パナマシティで日本武道の演舞を見学
パナマの首都パナマシティで日本武道の演舞が行われると聞き、見学に行って来た。
ぼくは子供の頃に7年間剣道を習っていたので、日本武道が好きなのだ。
このイベントは、パナマの日本大使館の主催で開催された。
見たのは剣道、居合道、空手道、忍術、謎のごちゃまぜ武道、合気道で、師範も弟子もすべてパナマ人だ。
場所はパナマシティのアルブルック・ショッピングモールの広場。
海外で日本武道を見るのは初めてだったが、予想の斜め上をいく奇想天外なショーだった。
そこで今回は、パナマ流の日本武道を紹介しよう。
ブログを読んでくださっている方から「パナマの動画が見たい!」というリクエストがあったので、今回は動画も撮影した。
パナマの剣道と居合道は、いい感じ
まずが剣道から紹介しよう。
ぼくは剣道を習っていたので、パナマ流の剣道に一番興味があった。
剣道道場は剣道と居合道の演舞を行ったが、居合道は剣道とは別物なのでぼくには全然わからない。
1.剣道の稽古と試合
演舞するステージはとても狭かったので、まともに剣道なんてできないが、それでも3組がステージ上で剣道を披露した。
素振り、面打ち、小手打ち、胴打ちをしてから、最後に1組ずつ試合を行った。
こちらが剣道の動画。
田舎の剣道クラブの初心者と同じくらいのレベルである。
超少ない競技人口を考えたら、とてもレベルが高いと思う。
2.居合道
居合道は、5名の剣士が演舞を行った。
居合道については経験がないのでよくわからないが、そつなくこなしていた。
しかし、日本の剣道の大会の前に行われる居合道演武とは、レベルが違った。
途中から2名の女性剣士が居合を行った。
黒人と褐色の女性が袴姿で日本刀を持ち、居合道の演舞を行うなんて素敵すぎる!
パナマの忍術は…..そもそも誰が作ったの??
次に、忍術の演舞を紹介しよう。
その前に、「そもそも、忍術とはなんだ?」と疑問に思った。
確かに古来の日本には伊賀と古賀という2つの流派があり忍者が活躍していたというし、日本にも忍術道場はあることにはある。
そして、今は忍者漫画ナルトの影響で、日本の忍者文化が海外で大人気だ。
参考:海外のアニメオタクの間で日本食ブームが起きている!?メキシコのアキバビルのメイドカフェで280円のDragon Ballsを注文してみたら
「しかし、日本で忍術は武道として発展しているのだろうか? パナマの忍術を作ったのは誰なのか?」と疑問に思いながら、忍術の演舞を見学した。
マイクを口元に当てられているのが忍術の師範、いわゆる忍者だ。
忍者はいろんな武器を使っていた。
パナマの忍術とは、要するに攻撃的な護身術の一種で、相手を痛めつけることが目的だった。
組手の相手の関節を決めたり、首などの急所を攻撃する。
忍者たちは黒づくめの服装で、足袋を履いている。
これは相手が服を掴んできたケース。
投げ飛ばしてから、手首の関節を決める。
相手はすぐにギブアップをする。
こちらは、パナマの忍術の動画だ。
相手の攻撃を避けるのではなく、忍者が避けた後に攻撃をしている。
型のレベルはとても低い。
パナマの空手師範は頭で釘を刺せ、ない!
次は、空手道場の演舞を紹介しよう。
1.空手の型
まずは空手の型を見せてくれた。
「オッス!」がカッコ良かった。
キレがある上段蹴りを見ていると、子供も混じっていることに気がついた。
なにこれ、かわいすぎる!
大人たちが次の演舞に移ろうとしても、少年だけは型の演舞を続けようとしていた。
ただただ、かわいい。
型はこんな感じだった。
ぼくにはよくわからないが、これは空手なのか??
2.板割りとバット折り
次に始まったのは、板割りとバット折りだった。
まずはマッチョな黒人空手家が、板を手刀で割った。
いとも簡単に割ってしまったが、様になっている!
カッコイイ!
なんと、お次はラテン美女!
気合を十分に溜めてから、板割りに挑戦した。
「だりゃー!」という叫び声と共に、板を真っ二つに割っていた。
強い女性は大好きです。
次は、師範によるバット折り。
二人の弟子がバットとブロックをがっちりと固定している。
見事なローキックで、バットを真っ二つに折った。
観客も盛り上がっていた。
3.手刀で石割りと頭突きで釘打ち
マッチョな男性が石を鉄の上に置いて、手刀で割った。
なんだか空手道の演舞ではなく、まるで超人ショーのようになってしまった。
お次は、師範が釘を持って来た。
その釘を木の板に刺して、何をするのかと思ったら……
木の板に刺さった釘に向かって、頭突きをし始めた。
どうやら釘を刺して木の板を割りたいらしいが、全然割れない。
何度も繰り返し頭突きしているうちに、額から血が流れ出てきてしまい、このショーは中止になった。
すると、すぐさま弟子が現れて板を手刀で割って、頭突きショーをなかったことにしていた。
師弟愛って素晴らしい!
パナマの空手師範はガラス破片の上を歩ける
次の道場は、いろんなパフォーマンスと空手演舞を行った。
1.ガラス破片の上を裸足で歩く
まずは弟子がガラス破片を床にまき始めた。
ガラス破片が用意された。
どうやらこの上を裸足で歩くらしい。
ガラス破片の上を歩く師範とそれを見守る弟子たち。
ちなみにこれと全く同じことを、メキシコの物乞いのおじさんも電車内でしてチップを稼いでいた。
渡りきると拍手が起こっていた。
日本でも寺の住職が熱い炭の上を歩いて渡るから同じような物だろうが、パナマでやると完全にビックリ人間ショーだ。
2.ガラス破片の上に寝て、その上でコンクリートブロックを割る
お次は師範がガラス破片の上に寝て、そのお腹の上にコンクリートブロックを置いて、それを弟子がハンマーで割った。
もはや、これは日本武道ではない、ただの超人ショーだ。
日本の空手道場でも、このようなエンターテインメントな見世物をするのだろうか?
パナマの空手の型は、テクノ系音楽に合わせて行う
さっきの道場はいろんな武道をミックスした道場で、いろんな武道の演舞を披露した。
1.空手、居合、棒術のなんでもありの道場
空手、居合、棒術などなんでもありだった。
こちらは組手で弟子を投げ飛ばす、棒術女性師範。
居合の演舞を行っているのは、さっきコンクリートブロックを割っていた弟子だ。
いろいろやる割には、うまくて驚いた。
こちらが居合の動画。
棒術も様になっている。
2.女性の演舞
美しい女性が、男性に襲われるシチュエーションで演舞を行った。
耳を澄ませてもらうとわかると思うが、BGMはテクノ系であった。
2.テクノ音楽に合わせて稽古と型を披露する
ノリノリのテクノ音楽に合わせて、稽古が始まった。
パナマでは日本武道はエアロビクスのような扱いなのだろう。
ノリノリのテクノ音楽に合わせて、踊るように型を披露する空手家たち。
ラテン流に日本武道をアレンジしている。
そもそも、これは空手なのか?
パナマの日本武道を見て思うこと
1.パナマ人にとって日本武道は、ただの格闘技
ぼくは住んでいる村の近くにある地方都市サンチアゴの空手道場を見学したことがあるが、そこは完全にボクシングジムだった。
突きを出すときに腰が落ちておらず、BGMとしてレゲエ音楽をガンガン流していた。
また元レスリング選手で、現役のパナマプロリーグのサッカー選手をしているホストファミリーの親戚は、日本武道も大好きなのだが、「日本武道=格闘技」だと思っている。
日本武道をプロレス、ボクシングなどと同じで、相手を痛めつける技としか見ていない。
なので、「この前浮気がバレて男たちとケンカになったけど、武術で関節を決めてやっつけてやったぜ!」と自慢してくる。
そういう話を聞くと、ぼくは悲しい。
2.日本武道とは心技体を鍛える道
日本武道とは心・技・体を鍛える道だったはずだ。
しかし、パナマでは技と体力だけしか鍛えていない道場があり、心が疎かになっている。
パナマの日本武道イベントでは、礼をしっかりとできている道場もあったが、全然できていない道場もあった。
これは日本武道をただの格闘技の一種と捉えている道場と、心技体を鍛える道と捉えている道場の違いだろう。
この道場はしっかりと礼をしていたし、釘で血を流した道場もしっかりやっていた。
3.正統派の日本武道も海外へ伝わってほしい
日本武道をパナマ流にアレンジすることもよいと思うが、やはり正統派の日本武道も伝わってほしい。
ガラス破片の上でコンクリートブロックを割ったり、テクノ音楽に合わせて踊るように型を披露する方が、間違いなくラテン人にはウケがいいし、国民性にも合っていると思う。
しかし、それでも正統派な日本武道のことも理解してい欲しい。
日本の文化に興味を持ってもらえることは嬉しいが、日本文化を勘違いされてしまうのは残念だ。
そして、これは日本料理も同じだ。
パナマ流の巻き寿司フライもいいけど、正統派の握り寿司も食べてもらいたい。
この日本武道の演舞が行われたアルブルックモールには、2軒の巻き寿司チェーン店が入っていて、海外流の巻き寿司が食べられる。
参考:パナマ共和国の寿司屋が面白すぎる「揚げバナナ寿司&オレオ天ぷら、ヘイッお待ち!」
日本に帰ったら、和食や武術など日本文化をもっと学んで、海外に発信したい!
まとめ
パナマの日本武道は、超人ショーのようだった。
日本へ帰ったら剣道をまた習いたい。
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