海外に住んでいる日本人の食の悩み
現在、海外に住んでいる日本人はおよそ120万人いるそうだ。
ぼくも一年半住んでいるが、やはり一番の悩みは日本料理を食べれないことだ。
ありがたいことにパナマの主食はコメなので、ご飯系の日本料理は簡単に作れるが、日本の麺が手に入らないのでとにかく麺類が恋しくなる。
あぁ~、本格ラーメン、つけ麺、冷やし中華、焼きそばが食べたーい!!
海外では生麺が手に入らない
パナマのスーパーではラーメンや焼きそば用の生麺が売っておらず、売っている麺類といえばインスタントラーメンかスパゲッティなどの乾麺だ。
どれだけ調味料や具材にこだわって麺料理を作ったとしても、乾燥インスタント麺を使うと美味しくない。
乾麺はボソボソした食感で、中華生麺のモチモチした食感には敵わないからだ。
日本の麺料理に飢えているぼくは、即席ラーメンやスパゲティーを食べても、ハッピーになれない。
乾麺を生麺っぽくする方法
タブレットに日本のラーメン屋のラーメンの写真を写して「本格ラーメンを食べている妄想」をしながら即席めんを食べていたある日 、先輩の協力隊員から「乾麺を生麺っぽくする方法」を教えてもらった。
「ラーメンの写真を見ながら即席めんを食べる」というテクニック以上に良い方法など存在しないと思っていたが、物は試しとさっそく先輩から教えて頂いた「乾麺を生麺っぽくする方法」を試してみた。
すると…
めっちゃ、うまい!
モッチモチしてて、まるで生麺や!
ぼくは乾麺を生麺っぽくする方法のおかげで、合法的にハッピーになれた。
そしてこの日以来、ラーメンの写真を見ながら即席めんを食べるのはやめた。
そこで今回は海外に住んでいる日本人のみなさんに、合法的にハッピーになってもらうために、乾麺を生麺っぽくする方法を紹介しよう。
ただし、日本に住んでいてマルチャン正麺が買える人、生麺が買える人、ラーメン屋のラーメンが食べられる人は、世界平和に想いをはせながらブラウザを閉じて欲しい。
重曹(ベーキングソーダ)で乾麺を茹でる方法
乾麺を生麺っぽくする方法とは、実はとても簡単で「重曹で乾麺を茹でる」だけだ。
その前に、まずは重曹とは何だろうか?
炭酸水素ナトリウム(sodium hydrogen carbonate)、別名重炭酸ナトリウム(sodium bicarbonate。重炭酸ソーダ、略して重曹とも)は、ナトリウムの炭酸水素塩である。
常温で白色の粉末状である。
重曹は炭酸水素ナトリウム、炭酸ソーダ、ベーキングソーダなどいろんな名称を持っている。
重曹は英語ではBaking soda、スペイン語ではbicarbonato、フランス語ではbicarbonate de soudeである。
炭酸ソーダで乾麺を茹でると生麺っぽくなる理由
重曹(炭酸ソーダ)で乾麺を茹でると生麺っぽくなる理由は、ためしてガッテンのホームページでわかりやすく解説されている。
お湯に溶けた重曹が中華麺に必須の「かんすい」と同じ効果を発揮するから、インスタント麺が生の中華麺独特のモチモチした食感と香りになるらしい。
このかんすいを溶いた水を小麦粉に混ぜて麺を打つと、あの中華麺独特のモチモチ感と香りが生み出されるのです。
じつはインスタント麺も、元はかんすいを含む中華麺ですが、これを高温の油で揚げたりして水分を飛ばす際にかんすいが失われ、麺に小さな穴が開いてコシや香りも失われてしまいます。
ところが、インスタント麺をゆでる際にお湯にかんすいを加えると、失われたコシや香りがよみがえるという事実を発見!
とはいえ、かんすいは簡単には手に入りません。
そこで編み出したのが、「重曹」を代わりに使うワザ。
重曹の成分は「炭酸水素ナトリウム」で、水に溶かすとかんすいの主成分である「炭酸ナトリウム」と同じ状態になります。
それで、かんすいの代用品として使えるのです。
炭酸水素ナトリウムを海外で購入する方法
重曹は海外でも簡単に安く手に入る。
日本から見て地球の反対側に位置する発展途上国パナマのド田舎の村でも、小さな個人商店で重曹が小袋で売っているので、おそろく世界中どこの国でも、地方都市の商店に行けば重曹は手に入るだろう。
パナマのBICARBONATO(炭酸水素ナトリウム)の値段は、一袋およそ10円。
理論がわかったところで次は、具体的にどのような手順で調理すればよいのか、写真を使いながら説明しよう。
インスタント乾麺を炭酸水素ナトリウムで茹でる手順
乾麺を中華生麺っぽくするためには、以下の手順に従って調理すればよい。
たった5つの工程だけなので、とても簡単だ。
1.重曹、お湯、乾麺を用意する
まずは、重曹とお湯とお好みの乾麺を用意しよう。
(1)ラーメン、冷やし中華が食べたければ、乾燥即席麺がおすすめ。
(2)つけ麺が食べたければ、スパゲティーがおすすめ。
(3)焼きそばが食べたければ、スパゲティーがおすすめ。
2.お湯に重曹を入れる
沸騰したお湯に重曹を入れよう。
重曹の量は、一人前なら小さじ一杯くらいで十分だ。
お湯の量が増えればその分、重曹の量も増やそう。
また、重曹の粉末を入れた瞬間は、お湯が泡立つので注意しよう。
3.お湯に乾麺を入れて茹でる
次は、お湯にお好みの乾燥麺を入れて、それぞれの乾麺の指定通りの時間茹でよう。
重曹を入れたお湯は通常のお湯よりも泡立ち、吹きこぼれやすいので注意しよう。
4.ザルでお湯を切る
重曹を入れたお湯は苦くなるので、スープには使えない。
ザルでお湯を切って、重曹入りのお湯はすべて捨てよう。
そのため、ラーメンやつけ麺を食べたい場合は、スープ用として別にお湯を沸かす必要がある。
これだけが重曹テクニックの欠点だ。
5.水で麺を洗う
重曹で茹でた麺には重曹成分が付着していて苦いので、水で洗い流そう。
この時、麺の表面がヌルヌルしているのが重曹テクニックの特徴だ!
冷やし中華やつけ麺を食べたい場合は、冷水で締めると美味しくなる。
以上で、乾麺を生麺っぽくするテクニックの説明は終わりだ。
次に、生麺っぽくなったインスタント麺の活用方法を紹介しよう。
重曹とインスタントラーメンで本格ラーメンを作る方法
ここまで説明してきたように、乾燥麺を炭酸水素ナトリウムで茹でることで、まるでラーメン屋の中華麺が手に入る。
ということは、あとは「本格的なスープ」さえ用意すれば、海外でもラーメン屋の本格ラーメンが食べられるのだ!
本格ラーメンスープの材料
本格ラーメンスープを作るための材料は、以下の5つ。
「獣系、海系、畑系」の三種類のダシをミックスさせるのが重要。
(1)鶏の足(鶏ガラ、豚骨でも可)
(2)昆布(煮干し、鰹節でも可)
(3)お好みの野菜(ネギ、玉ねぎ、ニンジンなど)
(4)ニンニク
(5)ショウガ
この材料を弱火で一日煮込むと、美味しいラーメンスープが完成する。
手作りラーメンは手間はかかるが、材料費がそんなにかからないので意外と安く作れる。
あとは、醤油、砂糖、ごま油、七味唐辛子などでお好みの味に整えれば、特製ラーメンスープの完成だ。
鶏足のダシと昆布の旨みが濃縮されたスープは、たまらなく美味しい!
そして、特製ラーメンスープに重曹で茹でたインスタント麺を加え、ネギやチャーシューなどのお好みの具をトッピングすれば、本格ラーメンの完成だ。
いつもの乾麺はボソボソの食感だが、裏ワザを使った麺はプルップルッで感動した!
ちなみにメキシコ・カンクンにあるラーメン屋「火ろ屋」では、めちゃくちゃ美味しいラーメンが食べられるので、日本人旅行者におすすめだ!
参考:海外でハバネロ、伊勢海老、二郎ラーメン!?メキシコ・カンクンの人気拉麺屋「火ろ屋」の鶏白湯魚介ラーメン&名物カラコル貝の刺身飯
重曹とインスタント麺で冷やし中華も作れる
冷やし中華が食べたい場合は、即席麺を重曹で茹でて冷水で締めよう。
あとはトマト、キュウリなどのお好みの具材を用意して、中華ダレかゴマダレをかけるだけだ。
常夏のパナマでは一年中、冷やし中華始めてます!
参考:北海道の大学生協の夏の人気メニュー!冷やしピリカのレシピを海外で再現
重曹とスパゲッティで本格つけ麺も作れる
本格ラーメンとほぼ同じ方法で、つけ麺屋の本格つけ麺も作れる。
スープはラーメンと同じように作り、つけ麺のつけダレ用にはラーメンよりも味を濃い目にしよう。
そして、美味しいつけ麺を作るポイントは、麺はインスタント袋麺ではなく、「中太のパスタ麺」を使うこと。
パスタ麺を重曹で茹でると、つけ麺屋で出てくるような「ガッシリとした食感の麺」になり、超うまい!
つけ麺は「麺が命」だが、パスタつけ麺はヘタなラーメン屋のつけ麺よりも美味いと思うので、これだけは日本に住んでいる人にも試してもらいたい。
重曹とスパゲッティで焼きそばを作る裏技
重曹でスパゲッティを茹でることで、焼きそば麺を作ることも出来る。
用意するものは、重曹とお湯と中太のパスタ麺。
パスタ麺もインスタント麺の茹で方と同様に茹でて、茹で汁に塩は入れなくてよい。
茹でた麺を水で洗ったら、あとはその麺を使って野菜やお肉と一緒に炒めて、普通に焼きそばを作ればよい。
パスタ麺のモチモチした食感と、ソースの香ばしい香りの中に薫る中華麺っぽい香りが、日本を思い出させてくれる。
この裏技を使えば、海外でも簡単に美味しい焼きそばが作れる。
重曹を使うと、海外でも日本人はハッピーになれる
海外に住んでいると日本の麺料理が食べられなくて辛いが、重曹テクニックを使えば海外で売っている乾麺も生麺のようになり、美味しい麺料理が楽しめる。
生麺が手に入らなくても、ラーメンも、冷やし中華も、つけ麺も、焼きそばだって食べられるのだ!
海外に住んでいても、工夫すればハッピーになれる。
海外に住んでいる日本人の方には、ぜひ試してもらいたい。
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