大都会パナマシティ
中米最南端に位置するパナマ共和国は、発展途上国に分類されている。
田舎に行けば電気も上下水道もなく、焼畑農業をして暮らしている集落が点在している。
しかし、パナマ政府はパナマ運河の通航料により年間およそ1,850億円(2012年)も収益をあげており、首都のパナマシティを中心に急激な経済発展を遂げている。
パナマシティには高層ビルが立ち並び、もはや東京のようである。
首都圏の人口は150万人ほどだが、中部地区最大都市の名古屋市よりも都会だと思う。
ついに、そんな大都会パナマシティに中米地域では史上初となる「地下鉄」が開通した。
中米初の地下鉄
中米地域初となる地下鉄が2014年4月5日に開通した。
パナマでは、地下鉄は「メトロ」と呼ばれている。
メトロはパナマシティを南北に貫く13.7kmで、そこを走るのはフランス製の車両である。
現在は単線で12駅が稼働中だが、駅と路線を今後増加させていく予定である。
鉄道業界誌インターナショナル・レールウェイ・ジャーナルによると、同メトロは2010年11月に建設が始まり、建設費用は約10億8800万米ドル(約 1120億円)。
車両はフランス・アルストム製の電車「メトロポリス」3両編成19本を導入、列車制御システムも同社製のCBTC(無線による列車制御シ ステム)「Urbalis」を採用し、最短1分30秒間隔での運転が可能という。
現時点では1時間あたり約1万5000人の利用を見込んでいる。
地下鉄が必要な理由
パナマシティが地下鉄を作ったのは、交通渋滞を緩和するためだ。
パナマ共和国の人口は320万人ほどだが、なんとパナマシティ周辺だけで120万人が生活している。
実に人口の三分の一以上が首都に集まっているのだ。
そのため、朝の通勤ラッシュ時と夕方の帰宅ラッシュ時の渋滞はすさまじく、パナマシティに暮らす人にとって大問題となっている。
すでにパナマ政府は渋滞緩和のために、数年前に市内に「路線バス」を普及させた。
しかし、それでも交通渋滞は発生しているため、ついに「地下鉄」を作ってしまった。
パナマ政府は、「人口密集」という問題に対して「パナマ運河による経済力」を武器に、地下鉄という解決策を実行したのだ。
メトロで乗り鉄と撮り鉄して来た!
ぼくは鉄道オタクではない。
しかし、中学校の職業体験はJR飯田駅で働いたし、高校生時代はJR飯田線をたまに使っていた。
そして、大学院時代にお世話になった助教の先生は、ガチな撮り鉄だったのでなんとなく鉄オタ文化に親しみがある。
というわけで、せっかくパナマに住んでいるので、中米初の地下鉄で乗り鉄と撮り鉄をして来た!
地下鉄の出発駅
地下鉄の出発駅は、アルブルック駅である。
アルブルックとは、パナマシティの巨大ショッピングモールであり、パナマの長距離バスと市内の路線バスのバスターミナルがある場所でもある。
現在は、そこに地下鉄の駅も完成し、パナマシティの交通の要所になっている。
アルブルックのバスターミナルから、陸橋を渡ると地下鉄の駅に行ける。
乗車にはカードが必要
パナマの地下鉄に乗るためには、まずはメトロカードが必要になる。
このオレンジ色のカードは古いタイプのものだが、これでもメトロに乗れる。
メトロカードは、バスターミナルでも買えるし、地下鉄の駅の入り口でも買える。
カードを買ったら、お金をチャージしておく必要がある。
現在の運賃は、一回35円。
どこまで乗っても運賃は変わらない。
しかし、今後運賃自体が変更になる可能性は高い。
改札は慎重に
メトロカードを手に入れて、お金をチャージしたら、さっそく改札を潜ろう。
日本のスイカのようにセンサーにタッチさせればOKだが、機会が読み取るのに時間がかかるし、精度が悪いので慎重にタッチさせよう。
そして、前の人が通過したことを確認してから、進もう。
一発でタッチに成功させている人はあまりおらず、ほとんどの人が2,3回はタッチしている。
おかげで改札には長い行列が出来ている。
現在は地下鉄は一本しか走っていないので、東京の地下鉄のように迷子になる心配はない。
もし迷子になれたら、その才能を生かしてすぐに忍者になるべきだ。
北に行きたいか、南に行きたいかだけを決めて、駅のホームを選べばいいのだ。
平日の昼間はご覧のように空いているが、平日の朝と夕方には混雑しているらしい。
頭上に電車の時刻表が表示されている。
だいたい5分間隔で発着しているが、遅れることも多々あるそうだ。
この線路を通って、電車がやってくる。
出来たてということもあり、駅や線路はかなりキレイ。
5分待てば、電車がやってくる。
この電車は扉が開いている時間がとても短い、おそらく30秒くらい。
もたもたしていると、乗れなくなってしまうので、早く乗り込まなくてはいけない。
乗車は難しい
しかし、ここでパナマトラップが待ち構えている。
この女性は電車に乗りたくても、乗れない。
なぜか?
実はパナマの地下鉄のドア開閉は、押しボタン式なのだ!
緑色のボタンが光ったら、ボタンを押すがいい。
すると、汝の前の扉は開かれるであろう。
電車の車内の様子
電車の中は、日本の電車とは違った雰囲気。
さすが、おフランス製だけはある、通路の中央にはオブジェのように三本に分かれた捕まり棒が立っていて、お洒落だ。
しかし、つり革がないため他には捕まる場所が少なく、乗客は捕まる場所に困っている。
ベンチもお洒落。
そして座席の角度が上を向いているので、足を通路に投げ出さな仕組みになっている。
乗客がいるとこんな感じに。
まだメトロが出来てから日が浅いので、乗客も緊張しており、車内はいつも静まり返っている。
記念撮影をする人も多い。
車内の注意書きは、スペイン語と英語の二言語対応。
電車の降り方
電車が目的地に着いたら、緑のボタンを押してササッと降りよう。
そして、階段かエスカレーターかエレベーターで出口の階へ。
駅には昼間でも警察官がいて、治安を守っている。
パナマでは厳重に武装した警察官が至る所に配置され、治安維持をしている。
出口の改札では、またカードをタッチさせる。
これで駅の外に出れる。
まとめ
パナマシティに開通した地下鉄は交通渋滞を緩和させるために造られた。
フランスのメーカーの電車は、日本の電車とは違いお洒落だが機能的ではない印象を受けた。
パナマなら中米初の地下鉄に乗れる。
ぜひ日本の撮り鉄や乗り鉄のみなさんにも、パナマまでお越し頂きたい!