海外の日本食レストランブームの実例紹介
1.海外で日本食レストランを経営してみたら
最近【海外で日本食レストランを経営してみたら: コロンビア「飯や」奮闘記】という電子書籍を読んだ。
感想はまたの機会にまとめたい。
すぐに内容が知りたい人は、こちらの青年海外協力隊候補生のブログ「過去は変えられない。でも価値は変えられる。」で書評が2回に分かれてアップされているので、参考にしてみてほしい。
コロンビアで経営歴37年!調理人経験ゼロの素人の方が、海外で日本食レストランをやりやすいワケ
海外に日本食レストランが存在する意味~コロンビアで37年間営業「侍や」の経営者から学んだこと~
この本によると、海外では日本食がブームらしい。
日本のメディアでも、海外の日本料理レストランの動向がたびたび取り上げられている。
和食ブームの主役は、寿司(SUSHI)、刺身(SASHIMI)、すき焼き(SUKIYAKI)、天ぷら(TENPURA)、鉄板焼き(TEPPANYAKI)だ。
日本食ブームについては、メリット・デメリット、成功例・失敗例と賛否両論あるようだ。
まずは、海外での日本食ブーム情報を少し紹介しよう。
2.スペインでの日本食ブームの成功例
まずはスペインの日本食レストランと居酒屋の事例の紹介。
マドリッド、バルセロナに次ぐスペイン第3の都市バレンシア。
スペイン東部の地中海に面し、1年中温暖なこの地にも和食ブームが到来している。
それも寿司などの高級な日本食ではなく、コストパフォーマンスが高いカジュアルな日本食レストランや居酒屋が人気だ。
引用元:海外トレンドリポート
スペイン発 和食ブームがバレンシアまで到来! 前編 – 海外トレンドリポート – 1
スペインで採れる野菜や魚を使った日本食が、めっちゃ美味しそう!
料金も手ごろでボリュームもあれば、そりゃあ流行るわけだ。
3.海外での日本食ブームの問題点
今度は、世界一周した女性が感じた海外での日本食ブームの問題点の紹介。
世界の日本料理屋は、ほとんど現地人が運営、そして高い、そこそこ不味い。世界の中華料理屋は、絶対中国人が運営、そして安い、そこそこ美味しい。
なんでしょう、この差は。
世界各国で日本人不在の日本食ブームを目の当たりにしては、悲しい気持ちになったのでした。
でも、なんでだろう?
日本食の調理法がちゃんと伝わってないのが原因かもしれないし、日本食に必要な調味料や食材が出回ってないのが原因かもしれないし、日本人が頑張って海外に出て行かないのが原因かもしれない。
これは世界中を旅して自分の目で見たからこそ感じられる感覚だろう。
日本食ブームはブームで終わるのだろうか?
4.中米パナマ共和国で感じる日本食ブーム
中米パナマ共和国のド田舎で生活していると、正直言って日本食が流行っているという実感はまったくない。
そもそも、日本という国を認識している人が全然いないので、日本食ブームの実感なんてはっきり言ってゼロだ。
しかし首都のパナマシティには、巻き寿司チェーン店が数社展開していて、800円くらいでファーストフード感覚で巻き寿司を食べられる。
そして、パナマシティには日本料理を提供する「日本食レストラン」が数軒ある。
中米パナマの日本料理レストラン、初体験
日本食ブームに興味が出てきたので、パナマシティの日本料理レストランに行ってみることにした。
日本料理レストランがあることはパナマに到着した直後から知っていて、この一年半の間に店の前も何十回と通っていた。
しかし、「値段が高い割に、美味しくない」という先輩隊員からのアドバイスにより、入店することは1回もなかった。
そのため和食が食べたいときには、自分で作っていた。
初めての日本料理レストランへの入店で緊張した。
インド人が日本のカレー屋に入る時の気持ちをなんとなく理解できた気がする。
もしココイチの前でキョドってるインド人が居ても、気にしないでやってほしい。
パナマシティの和食料理屋「松栄」へ入店
ぼくが今回行ったのは、パナマシティの日本料理レストラン「松栄(MATSUEI SUSHI BAR)」だ。
パナマシティの中心街にあり、創業は1977年だそうでパナマシティの日本食レストランの中では老舗だ。
経営者は日本人ではなく、パナマ人らしい。
パナマシティにある日本食レストランで、日本人が経営している店は1軒しかないそうだ。
1.店の外観、内装
こちらが店の外観。
夜に行ったので写真が真っ暗で全然わからないと思うが、小さな一軒家という風貌だ。
お店の前には駐車スペースがあり、高級車がたくさん停まっていた。
お店に入るとまずカウンター席とテーブル席があり、奥には個室?座敷?のようなスペースもあった。
カウンターにはちゃんとした小型の寿司ネタケースがあり、その前で黒人のおじさんが割烹着姿で寿司を握っていて驚いた。
店内には暖簾や招き猫、日本酒の酒瓶、ひょうたんなど、日本をイメージさせる小物がたくさん置いてあった。
そしてテーブルの上には、キッコーマンの卓上醤油が置かれていた。
「あれ?ここ日本だっけ!?」と一瞬錯覚するような不思議な空間だったが、店員さんは普通にスペイン語で話しかけてきた。
2.店員さんの接客態度
店員さんはすべてラテン人で、おそらくパナマ人だろう。
接客態度は、日本だったら悪いと評価するけど、パナマでは良いと評価するレベルだった。
残念ながら、パナマのホスピタリティはとてもレベルが低い。
3.客層
ぼくが行った日には、欧米人やアジア人、ラテン人が食事をしていた。
値段から考えると、中流階級から上流階級の人が利用していると思う。
家族連れやカップルなど、いろんな人が和食を楽しんでいた。
4.メニューに面白い間違いを発見!!
メニューがたくさんあって驚いた!
さらに、ほとんどのメニューに「料理の写真」が掲載されていた。
パナマ料理レストランでは、写真つきのメニューはほとんどないので、とても親切だと感じた。
巻き寿司メニュー
特に巻き寿司メニューには、すべての種類に写真がついていた。
基本的には海苔を内側にして、ご飯を外側に出す「内巻き」という技法が用いられていた。
外国人にとって「海苔」は馴染みがない食べ物なので、黒い紙のような物が食べ物なのかそれとも包み紙なのか判断できないし、気持ち悪いらしい。
具材は、魚介類やアボカド、肉、カレーなど多彩なバリエーションだ。
参考までに巻き寿司チェーン店の「茎わかめ乗せ巻き寿司」の写真を紹介しよう。
参考:パナマ共和国の寿司屋が面白すぎる「揚げバナナ寿司&オレオ天ぷら、ヘイッお待ち!」
握り寿司メニュー
握り寿司メニューもあった。
寿司の盛り合わせの他に、【松・竹・梅】の3段階の握り寿司が用意されていた。
しかし、下のメニューをよく見て欲しい。
松(MATSU)が18.50ドル
竹(TAKE)が30.00ドル
梅(UME)が23.00ドル
普通は【 梅 < 竹 < 松 】の順番で値段が上がるはずなのに、松栄では【 松 < 梅 < 竹 】の順番で値段が上がる。
やはり経営者は日本人ではないようだ。
丼メニュー
丼メニューも充実していた。
カツ丼、カツカレー丼、焼肉丼、天丼、うな丼、親子丼、きぎ丼?があった。
「きぎ丼」は鶏肉か魚か牛肉を選べるようだが、どんな料理かは謎だ。
その他のメニュー
冷奴(1,000円くらい)、納豆、枝豆、おにぎり(3個で800円くらい)、味噌汁(500円くらい)、うどん、蕎麦、天ぷら、鉄板焼き、焼きそばなどありとあらゆる日本料理メニューが揃っていた。
値段はパナマ料理レストランと比べたら、明らかに高く日本の高級和食屋さんくらいだ。
5.日本のビール銘柄が飲める!
松栄ではサッポロ、アサヒ、キリンといった日本のビール銘柄が飲める。
ぼくはキリン一番搾りの小瓶を注文した。
ビールグラスを冷やしてくれているところは、素晴らしい!
パナマの大衆レストランで飲むパナマ産ビールと比べたら、日本のビールはべらぼうに高いが、パナマは酒税がないので日本で飲むよりは安かった。
10カ月ぶりに日本のビールを飲んで、なんだかほっとした。
6.ドキドキのKATSUDONの実食
巻き寿司、握り寿司、麺類、丼物の中で、どの料理を食べようか悩んだ末に、ぼくは「カツ丼」を注文した。
カツ丼は自分で作るのが面倒くさいから、これまでパナマでは作ったことがなかった。
注文してからは「本当にカツ丼と呼べるものが来るのだろうか?」と、かなりドキドキしながら待っていた。
「もしかして、トウモロコシでできたトルティーヤみたいなのが来るかもしれない……」
そんな心配をしていると、料理が運ばれてきた。
なんと運ばれてきた料理は、まさにKATSUDONだった!
ドドーン!!
ワケギが乗っているし、見た目は日本のカツ丼と同じだ。
これは期待できる!!
大いに期待しちゃう!!
ちなみに青年海外協力隊の訓練所がある長野県駒ヶ根市は「ソースカツ丼」が有名だが、ぼくの出身地の長野県飯田市ではカツ丼といえば卵とじである。
ご飯は日本と同じ、ジャポニカ米だった。
パナマのご飯は長粒でパサパサしたインディカ米なので、これは嬉しい。
ダシを吸った久しぶりのジャポニカ米がうますぎた。
カツの下には、煮込んだタマネギが隠れていた。
味付けは濃い目で、たぶん隠し味にショウガが使われていた。
醤油と砂糖の味が懐かしい。
肝心のカツは、薄めだが柔らかくて美味しかった。
日本ではカツを切って並べて卵でとじるので、端から順番にカツが並んでいるが、この店ではカツはランダムに散りばめられていた。
カツの配置はランダムだが、ロースカツ一枚分はちゃんと乗っていた。
食べていると、お母さんの顔が目の前に浮かんできた。
そういえば、カツ丼はお母さんの得意料理だった。
だから、数ある料理の中でもKATSUDONが食べたくなったのかもしれない。
300日間会っていないお母さんのことを思い出しながら、カツ丼を食べた。
10カ月ぶりにカツ丼を完食。
美味しいKATSUDONを食べて、幸せな気持ちになれた。
お会計はカツ丼とビールで、消費税などを含めて2,500円ほどだった。
パナマの大衆レストランの一食はだいたい300円なので、めっちゃ高い!
エンゲル係数が急激に上昇してしまったので、しばらく贅沢は我慢しよう。
まとめ
海外で日本料理ブームが起きているらしい。
中にはクオリティが低い和食レストランもあるらしいが、パナマシティの和食レストラン松栄のカツ丼は美味しかった。
日本が恋しくなったら、お母さんが恋しくなったらまた行こう。
パナマシティの他の日本食レストランにも行ってみたいし、コスタリカとメキシコでも日本料理屋さんの調査をしたい。
そして、カツ丼を完食した後、松栄でとても素敵な出逢いが待っていた。
この出逢いについても、別の機会にぜひみなさんに紹介したい。
【この出逢いについて追記】
「たった1名の青年海外協力隊が日本のイメージを決める」親切な黒人男性との出逢いから
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