日本に住んだことがあるカウンターパート
「ぴーぴーかろりー、ぴーぴーかろりー」
僕の出木杉くん(カウンターパート)が突然叫び始めた。
カウンターパートは大の日本びいき
ある日、彼は有機農業研修のために三ヶ月間日本に住んでいた時の話を、巡回の帰りの車での中で二人の学校の先生にしていた。
日本の農業、食事、日本人の働きぶりなど説明し、いつも通り日本をべた褒めだ。
「日本は世界一の国だ」「日本人は働き者しかいない」「日本は信じられないほど完璧だ」と褒めまくるもんだから、最初のうちは喜んで話を聞いていた先生方も、今はパナマ人であるアイデンティティを傷つけられテンションが下がってしまった。
すると、先生方の相槌が減ったからか、出木杉くんが突然僕に話を振って来た。
出木杉 「なぁダイスケ、『ぴーぴーかろりー』って知ってるか?」
のび太 「なんじゃそりゃ?」
出木杉 「ぴーぴーかろりーだよ、ぴーぴーかろりー!知ってるだろ?」
のび太 「さっぱりわからん、食べ物か?」
出木杉 「違うよ、鹿児島で教えてもらった言葉だ」
のび太 「ぴーぴーかろりーってどういう意味?」
出木杉 「『死ぬ直前まで働いていたい』って意味だ」
のび太 「出木杉くん、それ『ピンピンコロリ』や!」
長野県高森町瑠璃寺のピンピンコロリと死のう!PPK標語
ピンピンコロリとはどういう意味か?
ピンピンコロリとは、病気に苦しむことなく、元気に長生きし、病まずにコロリと死のうという意味の標語。
略してPPKとも言う。
発祥の地は長野県下伊那郡高森町瑠璃寺。
引用:Wikipedia
日本で「ピンピンコロリ」まで学んでくるとは、出木杉くんは流石出木杉くんである。
なんて勉強熱心な男なのだろう。僕は感心していた。
しかし、その言葉を聞いた先生方から意外な反応が返って来た。
先生A 「『死ぬ直前まで働いていたい』だんて、日本人はどれだけお金が欲しいのよ!」
先生B 「日本人は本当にお金が大好きなのね」
その時、先生方は僕のことを軽蔑するような目で見ていた。
お金を稼ぐために働く日本人
パナマに来てから、働くことの意味や生きることの意味を日本に居た頃よりも考えるようになった。
パナマ人の多くは、生きるために必要なお金を稼ぐために働いている。
そのため、出来れば働きたくないし、働くことは嫌いだ。
パナマ人の働き方・就業時間・休暇体系
例えば、僕の配属先のMIDAの就業時間は【8:30~15:30】である。
日本と比べたら短いし、しかも残業はしない。
毎日、15時31分には職員は一斉に帰る。
もちろん土日・祝日は完全に休みだ。
しかも、年に一回一ケ月間の休暇がある。
11ケ月働いて、1ケ月休むというサイクルだ。
日本人の働き方・給料・労働時間
日本人はどうだろう?
日本人の多くは、何のために働いているのか?
残業をしなければならず、上司よりも先には帰れず、休日出勤もあり、連休はほとんど取れない。
おそらく働いている時間は、パナマ人よりも日本人の方が圧倒的に長い。
一生で考えたら、労働時間は相当な差がつくはずだ。
しかし、代わりに給料はパナマ人よりも日本人の方が高い。
しかし、その差は労働時間の差とは比例しないだろう。
日本人の労働時間に対しての所得効率は良くないと思う。
日本人は、働くために生きているのか?
お金をたくさん稼ぐために働いているのか?
僕には今のところわからない。
それは社会人経験がないからなのか、それとも悟りを開いていないからなのか。
それさえもわからない。
ただし、この感情だけは感じている。
僕はピンピンコロリと生きたい。
それはきっと僕が信州人だからだ。
ピンピンコロリ発祥の寺である瑠璃寺は、実家から車で15分の位置にある。