「20代でインドネシアで3年間働いて得たもの・失ったもの|宇佐美克明」を読んで
先日、Yahoo!ニュースで「20代でインドネシアで3年間働いて得たもの・失ったもの」という記事を読んだ。
この記事を書いたのは、インドネシアCreative Visions副社長の宇佐美克明さん。
まだ読んでいない人は、ぜひ読んでみてほしい。
20代でインドネシアで3年間働いて得たもの・失ったもの(宇佐美克明) – 個人 – Yahoo!ニュース
宇佐美さんの言葉に強く共感した
ぼくは宇佐美克明さんの文章を読んで、強く共感した。
簡単に内容を紹介しよう。
海外で働いて得たもの
宇佐美さんが海外で働いて得たものは、以下の6個。
1. 日本という国への興味・関心・探究心
2. 宗教・文化に対する考え方
3. 自分を見つめ直す時間
4. 先人への感謝の気持ち
5. 言語能力
6. 新しいことにトライするハードルが低くなった
引用元:20代でインドネシアで3年間働いて得たもの・失ったもの
海外で働いて失ったもの
宇佐美克明さんが海外で働いて失ったものは、次の2つ。
1. 日本の友人・家族と過ごす時間
2. 日本のトレンドに追いつけない
引用元:20代でインドネシアで3年間働いて得たもの・失ったもの
海外で働くにあたり注意した方がいいこと
宇佐美さんが考える「海外で働くにあたり注意した方がいいこと」は、以下の4点。
1. 日本の看板をしょっているという自覚を忘れない
2. 危機管理
3. 少なくとも日本での数年の経験⇒海外がいい
4. 自分なりのストレス解消法
引用元:20代でインドネシアで3年間働いて得たもの・失ったもの
海外でボランティアして得たものと失ったものは何か?
宇佐美さんの文章を読んで共感したが、「では、ぼくはどう考えるのか?」と自問自答してみた。
そこで、ぼくも同じテーマで記事を書いてみることにする。
題して、「20代でパナマで1年半ボランティアして得たもの・失ったもの」である。
海外でボランティアして得たもの
まずは海外でボランティアして得たものから説明しよう。
1.国際協力のリアルな経験
まずは、実際に国際協力の生の現場で、自分で途上国開発に携わっているという経験だ。
この経験は、日本に住んでいては体験できないし、青年海外協力隊という制度に参加し、パナマ共和国で活動しているからこそ得られている。
パナマに来る前は、国際協力関連の本を読むことしかできなかったが、今では自分が国際協力の現場で村人と顔を合わせている。
2.発展途上国で生き抜く力
発展途上国に分類されている中米パナマの中でも、 ぼくは田舎の村に住んでいる。
ホームステイしている家では、毎日停電と断水が発生する。
それでもまだ蛇口とコンセントがあるから良い方で、活動しているのは、電気も水道も完全にない山奥の集落だ。
山奥の集落に24回泊まり込んで活動しているが、日本とは全く違う暮らしだ。
ジャングルの中で全裸になり、川で水浴びをする。
川の水と伝統的な発酵酒を飲んで、毎回下痢をする。
馬に乗りサトウキビを運び、豚を投げ縄で捕まえて、鶏と一緒に寝る。
もちろん、山奥の集落に現金収入を得られる仕事はない。
電気も水道もない集落では、「生きること」が仕事である。
日本では経験できないワイルドな生活で、少しはたくましくなった気がする。
3.宗教、お金、仕事のカルチャーショック
パナマ人との交流の中で驚くことといえば、宗教、お金、仕事に関する考え方の違いだ。
神がすべてのカトリック教徒
カトリック教徒が90%以上を占めているパナマでは、「神がすべてだ」。
挨拶では必ず神に感謝し、集まりの最初には聖書を読み上げ、問題はすべて神の御導きで決まる。
パナマはカトリック教徒の国なので、彼らからすればそれが当たり前のことだが、仏教的な教育を受けてきたぼくは違和感がある。
パナマの給料は日本の半分
お金の価値観も違う。
平均的なパナマ人の給料は月収3万円から10万円程度しかなく、ぼくのホストファミリーが家族旅行に行くことは滅多にない。
しかし、花火やお酒や洋服にはお金をたくさん使う。
働く量も日本人の半分
給料が安いこともあってか、仕事量は少ない。
職場の椅子に座っていることが働くことだ。
でも、過労死はきっとゼロだし、電車に飛び込む人もいない。
参照:残業ゼロで30日間有給休暇が取れる!日本とパナマの労働条件の違い
4.「幸せの定義」の書き換え
貧困に苦しむ人は、お金を持っていないから不幸なのだと思っていた。
しかし、幸せかどうかにお金の影響はないと知った。
もし、影響するなら、パナマ人よりも日本人の方が幸せであるはずだ。
しかし、実際にはどう見てもパナマ人の方が幸せそうだ!
お金を持っている人が幸せになれるのではない。
幸せを感じられる人が、幸せになれるのだ。
5.「住めば都」の実感
「住めば都」という言葉があるが、パナマに1年半住んでそれを実感した。
パナマには家族も古くからの友人もいない。
日本食も食べられないし、「中国野郎!」と馬鹿にされる。
騒音はすごいし、タランチュラやサソリも出る。
それでも、パナマ暮らしはとても楽しい。
ぼくは外国に住むのは初めてで、さらに「長野県の外」で暮らすのが初めてだった。
しかし、どんな環境の変化も慣れてしまえば快適だと知った。
6.途上国の可能性を体感
パナマは発展途上国に分類されているが、現在急激に経済成長を遂げている。
出生率も高く人口もドンドン増加していて、まるで「経済成長期の日本」のような勢いだ。
日本に居ては味わえない「国の成長」を体験できている。
海外でボランティアして失ったもの
次に海外でボランティアして失ったものを考えてみた。
1.国際協力への情熱
ぼくは国際協力への情熱が冷めてしまった。
国際協力の生の姿が見れたし、体験できた。
とてもやりがいがある仕事だと思うし、意義も素晴らしい。
もちろんうまくいっていないことや、建前だけで中身が伴わない活動もあるだろうが、それでも国際協力に携わりたい人は続ければいいと思う。
しかし、ぼくはこれ以上は国際協力には関わりたくない。
否定するわけではないが、ただ好みが合わない。
2.新卒と社会人経験
海外でボランティアしていることで、「新卒」という肩書と就職していれば得られたであろう「社会人経験」を失った。
日本で就職するためには、新卒という肩書と社会人経験が何よりも大切だ。
「社会人経験がない非新卒26歳」が日本で就職するのは、かなり厳しいだろう。
海外でボランティアするにあたり注意した方がいいこと
最後に、海外でボランティアするにあたり注意した方がいいことをまとめた。
1.「誰のために?」を問う
ボランティア活動が、誰のために行われているのかを考えよう。
本当に対象者のためになっているのか?
実は、NGOや国際機関の実績作りのためではないか?
ボランティアがやりたいだけで、本当に対象者のためになっているのか?
2.「正義の味方だ」と勘違いしない
「自分は善いことを行っている正義の味方だ!」と勘違いせずに、自問自答を繰り返しながら、悩みながら活動して欲しい。
よそ者のボランティアに、すべての事情を把握することは不可能である。
そのため良かれと思ってやったことでも、実は逆効果になることもある。
3.主役にならない
国際協力の主役は対象者であり、ボランティアは脇役だ。
対象者が望むことをする手伝いをさせて頂こう。
ボランティアが対象者の未来を決める権利はない。
あくまでボランティアはボランティアだ。
4.帰国後にやることを決める
ボランティア活動に集中しながらも、派遣期間終了後のことを準備しよう。
気を付けないと「燃え尽き症候群」になるボランティアがいる。
ボランティア経験で得たものを、帰国後にどこで、どう生かすのかを考えよう。
まとめ
「20代でインドネシアで3年間働いて得たもの・失ったもの」に刺激を受けて、「20代でパナマで1年半ボランティアして得たもの・失ったもの」を書いてみた。
書いていると、自分と会話しているような気分になってきた。
少しスッキリした。
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