青年海外協力隊の枯れない下痢
三途の川の一歩手前で、シャトルラン100目ばりに急いで折り返してきた。
シャトルランを知らない人のために、下痢の症状を説明しよう。
今回の下痢の症状
山籠もりから帰って来た次の日の土曜日の夜、ぼくは突然寒気に襲われ全身が震えだしたかと思うと、食べたばかりの夕食をすべて嘔吐し、同時に滝のような下痢をした。
そして、高熱にうなされてまるで現世とあの世の狭間にいるような、いやまるで宇宙の中を漂うような、ほとんど夢と現実のその間のポケットにいるような感覚に落ちいった。
しかも滝のような下痢が止まらない。
パナマでは乾季には水が無くなりほとんどの小川が枯れるが、ぼくの肛門から流れ落ちる滝は24時間枯れ知らずだった。
脱水症状を防ぐために、体液濃度に近いとされるポカリの2倍希釈液を作り、下痢をしている間はずっと少しずつ飲んでいた。
全身の筋肉や関節が痛くなり、食欲もなく何も口に出来なかったが、日曜日の夜には下痢も止まり、気分も良くなりインスタントラーメンを食べられるまでに回復した。
どうやら山奥の集落で細菌に感染したらしい。
ゴキブリ入りの発酵酒が原因
そういえば、山籠もりの最終日に「ゴキブリが混入している発酵酒」を飲んだ。
ゴキブリはただ中で死んでいただけだったが(村人は気にしない)、そもそもいつもよりも味がきつく感じたので、酒自体が古かったのかもしれない。
細菌性の下痢の潜伏期間は1日から3日ほどなので、ピッタリ当てはまる。
発病から24時間で完治したのは、自分の予想よりも早かった。
青年海外協力隊のぼくが下痢に詳しい理由
ぼくは博士というほどではないけど、下痢に詳しい方だと思う。
細菌の種類と潜伏期間や、下痢に罹った時の対処法は心得ている。
インド旅行で毎日下痢
それは、過去に下痢により三途の川を渡りかけたことがあるからである。
それは、学生時代にインドに旅行している間。
初めての一人海外旅行先として、ぼくはインドを選んだ。
インドに到着してから、常に下痢をしていた。
そして、インドの中でも衛生状態が最悪と言われているコルカタに滞在している時に、とんでもなく下痢が悪化し3日間苦しみ続けた。
水分はすべて下痢として排出されたので、三日間尿が一滴も出なかった。
高熱で自分がどこにいるのかわからなくなり、クスリをやっているわけでもないのに幻想を見続けた。
今思うと、高熱と脱水症状による幻覚だったのだろう。
インド・コルカタの下痢は人生最大の危機
急に老人になってしまったように体に重く、ベッドから起き上がるだけでも精一杯だった。
固形物は何も口に出来ず、二倍希釈のポカリとフルーツジュースだけで過ごしていた。
液体を飲むと、決まって30秒後に下痢が出た。
一晩に100回以上トイレに行ったので、終いには便器の上で寝た。
インドでの下痢体験のおかげで今回のパナマでの初めての本格的な下痢体験に対しても適切な対処が取れるし、「あぁ、こんなもんか」と感じられる。
青年海外協力隊にインドの経験が生きていると思う5点
下痢体験だけでなく、インドで経験したことがパナマでの青年海外協力隊の暮らしや活動にとても生きている。
インドの経験は何もパナマだけでなく、すべての派遣国の青年海外協力隊の生活に生きると思う。
そこで、インドの経験で生きていると思うことについて、5つの項目にまとめてみた。
1.インド人の酷さを知っているから、現地人にムカつかない
例えば、インドのリキシャマンやホテルの客引きの強引さとしつこさに比べたら、パナマの駅にいるタクシーの客引きはいないも同然である。
「いやいや、もっと頑張って食い下がれよ!」とツッコミを入れたくなる程だ。
パナマ人にウソをつかれることもあるが、旅行中に出会ったインド人よりは頻度が少ない。
ただ、ぼくは旅行中に「世界中を敵に回してでも、おれはコイツだけは信じる!」と思えるインド人と出会ったのだが、結局は彼にも騙されたのでそう思うのかもしれない。
パナマでも子供からお金や物をねだられることもあるが、インド人ほど強引ではない。
2.インドでは全部カレー味だったので、パナマの飯がうまく感じる
毎食パナマ料理を食べていると「たまには和食が食べたいなー」と思うが、よく考えるとインドでは毎食カレーだった。
パナマ料理は和食ほどではないが、味付けに多少のレパートリーがあるので嬉しい。
3.インドは汚すぎたので、パナマの衛生状態が気にならない
パナマのスーパーやレストランで食べ物にハエや虫がたかっていたり、日本では信じられないような衛生状態を見ても「まぁインドよりはマシだな」と冷静に思える。
4.インドと比べたらパナマは宗教が少なく信仰心が弱いので、宗教観の違いが気にならない
インドではキリスト教系のマザーハウス、仏教の聖地ブッダガヤ、ヒンドゥー教の聖地ガンジス川、イスラム教の寺院を見て回った。
日本で一般的な無宗教的な仏教以外にも宗教はたくさんあり、かつ熱心な信者が多いことを体感できたことは大きな収穫だった。
パナマには熱心なカトリック教徒とプロテスタント教徒が多いが、おかげでそれも受け入れられる。
5.青年海外協力隊に入る前に、まともじゃない日本人と出会える
インドには、日本にはいないタイプの日本人がいる。
世界一周している最中のバックパッカーもいるし、麻薬にどっぷりはまっている廃人もいるし、なんかよくわかんないけど魔術師みたいな人もいた。
例えば、あなたが仕事を辞めて青年海外協力隊に応募しようとしていることに不安を感じているとしたら、「まだ私ってまともな方なんだな」と思えるだろう。
青年海外協力隊員の中にはまともじゃない人も多いので、いい肩慣らしになるだろう。
いやいやいや、ぼくはインド好きだよ。
とてもインドのことを悪く書いたが、ぼくはインドが大好きだ。
もう一度インドに行きたいと思っているし、青年海外協力隊の派遣国の第一希望はインドの隣という理由で「ネパール」だった。
しつこいリキシャマンやウンザリするほどのカレー、糞尿の匂いに満ちたコルカタの街を今でも思い出す。
あぁ、インドに行きたい!
青年海外協力隊に受験する前に途上国経験を!
意外に感じる人も多いと思うが、青年海外協力隊員の中には「外国に行ったことがなく、協力隊員としての派遣が初海外です」という隊員もいる。
そして外国に行ったことがあるとしても、アメリカ、ヨーロッパなどの先進国だけという隊員も結構多い。
別にそれでも活躍されている隊員はたくさんいると思う。
しかし、ぼくはこれから青年海外協力隊を目指す人には、協力隊を受験する前に一度どこかの発展途上国に行くことをおすすめする。
それは途上国での生活の経験により、派遣国での適応力が格段に向上すると思うからだ。
特に「発展途上国で2年間暮らすことが不安…..」という人は、インドに一ヶ月くらい行ってみたらいい。
インド・バラナシのガンジス河で泳げ!
ぜひ、バラナシのガンジス河で泳いでほしい!
とてつもない下痢になるだろうが、少しは菌に強くなるだろう。
ぼくもガンジス河が泳いだけど、下痢するけど。
インドで一ヶ月耐えられたら、どこの国でも2年間暮らせるだろう。
インドは最悪で、最高に楽しい国だ!
協力隊員のタマゴの修行の場にはピッタリだと思う。
インド修行の注意点
ただしインドは治安が悪くて、毎年たくさんの日本人旅行者が事件に巻き込まれている。
麻薬を売りつけてくる人も多いので、絶対に手を出さないようにしよう。
くれぐれもガンジス川は渡っても、三途の川だけは渡らないように!