青年海外協力隊の目線から見た「ネパール大地震」
2015年4月25日にネパールで大地震が発生し、2400名以上の死者が発生している。
今、ネパールでは被災者の捜索と治療が最優先で行われていると思う。
被害の様子はパナマのニュース番組でも取り上げられているし、Facebookやニュースサイトを見れば確認出来る。
今はできるだけ多くの人が救われ、一日も早く復興して欲しいと願っている。
そして、この大地震では、ネパールに派遣されている青年海外協力隊の同期隊員も被災した。
全員無事なようで一安心しているが、途上国で活動する青年海外協力隊の危険性も再確認することになった。
そこで今回は、青年海外協力隊の目線から見たネパール大地震について書いてみる。
実は、「ネパール」が第一希望の派遣国だった
ぼくは青年海外協力隊の派遣先として、ネパールが第一希望だった。
1.インド旅行で魅力にハマる
2012年にインドの北部を一人で旅行した。
デリー、バラナシ、ブッダガヤ、コルカタなどの北部の有名なルートを回って、インドの魅力にはまってしまった。
その旅行中にインド人、バングラデシュ人、ネパール人と会い、この地域で活動したいと思うようになった。
参考:「青年海外協力隊に応募したいけど、途上国で2年間も暮らすのは…」って悩んでる若者は、今すぐインドのガンジス河で泳いでこい!
2.第一志望ネパール、第二志望パナマで出願
そこで、青年海外協力隊の試験では、インド、バングラデシュ、ネパールの3国の中で、唯一野菜栽培隊員の募集があった「ネパール」を第一志望をして受験した。
青年海外協力隊の受験では第三希望まで提出できるので、ぼくは第二希望にパナマを選び受験したが、結局ネパールでは採用されず第二希望のパナマに派遣されることになった。
ぼくが希望したネパールの要請内容には、同じ新卒の隊員が同じタイミングで派遣された。
3.もし第一志望が通っていたら、今頃ネパールで大地震にあっていた
もし青年海外協力隊の試験で第一志望が通っていたら、ぼくは今ネパールで大地震に被災していた。
これも運命なのか、ぼくはパナマにいて、同期はネパールで被災してしまった。
なので、今回の大地震は地球の反対側の問題だが、他人ごとには思えない。
JICAボランティアの安否確認と途上国の危険性
JICAボランティアの安否確認と途上国の危険性について、少し説明しよう。
1.青年海外協力隊の安否確認
青年海外協力隊の安否確認は、緊急連絡網によって行われる。
すべての隊員に携帯電話が支給されており、常に電源を入れた状態で携帯することが義務付けられている。
それは、このような天災が発生した場合や、事件・事故に巻き込まれた時に、迅速にJICAと連絡を取るためである。
今回の大地震でも安否確認に連絡網が使われたはずだ。
2.任国外旅行中の隊員が巻き込まれる可能性も
厄介なのは、ネパールにJICAボランティアがネパールに住んでいる隊員とは限らないことだ。
任国外旅行という制度を使って、他国から旅行に来ているボランティアもいると、彼らの安否も確認しないといけない。
そのために、JICAボランティアは任国外旅行前に旅行の計画書を作成し、JICAの許可を得ないといけない。
飛行機の搭乗予定やバスに乗る時間、宿泊するホテルまですべて申告し、現地のJICA事務所のチェックを受ける。
ぼくもコスタリカとメキシコを旅行した時には、下の記事に書いたようにすべての計画をJICAへ提出し許可を得てからパナマを出国した。
参考:メキシコシティのソカロから徒歩5分のホステルCasa San Ildefonsoは、オシャレな北欧風デザインで日本人旅行者におすすめ!
3.途上国の危険性
しかし、いくらJICAと連絡を取っていても、発展途上国で生活する危険性は高い。
途上国で生活していると日本では考えられないような事件、事故が頻繁に発生する。
建物の耐震強度はとても弱いし、バスのメンテナンスはされていない。
毎年、JICAボランティアは死者を出しているが、それも仕方ないと思う。
今回の大地震では、「Facebook災害時情報センター」で安否確認ができた
今回の大地震では驚いたことに、「Facebook」で安否確認ができた。
ネパールの大地震発生直後にFacebookを開くと、「Facebook災害時情報センター」というページが表示され、ネパールにいる友達のリストが映り、「安否確認済み」と「未確認」に2つに分かれていたのだ。
ぼくの場合には、11名の友達がネパールの被災地域にいる。
Facebook災害時情報センターは、画期的で素晴らしいサービスだと思う!
おかげで同期隊員が無事でいることを、地球の裏側から素早く確認できた。
これからもこのようなサービスはどんどん開発してもらいたい。
Facebookの安否確認については、トジョウエンジンでさっそく紹介されていた。
参考:【あなたの1分をください!】Facebookがネパール地震対策として、安否確認サービスをリリース
ネパールのJICAボランティアは、活動続行か、他国へ一時退避か、もしくは日本へ帰国か……
これからネパールに派遣されているJICAボランティアは、活動を続行するのか、一時退避するのか、もしくは日本へ帰国するのかまだわからない。
しかし、JICAはすぐになんらかの対応をするだろう。
被災したネパール人の救助活動もあるが、救助の素人のボランティアではかえって足手まといになるだろう。
第二の被災に遭わないように、まずは安全を確保するべきだろう。
ネパールの近隣国へ一時退避するのかもしれないし、日本へ一時帰国するのかもしれない。
一時帰国ではなく、そのまま任期短縮で活動が完全に終了になる可能性もある。
派遣予定のボランティアは、そのまま派遣か、延期か、もしくは派遣国の変更
しかも、現在JICA駒ヶ根訓練所では、平成27年度一次隊が派遣前訓練を行っている。
その中にはネパールへ派遣される予定の候補生もいる。
彼らはネパールへこのまま派遣されるかもしれないし、派遣が延長になり派遣時期が遅くなるかもしれない、もしくは別の国へ派遣国が変更になる可能性もある。
これもまだどうなるのかわからない、JICAが会議を開いているところだろう。
実は情勢不安や天災により、JICAボランティアの派遣国が変わることはよくあることだ、「アラブの春」でもボランティアは国外退去になった。
決定権はJICAにあるので、候補生には訓練に集中してもらいたい。
ネパールへ派遣される予定の候補生も、このように心境を綴っている。
参考:7月にネパールに派遣される青年海外協力隊の僕が、ネパールの大地震で考えた3つのこと
JICAを通じた、ネパールの復興支援が期待される
ネパールが大震災に見舞われた今だからこそ、日本にできることはあるだろう。
これまでも日本はJICAや外務省を通じて、ネパールへ長年支援を行ってきた。
ネパール政府と日本政府の間には信頼関係があるはずだし、ネパールの事情に詳しい日本人も多い。
復興支援の専門家だけでなく、ボランティアOBも復興支援へ貢献することができるだろう。
今すぐに現地へ行っても混乱していて危険だと思うが、余震も落ち着いて国際的な支援団が入った後ならば、JICAボランティアでも協力できることがあるはずである。
ネパール語を話せ、現地の土地勘もあり、文化にも詳しいJICAボランティアとボランティアOBは、ネパールの復興を手助けする最高の人材ではないだろうか。
こんなときこそ、お金と人口を持った日本の国際協力の出番だと思う。
参考:国連の幸福度報告書2015:25位パナマ、46位日本「なぜ、不幸な国が幸福な国を支援するのか?」
まとめ
今は、ネパールの救助活動がうまくいくことを願っている。
復興活動が始まれば、日本人にもできることがあるはず。
特に青年海外協力隊などJICAボランティアは有力な人材となるはずだ。