ウイトラコチェラーメンを作ってみた
青年海外協力隊として中米パナマ共和国の無電化集落に滞在中に、メキシコの珍味ウイトラコチェを発見した。
以前から自分で料理がしてみたかったので、さっそく民家のカマドを借りてラーメンを調理することにした。
ウイトラコチェを自分で調理した人は少ないと思うので、今回はウイトラコチェラーメンを作って食べた様子を紹介しよう。
ウイトラコチェとは
ウイトラコチェについて簡単に説明しよう。
ウイトラコチェは黒穂病に感染したトウモロコシで、メキシコでは古代アステカ時代から薬として利用されてきた伝統食だ。
メキシコでは煮込み料理に使われるポピュラーな食材である。
詳しくはぼくがメキシコを旅行中に書いたウイトラコチェの記事をご覧頂きたい。
参考:まるでトリュフ!?メキシコの珍味「ウイトラコチェ」を食べてみた
パナマの超山奥の無電化集落に滞在中に黒穂病トウモロコシを発見
先週、青年海外協力隊・野菜栽培隊員として活動している無電化集落に宿泊していた。
参考:26回目の無電化集落滞在で、ボランティア活動の最終調査をした
2年間一緒に活動した農民グループの菜園に行くと、トウモロコシが植えられていた。
肥料を使っているせいか、焼き畑農業で育てられているトウモロコシよりも大きな実がなっていた。
そして、トウモロコシを観察していると、不思議なものを発見した!
なんか、飛び出てる!?
これは、まさしくウイトラコチェだ!!
地面に落ちていたウイトラコチェの一部を拾って、宿泊している民家へ持って帰った。
農民グループのリーダーにウイトラコチェについて話を聞いてみると、「それが何かは知らないが、たまにトウモロコシに発生する。パナマ人はそんな気持ち悪いものを食べない」 とのことだったので、ウイトラコチェについて説明した。
そして、調理して食べる許可を頂いた。
パナマの山奥でウイトラコチェラーメンを作ってみた
そこで、さっそくウイトラコチェを調理することにした。
無電化集落に滞在中には民家に宿泊しているので、そこのカマドを使わせてもらうことにした。
メニューはインスタントラーメン。
驚くべきことに、パナマの無電化集落でもマルチャンのインスタントラーメンは売っているのだ!!
これは、チキンスープ味。
まずは火をおこす。
「ゆとり世代は火起こしなんてできない」と思われているだろうが、ぼくの実家は毎日薪を焚いてお風呂のお湯を沸かしていたので、火起こしは朝飯前だ。
「メラ」くらいの速度の火が起こせる。
鍋にお水を入れてお湯を沸かす。
ちなみに無電化集落には水道もないので、このように小川をせき止めてそこに塩ビパイプを通して、民家まで水を引いて来ている。
要するに、クソ汚い川の水をそのまま飲んでいる。
なので、子供たちは寄生虫に感染されている。
次にウイトラコチェを準備した。
地面についていた部分に土が着いていたので、川の水で洗ったらボロボロになってしまった。
裏側はかすかにトウモロコシの面影を残している。
ウイトラコチェはトウモロコシの一粒一粒に菌が感染して、巨大化したものなのだ。
まずは普通にインスタントラーメンを作る。
ぼくが無電化集落に泊まり込むときの食事は、だいたいインスタントラーメンだ。
麺を取り出して、残ったスープにウイトラコチェをほぐしながら加えて煮込む。
なんだか黒いツブツブがスープへ放出されている。
どれくらい加熱すればいいのか不明だったので、1分半くらい煮てみた。
これが完成したウイトラコチェラーメン!
おそらく世界初だと思う。
ウイトラコチェラーメンを食べてみた
ウイトラコチェをまじまじと観察すると食欲がなくなってきた。
まずはウイトラコチェを食べることにした。
スプーンにすくって、インスタントラーメンで煮込まれたウイトラコチェを口に含む。
パクッ
モグモグ
シャキシャキ
こ、これは!!
「 ネギっぽい!! 」
ウイトラコチェはシャキシャキとした食感で、まるでネギのようだった。
タマネギでも長ネギでもなく、アサツキ(小葱・関西の青ネギ)に近い食感。
味はわずかに苦い。
麺と一緒に食べてみると、シャキシャキとした食感でまさにラーメンの薬味の青ネギだ!
ウイトラコチェはラーメンにめっちゃ合う!
そして、スープにはウイトラコチェの黒いツブツブが放出されて、黒くなっている。
味はやや苦い。
しばらく放置すると、ツブツブはお椀の底に沈んでいた。
メキシコではウイトラコチェは煮込み料理に使われているが、意外とサッと火を通すとネギのようなシャキシャキとした食感で、ラーメンの薬味にピッタリだった。
メキシコの美味しいラーメン屋といえば「カンクンの火ろ屋」なので、ぜひ新メニューとしてウイトラコチェラーメンを採用して欲しい。
参考:海外でハバネロ、伊勢海老、二郎ラーメン!?メキシコ・カンクンの人気拉麺屋「火ろ屋」の鶏白湯魚介ラーメン&名物カラコル貝の刺身飯
ウイトラコチェを収穫して持って帰ってみたが
ラーメン以外にもウイトラコチェ料理を作りたくなり、農民リーダーにお願いして畑に残っていたウイトラコチェを使わせてもらうことにした。
集落滞在最終日に収穫してジップロックに包んで、バックパックの一番上に入れて、ぼくのホームステイ先の家まで持って帰った。
しかし、山道を2時間も歩いた振動は予想以上に激しく、家に着く頃にはウイトラコチェはズタボロに痛んでしまった。
痛んだウイトラコチェはめっちゃグロい。
皮を剥いてみると、きれいなトウモロコシができていた。
黒穂病菌は先端の一部にしか感染していなかったようだ。
日本でもトウモロコシを栽培していると、黒穂病が発生することがある。
そこで、もし黒穂病に感染したトウモロコシが手に入ったら、みなさんもウイトラコチェ料理に挑戦してみてほしい!
まとめ
パナマの無電化集落で、ウイトラコチェラーメンを作ってみた。
ウイトラコチェはネギのような食感で、ラーメンの具材にピッタリだ。
ぜひ、みなさんもウイトラコチェ料理に挑戦してみてほしい!