海外の無電化集落に暮らす究極のミニマリスト
1.なんちゃってミニマリスト
物を持たないミニマムな暮らしを送る人を、ミニマリストと呼ぶそうだ。
物が溢れた先進国で生活している人間は、逆に物がない生活に憧れている。
ミニマリストは欲望を持たない悟りを開いた人のように扱われているが、実際にはミニマムな暮らしを望むことだって、欲望の一つだと思う。
物に溢れた先進国で快適な暮らしを送りながら、シンプルライフを送っていると豪語する「なんちゃってミニマリスト」が世の中には溢れている。
2.究極のミニマリスト
先進国のなんちゃってミニマリストとは違い、パナマ共和国の無電化集落に暮らすぼくの友人たちは、「究極のミニマリスト」と呼んでいいだろう。
彼らは経済発展が遅れている開発途上国の中でも、超田舎の貧困地域に住んでいる。
その村には、電気も水道もトイレもない。
現金収入もないが、家と畑と家畜、少しだけの日用品だけのほぼ自給自足の暮らしをしている。
発展途上国の田舎で生活している彼らの生活は非常に原始的で、メキシコの人類学博物館に展示されていた古代の生活と全く同じ生活をしている。
まさに、ミニマリストが求めている究極のシンプルライフを送っていると言っていいだろう。
そこで今回は、究極のミニマリストの暮らしから、何も持たないシンプルライフを送る方法を紹介しよう。
何も持たないシンプルライフを送る12個の方法
1.働かない
まず無電化集落に暮らす村人たちは、働かない。
集落には現金収入を得られる仕事は存在しないからだ。
どうしてもお金が必要な場合には、年に4週間ほど町へ出稼ぎに行く。
普段は山で農作業をしているか、家で作った発酵酒を飲んで酔っ払っている。
究極のミニマリストになる第一歩目は、働かないことだ。
現金を手に入れないことで、ミニマムな生活をせざるを得なくなる。
ヒント:仕事を辞めてみよう
2.貯金しない
彼らがお金を手に入れた場合は、貯金することはない。
そもそも、銀行口座を持っていないからだ。
手に入れた現金は、すぐに食料や日用品、ビールに交換する。
無電化集落では現金には価値はない。
暮らしに必要な物だけに価値があるのだ。
将来を心配して貯金することはしない、彼らは今この瞬間だけを生きている。
ヒント:貯金をやめよう
3.買わない
現金を持たないミニマリストは、物を買わない。
基本的に現金がないから、買う以外の手段しか選べないのだ。
村の女性は綿花を栽培し糸を作り、糸からカバンを作っている。
お酒も基本的には、トウモロコシやサトウキビが材料で自家発酵させて作っている。
自分で作る、拾う、恵んでもらうなど、お金を使わないで入手する方法もある。
ヒント:買い物をやめよう
4.育てる
究極のミニマリストは、食料を育てることでまかなっている。
伝統的な焼き畑農業をして、コメ、イモ、トウモロコシを育てている。
生きていくために最低限必要な食料は、村内で自給している。
しかし、育てた食料を売ることはない。
無電化集落には、食料を買う人がいないからだ。
ヒント:家庭菜園を始めよう
5.狩る
動物性タンパク質は、野生動物を狩ることで摂取する。
村にはイグアナ、鹿、野鳥、ザリガニ、川魚が生息しているからだ。
村の男は常にパチンコと山刀を持ち歩き、野生動物を見つけ次第、すぐに狩る。
リアル・モンスターハンターの世界に住んでいる。
ヒント:狩猟免許を取ろう
6.建てる
彼らは生きるために家を建てる。
大工や建設会社など存在しないし、お金がないので住居は自分で建てるしかないのだ。
木材と草、泥を使って家を建てる。
最近では、天井にトタン板を使えるほど裕福になった。
ヒント:自分で家を建てよう
7.祈る
彼らが問題を解決する手段は、祈ることだ。
村人の100%がキリスト教徒なので、小さいな礼拝堂を建て、そこでみんなで祈る。
「祈る」という行為は、最も簡単な自己暗示行為だそうだ。
この集落に暮らす村人は生まれた瞬間から死ぬ瞬間まで、キリスト教以外の宗教の存在を知らずに生きている。
その代わりに絶対的に信仰し、毎日迷いなく祈っている。
ヒント:宗教に入って、毎日祈ろう
8.楽しいことを選ぶ
彼らは常に楽しい方を選択する。
辛いこと、嫌なことを我慢して行うことはないのだ。
今、楽しいと感じることに従って生きている。
食べたいときに食べて、寝たいときに寝ている。
「考えない力」が日本人に最も足りない力だろう。
ヒント:楽しいことだけ選ぼう
9.諦める
彼らは諦めることを知っている。
高校に進学できる子供は5%ほどしかいないし、大学に進学できる可能性は0%だから、子供はだれも進学したいとは言わない。
この村の出身の青年は学歴も政治家とのコネもないので、肉体労働以外の職業に就職できる人はいない。
夢を追いかける人はいない。
彼らはミニマリストだが、現実的だ。
ヒント:夢を諦めよう
10.子供をたくさん産む
彼らは子供をたくさん産む。
10代前半から産み始め、40代まで生み続ける。
たくさん産んだ子供のうち一人でも現金収入が得られる仕事に就ければ、家族全員の生活が楽になるからだ。
生活を改善するためには、子供をたくさん産むことが最も効率が良いのだ。
シンプルライフを送っている彼らでも、子供はできるだけたくさん持とうとする。
お金や物を持っていない彼らも、家族はとても大切にする。
ヒント:家族を大切にしよう
11.生活保護を受ける
彼らは政府の生活保護を受けている。
生活保護のおかげで現金を得ているし、国営の医療をほぼ無料で受けている。
究極のミニマリストの生活も、結局は資本主義社会の恩恵で成り立っている。
無電化集落に暮らしている彼らも、この世界の住民なのだ。
政府がパナマ運河で稼いだお金で、生活保護を支給され、医療も無料で受けられている。
ヒント:政府の補助金、医療を受けよう
12.国際援助を受ける
彼らは国際援助も受けている。
欧米のNGOが食料や日用品、玩具を無料で配っているのだ。
お金持ちから見れば、彼らは物もお金も持たない貧しくてかわいそうな貧乏人だから。
おかげで村人は働かなくても暮らしていける。
国際援助の世界では、「持ちつ、持たれつ」の共存関係が成り立っている。
ヒント:お金持ちから援助を受けよう
まとめ
先進国に暮らすなんちゃってミニマリストとは違う、途上国の無電化集落に暮らす究極のミニマリストの生活を紹介した。
あなたが本気でシンプルライフを送りたいのならば、物が溢れた先進国で生活するのをやめて、ぜひパナマの無電化集落に引っ越してほしい。
しかし、彼らでさえも政府や外国のNGOからの支援に頼っている部分があり、完全に誰からも影響を受けないミニマムな暮らしを送ることなど不可能だろう。