パナマに住んでいるからわかるパナマハットの真実
中米パナマ共和国に住んで2年が経った。
日本人にとってパナマといえば、パナマ運河とパナマハット(panama hat)の国だろう。
パナマハットとは、オシャレ好きな男性と女性に人気のアイテムだ。
しかし、パナマに住んでいるからこそわかる真実がある……
実は、あなたが被っているパナマハットは、本物のパナマハットではないのだ!!
今回はパナマに2年間住んだからわかる、本物のパナマ帽の材料・作り方・選び方・被り方を紹介しよう。
日本人が想像するパナマハット
まずは、パナマハット素人の日本人が想像するパナマハットのことを説明しよう。
1.パナマハットとは?
パナマハットとは、実はエクアドル生まれの帽子である。
パナマ帽(ぱなまぼう、Panama hat)は、パナマソウの葉を細く裂いた紐で作られる、夏用のつば付の帽子。「パナマ帽」と呼ばれているが、起源はパナマではなくエクアドルである。「パナマ帽」の名称の由来はパナマ運河であるとする説が多く、オックスフォード英語辞典では「1834年にセオドア・ルーズヴェルトがパナマ運河を訪問したときから一般に広まった」としている。日本では戦前、紳士用の正装としてカンカン帽と共に夏に愛用されていた。
引用元:Wikipedia パナマ帽
これが日本人が想像するパナマハットだ。
パナマ国内でも観光地で売られている。
2.パナマハットの真実
しかし、実はパナマ人はパナマハットを被らない!
たまにはパナマハットを被っている人もいるが、一般的にパナマ人が被っている帽子はパナマハットではないのだ。
いや、パナマハットなのだが、パナマハットではない…..
ややこしいので、少しずつ説明しよう。
パナマ人が被る「本物のパナマ帽」
パナマ人が被っているのは、本物のパナマ帽でエクアドルで生まれたパナマハットではない。
1.パナマ人がかぶっている本物のパナマハット
パナマ人が被っている帽子は「本物のパナマハット」で、エクアドル生まれのパナマハットとは別物だ。
例えば、パナマの伝統的な衣装を身にまとった男女を見て欲しい。
男性が被っている帽子は、どう見てもエクアドル生まれのパナマハットとは違うタイプの帽子だとわかってもらえるだろう。
パナマの帽子は、パナマハットではないのだ。
田舎のおじさんが被っている帽子も、エクアドル生まれのパナマハットとは別物だ。
子供が被っている帽子ももちろんエクアドル生まれのパナマハットではなく、本物のパナマハットだ。
このおじさんも本物のパナマハットを被っている。
2.お土産屋さんに売っているパナマハットはエクアドル生まれ
ではエクアドル生まれのパナマハットはパナマには売っていないかというと、お土産物屋さんにはたくさん並んでいる。
しかし、基本的にはエクアドル生まれのパナマハットは、外国人観光客向けに売られている。
もちろん都会に住むパナマ人が、普段使い用にエクアドル生まれのパナマハットを被ることもあるが、それはただのファッションとして被っており、パナマ人だからパナマハットを被っている訳ではない。
3.わかりやすい呼び分け
めちゃくちゃわかりにくいのは、2種類の帽子が「パナマハット」というひとつの名前で呼ばれているからだ。
そのため、パナマ人はパナマ人が被っている帽子を「カンペシーノ帽(農民帽子)」と呼び、エクアドル生まれのパナマハットを「コロンビア帽」と呼び分けている。
パナマ人が被っている帽子は、カンペシーノと呼ばれる農民が農作業をする時に使う帽子なので「カンペシーノ帽」と呼ばれている。
そして、エクアドル生まれのパナマハットは、現在ではコロンビアが産地なので「コロンビア帽」と呼ばれることが多いが、お土産物屋さんではパナマのお土産物として売るために「パナマハット」と呼ばれている。
しかし、実際にはコロンビア帽はパナマでは作られていないし、使われていない。
4.まとめ
ここまでの情報を整理しよう。
(1)パナマハットはエクアドル生まれ。
(2)パナマ人が被っている帽子は、パナマハットではない。
(3)パナマ人が被っている帽子は、カンペシーノ帽。
(4)エクアドル生まれのパナマハットは、コロンビア帽と呼ばれている。
(5)お土産物屋では、コロンビア帽はパナマハットと呼ばれている。
自分でも何を言っているのかわからなくなってきた(笑)
とにかく日本のみなさんに伝えたかったことは、たったひとつだけだ。
パナマ人はパナマハットを被らない!
ここからは、パナマ人が被っているカンペシーノ帽の材料、作り方、選び方、被り方などマニアックな情報をお伝えする。
パナマハット(カンペシーノ帽)の材料と作り方
まずは、パナマ人が被っているカンペシーノ帽の材料と作り方を紹介しよう。
1.パナマハットの材料
この草がパナマ人が被っているカンペシーノ帽の材料だ。
おそらくエクアドル生まれのパナマハットの材料と同じ作物だと思う。
山奥の沢に生えている草だ。
しかし実は、カンペシーノ帽の材料になる草は全部で3種類ある。
カンペシーノ帽をじっくり観察すると、微妙に材質や色が違うのだが、それは材料の草が違うからだ。
この草の繊維を使ってヒモを作り、そこから帽子を作る。
2.パナマハットの作り方
ここからは、パナマハットの作り方を紹介しよう。
ぼくが2年間活動した集落では、手先が器用なおじさんがパナマハットを作って売っている。
材料の草の茎を乾かして、その繊維を編んでヒモを作り、そのヒモを編んで帽子を作る。
おじさんは1個の帽子を2週間ほどで作り、1個8ドル(およそ1,000円)で売っている。
3.パナマハット作りに挑戦
ぼくが住む村の別の集落では、女性の現金収入向上策として帽子作りを教えている。
裁縫になれた女性の方が手先が器用で、パナマハット作りに向いているらしい。
ハンモックに腰かけながら、帽子のひもを編んでいた。
大きな木の型を使って、その周りにヒモを編んでいく。
この木の型の大きさで、帽子のサイズが変わる。
このように渦を巻くようにして、少しずつ円周を広げていく。
せっかくなので、パナマハット作りに挑戦させてもらったが、とても難しかった。
パナマ帽(カンペシーノ帽)のお店での選び方
ここからは、カンペシーノ帽をお店で選ぶ時にポイントをお教えしよう。
1.見た目
まずは、なんといっても見た目で選ぼう。
無地の帽子でもよいが、黒い柄が入っているとカッコイイ。
この黒い柄が入った帽子は、「ピンターダ帽(描かれた帽子)」と呼ばれ、古くは伝統的なダンスを踊る時に使われていた帽子だ。
柄があったほうがオシャレなので、最近では普段から使われている。
このように黒い柄が多い帽子は、「コロンビア帽」と呼ばれている。
ますます、ややこしい。
黒い柄は別の植物を加工して黒くしている。
2.頭のサイズ
気に入ったデザインの帽子が見つかったら、実際に被ってみてサイズを確かめよう。
多少きつくても、被っているうちにフィットしてくる。
子供用に小さな帽子も売っている。
3.値段
デザインもサイズも気に入った帽子が見つかったら、値段交渉をしよう。
相場は15ドル~150ドル(1,800円~18,000円)とめちゃくちゃ幅がある。
高価な帽子の特徴は以下の3点だ。
・ヒモの繊維が細いほど高価
・ヒモが細いほど高価
・柄が細かいほど高価
このようにとにかく、細かいものほど高価なのだ。
例えば、これは35ドル(4,200円)だ。
これは100ドル(12,000円)。
これも100ドル(12,000円)。
4.パナマ国内のパナマハット産地
パナマ国内のパナマハット産地は、ペノノメとラ・ピンターダが有名だ。
パナマハットは、主に田舎の農民や少数民族が作っている。
観光地のお土産物屋さんでも売っている帽子は質がよいが値段が高く、地方の市場や路上で売られている帽子は値段は安いが質が悪い。
パナマ国内では、以下のお店が安くて質が良い帽子が売っているのでおすすめだ。
・ペノノメの民芸品市場
・ペノノメの野菜市場
・ラ・ピンターダのお店
・サンタフェの民芸品市場
パナマハット(カンペシーノ帽)の3種類の被り方
ここからは、パナマのカンペシーノ帽の被り方を紹介しよう。
カンペシーノ帽の被り方は大きく分けて3種類ある。
1.ただ被る
カンペシーノ帽はただかぶるだけでもよい。
感覚的には30%の人は、ただ被るだけだ。
基本的には男性向けの帽子だが、田舎に行くと女性も被っている。
2.前を上に反らせる(パナマ流・既婚者向け?)
帽子のつばの前を上に反らせる人が多く、これは「パナマ流の被り方」と言われている。
感覚的には、60%の人が前を上に反らせている。
極たまに「既婚者は前を上に反らせる」という人もいるが、子供でも前を上に反らせるのでこれはあまり一般的ではない。
3.後ろを上に反らせる(コロンビア流・独身者向け)
帽子の後ろを上に反らせる人もいて、これは「コロンビア流の被り方」と言われている。
感覚的には10%の人がこの被り方だ。
たまに「後ろを上げるのは独身者向けの被り方」とも聞くがあまり知っている人はいない。
まとめ
パナマに住んでいるからこそわかる、パナマのパナマハット事情を公開した。
・日本で流通しているパナマハットはパナマ人が被っている帽子ではない。
・パナマ人が被っている帽子はパナマハットではなく、カンペシーノ帽である。
・パナマハットもお土産物屋ではパナマハットとして観光客向けに売っている。
・パナマハットの材料は草で、農民が手作りしている。
・値段は15ドル~150ドルまで幅広く、いろんな柄がある。
・被り方も大きく分けて3種類ある。
エクアドル生まれのえせパナマハットが好きな人は、パナマ人が被っている本物のパナマハットにも挑戦して欲しい!