地域おこし協力隊になりたかったのに、青年海外協力隊になった
ぼくは地域おこし協力隊になりたかったのだが、超能力者のせいで青年海外協力隊になってしまった。
参考:長崎県川棚市の超能力喫茶店で起きたマジック!もしかしたら僕の運命は超能力者に曲げられたのかもしれない。
今回は青年海外協力隊から見た地域おこし協力隊の姿を紹介しよう。
1.JICAの青年海外協力隊とは?
青年海外協力隊とは、独立行政法人国際協力機構JICAの国際ボランティア派遣プログラムで、20歳から39歳の青年を開発途上国に派遣する。
アメリカの平和部隊ピース・コープをマネて作られた制度だ。
40歳から69歳までのシニア層が対象のシニア海外ボランティアや、中南米の日系人を支援する日系社会青年ボランティアという制度も存在する。
参考:JICAボランティア
ちょうど2015年4月1日から平成27年度春募集を開始したので、興味がある人はJICAホームページから募集要項を見て欲しい。
青年海外協力隊の募集は、春募集と秋募集の年に2回しか行われないので、今がチャンスだ。
平成27年度春募集の募集期間は、2015年4月1日(水)~5月11日(月)です。
2.総務省の地域おこし協力隊とは?
地域おこし協力隊とは、総務省の地域活性化と地方への移住促進のためのプログラムで、都会出身の人を田舎の各自治体に派遣する。
JICAの青年海外協力隊をマネて作られた制度である。
地域おこし協力隊は「遅咲きのヒマワリ」というドラマにもなったが、まだまだ知名度は低い。
参考:地域おこし協力隊
地域おこし協力隊もホームページから募集情報を確認できるので、興味がある人はいろんな自治体の募集要項を見て欲しい。
ぼくは母の実家が長野県下伊那郡泰阜村にある関係で、大学生時代に泰阜村の地域おこし協力隊と緑のふるさと協力隊の活動報告会やワークショップに参加させてもらい、活動の様子を見せてもらっていた。
その影響で、大学院卒業後は地域おこし協力隊になろうと思っていたのだ。
参考:名古屋駅前メイヨンで泰阜村の手作りこんにゃく!地域おこし協力隊の特産品PR活動
3.青年海外協力隊と地域おこし協力隊の関係
地域おこし協力隊は青年海外協力隊をマネて作られた、日本の田舎バージョンだ。
似た部分もあるので、青年海外協力隊の任期終了後に地域おこし協力隊になる人もいるし、地域おこし協力隊の後に青年海外協力隊になる人もいる。
参考:徳島県葉っぱビジネスのいろどりと山梨県甲州市地域おこし協力隊の事例をコラボ!途上国で薬草で村おこし
ぼくは青年海外協力隊になる前は地域おこし協力隊になりたかったので、今でも地域おこし協力隊の隊員ブログを読んだり、関係するニュースを読んだりして情報をチェックしている。
以下の地域おこし協力隊の隊員ブログを読むとそのエリアの魅力もわかるし、地域おこし協力隊という制度についても学べるのでおすすめだ。
おすすめ地域おこし協力隊の隊員ブログとおすすめの記事
・山形県鶴岡市地域おこし協力隊・ひろろーぐ
→おすすめの記事:山形を愛する人の食卓に届いて欲しい!3月にスタートする”山形食べる通信”を応援します!
・鹿児島県薩摩川内市下甑島地域おこし協力隊・せきこの下甑島日記
→おすすめの記事:【流行必至】自撮り棒はもう古い!ラメ効果もある「下甑島自撮り」をご存知ですか?
・愛知県新城市地域おこし協力隊・takahirosuzuki.com
→おすすめの記事:地域おこし協力隊の「失敗の本質」に共感しすぎてやばい!協力隊応募者必読!
・長野県長野市戸隠地区地域おこし協力隊
→おすすめの記事:【地域おこし協力隊】灯台もと暮らしの記事を通常の2倍楽しむ方法
上のおすすめの記事のように「灯台もと暮らし」という地域の魅力発掘ウェブサイトで、地域おこし協力隊の紹介をしていくそうなので、興味がある人はこれから要チェックだ!
地域のリアルな暮らしを、現地で暮らす人たちに聞いてみたい──そんな想いから、地域おこし協力隊の皆さんに14の質問をさせてもらう企画がはじまりました。
青年海外協力隊から見た地域おこし協力隊
ここからは青年海外協力隊と地域おこし協力隊を、比較しながら説明していこう。
1.青年海外協力隊から見た、地域おこし協力隊の似ている点
(1)レールから外れた人
青年海外協力隊になる人も、地域おこし協力隊になる人も、普通の会社に就職して定年まで勤め上げるという王道レールから外れた人だ。
働き方、生き方、社会の仕組みに疑問を感じているタイプの人もいるし、働きたくないラクしたいタイプの人もいる。
(2)基本は2年間
青年海外協力隊の派遣期間は2年間で、最高3年まで延長できる。
地域おこし協力隊の派遣期間は1年から3年間で、2年で一区切りつけ1年延長するか相談する場合が多いと思う。
(3)給料が出る
青年海外協力隊も地域おこし協力隊も給料が支払われる。
青年海外協力隊は派遣先で受け取る現地生活費と、日本の口座に振り込まれる就職準備金の2種類に分かれて支給される。
(4)短期版もある
青年海外協力隊には1ヶ月から1年間の短期ボランティアという制度があり、地域おこし協力隊の短期版として派遣期間が1年間の緑のふるさと協力隊という制度がある。
地域おこし協力隊は総務省のプログラムで、緑のふるさと協力隊は特定非営利活動法人地球緑化センターのプログラムなので、直接的な関係はないし活動内容・待遇は違う。
しかし、実質的には緑のふるさと協力隊は「地域おこし協力隊の短期バージョン」と考えていいだろう。
実際、緑のふるさと協力隊を経験してから地域おこし協力隊になる人が多い。
参考:緑のふるさと協力隊
緑のふるさと協力隊の短期バージョンとして、数日間だけ田舎に滞在する「若葉のふるさと協力隊」もある。
(5)派遣先のために活動する
どちらの協力隊も派遣された地域や団体のために活動する。
そのエリアが青年海外協力隊の場合は発展途上国で、地域おこし協力隊の場合は日本の田舎・過疎地域になる。
なのでぼくは「地域おこし協力隊は、青年海外協力隊の活動の参考になる!」という自論を持っている。
参考:長野県阿智村地域おこし協力隊「失敗例の報告会」から青年海外協力隊のボランティア活動を振り返る。
(6)受け入れ先によって、当たり外れがある
派遣先が存在していなかった、言われていた内容と実際の仕事内容が全然違うというのが青年海外協力隊あるあるである。
地域おこし協力隊にも受け入れ先によっては、協力隊を受け入れる体制が整っていなかったり、ただの労働力として利用することもあるようだ。
(7)任期終了後の進路が謎
どちらの協力隊も活動中は広報活動を行うが、活動終了と同時にそれをやめてしまう人が多いので、任期終了後の進路が謎である。
2.青年海外協力隊から見た、地域おこし協力隊の違う点
(1)日本人と働いている
青年海外協力隊は海外に派遣されるが、地域おこし協力隊は日本国内に派遣される。
なので青年海外協力隊は外国人と仕事をすることになるが、地域おこし協力隊は日本人と働いている。
文化も宗教も言語もすべて違う外国人と一緒に仕事をする苦労はかなりのものなので、地域おこし協力隊がうらやましく感じることがある。
青年海外協力隊は英語、スペイン語、フランス語などの外国語をマスターしないといけないが、地域おこし協力隊は田舎の方言をマスターしないといけない。
(2)専門性がない
青年海外協力隊は基本的にはそれぞれの専門性を持っている。
例えば、ぼくは農学修士号を持っているので野菜栽培隊員になれたし、看護師の資格と経験があれば看護師隊員になれる。
地域おこし協力隊にも仕事内容によって求められる資格や経験はあるが、青年海外協力隊ほどの専門性は必要ない。
(3)副業できる
青年海外協力隊は副業が禁止されているので、お金を稼いではいけない。
しかし、地域おこし協力隊は受け入れ先がよいといえば副業しても構わないので、個人的にビジネスに取り組む人もいる。
むしろ、任期終了後の定着を促進するために、任期中に独自の収入源を確保しておくべきだ。
(4)貧困が問題ではない
青年海外協力隊は基本的には貧困地域へ派遣される。
中にはスポーツ・文科系職種の隊員で、途上国の中でも金持ち上流階級の人向けに活動する人もいるが、それは稀である。
電気も水道も何もないアフリカの村に暮らしている隊員もいる。
地域おこし協力隊は過疎地域に派遣されるといっても、超先進国の医療も社会保障も整った日本の中なので、貧困で困っている訳ではない。
地域ごとに抱える問題は異なるが、共通するのは若者が少なくお金が地域内で回っていないことだろう。
(5)定住促進が目的
青年海外協力隊の目的は、発展途上国の経済発展の促進がメインだ。
「任期を終えた隊員は日本に帰って来て、発展途上国での経験を日本へ還元するように!」と言われていて、協力隊員が発展途上国に移住することはJICAは推進していない。
それに対して、地域おこし協力隊はもともとが田舎への移住促進のために生まれた制度なので、受け入れ地域への移住を薦めている。
地域に残らない選択をする隊員も多いが、その場合には失敗事例と捉えられてしまう。
参考:地域おこし協力隊の任期終了後の失敗例?長野県泰阜村の活動報告会
(6)横のつながりが強い
地域おこし協力隊は全国合同イベント「地域おこし協力隊全国サミット」を開催している(裏全国サミットも同時開催されたらしい)。
地域おこし協力隊のみなさんは情報を交換したり、刺激を与え合っていてうらやましい。
青年海外協力隊は世界中にバラバラになっているので、横のつながりは弱いのだ。
(7)知名度がない
「実は青年海外協力隊じゃなくて、地域おこし協力隊になりたかったんです」と告白しても、90%の人は「地域おこし協力隊って何?」という反応を示す。
青年海外協力隊も海外青年協力隊、海外協力青年隊などと名称を間違えられることはあるが、存在自体の知名度はかなり高い。
3.2つの協力隊は「悩みは一緒、でも喜びは違う」
青年海外協力隊と地域おこし協力隊は、悩みは共通するが喜びを感じることが違う。
(1)共通する悩み
どちらの協力隊も悩むことは、受け入れ先での人間関係だろう。
どちらの協力隊も「よそ者」として、新しいエリアに入る。
村人は最初は隊員のことを「一体何者だ? 何しに来た?」と怪しんだ目で見ているので、その状態から協力し合える人間関係を作っていかないといけない。
青年海外協力隊が派遣される国はそもそも宗教も文化も日本とは違うし、地域おこし協力隊が派遣される地方も都会とは風習や文化が違う。
そのため、最初の人間関係づくりに苦労する隊員は多いだろう。
(2)異なる喜び
2つの協力隊が感じる喜びポイントは違う。
青年海外協力隊がすべきことは、開発途上国の発展・近代化のお手伝いなので、派遣されたエリアがより近代化することで喜びを感じる。
例えば、水道が普及する、医療技術が向上する、収入が向上することだ。
それに対して、地域おこし協力隊がすべきことは、先進国日本の地方での生き方の提案、地域の活性化なので、派遣されたエリアが田舎のまま幸せな暮らしを実現することに喜びを感じる。
例えば、田舎への移住者が増える、田舎ならではの商品が売れる、住民同士の交流が増えることだ。
青年海外協力隊は都会化を達成することで喜びを感じ、地域おこし協力隊は田舎化で喜びを感じる。
まとめ
青年海外協力隊から見た地域おこし協力隊の姿を紹介した。
青年海外協力隊になりたい人には、地域おこし協力隊という選択肢があることも知ってほしい。