ブエルボアルスールという謎の言葉
僕の頭の中にずっと残っている言葉がある。
それは「ブエルボアルスール」という言葉だ。
この言葉を初めて知ったのは、小学校の国語の教科書に載っていた小説だ。
小説の名前はすでに忘れてしまったが、どうしても気になったので「ブエルボアルスール」でググってみた。
どうやら、それは小学校6年生向けの国語の教科書に載っていた「南に帰る」という小説らしい。
僕の記憶が正しければ、主人公の少年と仲が良いブラジル人が、突然「ブエルボアルスール」と言い残してブラジルに帰国してしまう、という摩訶不思議なストーリーだったと思う。
著者は石井睦美さん。
石井睦美さんには申し訳ないが、「著者は、何を伝えたいんだ?」と教科書を読んだ12歳の頃の僕は悩んだ。
さらに文中に出てくる「ブエルボアルスール」という謎の言葉は、僕が25歳になるまでずっと頭の中に居座り続けた。
ブエルボアルスールの意味
スペイン語の勉強を始めてから、11カ月が経過した。
今の僕には、「南に帰る」に登場したブエルボアルスールという謎の言葉の意味がわかる。
ブエルボアルスールは、ポルトガル語らしいがスペイン語でも同じ意味を持つからだ。
12歳から25歳までの13年間、僕の頭の中に住み続けた言葉の意味をついに解明できる時が来た!
ブエルボアルスールは、「Vuelvo al sur」と書く。
◆Vuelvoは、Volverという「帰る」という意味の動詞である。
◆alは、「a el」の短縮形であり、aは「~に向かって」という意味の助詞、elは「surの定冠詞」である。
◆surは「南」という意味の名詞である。
なので「南に帰る」に登場した「ブエルボアルスール」を日本語に訳すと、「南に帰る」になる。
って、タイトルのまんまやないか~い!!
日本から見てブラジルが南にあるから、ブラジル人は「ブラジルに帰るよ」って意味で「ブエルボアルスール(南に帰る)」って言ったのだ。
小説「南に帰る」のブエルボアルスールが教えてくれたこと
スペイン語を勉強したおかげで、ずっと僕の頭の中でモヤモヤしていた悩みはサッパリと晴れた。
それだけではなく、人生の教訓も得た。
言い換えればブエルボアルスールという言葉は、13年かけて僕に「幸せな人生の過ごし方」を教えてくれた。
「悩み事なんて実は大したことないんだよ。
世の中のことは全部、シンプルに考えてみなよ」
彼からの教えは、頭の中で生活していた「13年分の家賃代り」にはなったと思う。
最高に楽しい中南米パナマ生活
青年海外協力隊としてパナマに派遣されて、7カ月経った。
派遣当初と比べたらスペイン語もだいぶ話せるようになり、野菜栽培隊員としての協力隊活動も軌道に乗り、最高に楽しい時間を過ごしている。
しかも、週末に飲んでいるパナマ産ビールは、4種類あり日本のビールよりも美味しいのに一缶65円と激安だ。
特にPANAMAというビールの銘柄は、北海道限定ビール・サッポロクラシックのような味がして、僕の一番のお気に入りだ。
平日の活動も
週末の遊びもすべて順調で、
最高に楽しいパナマ生活
のはずなのに…
故郷の信州が恋しくて、恋しくて、堪らない。
地元長野県が恋しい!
25年間信州に住み続けていた根っからの信州人にとって、地球の反対側で暮らすことはとても辛いのだ。
パナマビールも好きだけど、信州の地酒が呑みたい!
酒の肴はもちろん、蜂の子と…
柚餅子(ゆべし)!
呑んだ〆には手打ち蕎麦を食べたい!
もちろん漬物も。
青年海外協力隊の一時帰国制度
ついつい「日本に一時帰国したいな…」と頭の中に願望が浮かぶが、頭の中の裏﨑大輔が猛反対する。
宮﨑 「日本に一時帰国したい!」
裏﨑 「一時帰国なんて、お金と時間がもったいないぞ!それにその期間の活動はどうするんだ!?」
宮﨑と裏﨑が一時帰国についてケンカを始めると、頭の中のもう一人の住人が話に入って来た。
ブエルボアルスール 「悩み事なんて実は大したことないんだよ。世の中のことは全部、シンプルに考えてみなよ」
裏﨑 「ぐぬぅ。。。」
宮﨑 「そうだ、信州に帰ろう!」
日本に一時帰国します!
来月、僕は青年海外協力隊の「休暇のための一時帰国制度」を利用して日本に帰国する。
一時帰国の目的が休暇なので、【パナマ⇔日本】の航空券代などは自腹だ。
新卒隊員の僕には大きな出費だが、信州の暮らしはお金には変えられない。
信州に滞在する期間は、4月6日から22日までの17日間。
パナマの4月は乾季の終盤なので雨が全く降らず川の水も最も少なくなり、パナマでは野菜栽培が最も行われない時期なのだ。
野菜栽培の普及活動を休止して帰国するなら、今しかない!
信州を満喫したい!
9カ月ぶりの信州を満喫しよう。
家族とのんびり過ごしたり、恩師と呑んだり、友達と遊んだりしたい。
一度思いっきりリフレッシュして、すべてを一旦ゼロベースにして、協力隊生活を二度楽しみたい。
青年海外協力隊の活動準備
リフレッシュだけでなく、協力隊活動のための準備もしたい。
農業や国際協力の専門書やパソコン用品を買ったり、パナマで一度生活したからこそわかる必要な物を日本で仕入れて、準備を万全に整えてまたパナマに向かおう。
パナマでは5月から農繁期である雨季が始まり、パナマの農民が僕を待っている。
そして信州を満喫し終わり、パナマに帰るときにはこの言葉を残そう。
ブエルボアルスール!