずに準備期間に充てるべきという一年目に、あえてぼくは結果を求めた。

しかし、今振り返ってみるとそのカウンターパートと意思をすり合わせるために結果を出すという行為は、実は二年目の本格的な活動のための準備だったとも思う。

さすが、青年海外協力隊あるある!

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という訳で、二年目も出木杉くんと、がんばります。

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