農村で活動する青年海外協力隊におすすめの本
ぼくは読書が好きな青年海外協力隊員だ。
青年海外協力隊の活動に読書が役に立っていると思う。
そこで、先日青年海外協力隊を志す人向けに25冊の本を紹介した。
青年海外協力隊が夢というあなたに!現役隊員おすすめの25冊の本|JIBURi.com
これから青年海外協力隊を受験する、もしくは派遣されるという人にはぜひ読んでもらいたい本たちを紹介した。
しかしこのリストの中には、あえて一冊の本を入れなかった。
築地書館の開発フィールドワーカー
あえて外した本の名前は、「開発フィールドワーカー」。
著者は、参加型開発のスペシャリスト開発ワーカーである、人の森の国際協力コンサルタントの野田直人さん。
野田直人さんは、築地書館の開発フィールドワーカーの他にも、「タンザナイト」(風土社)や共著書である「国際協力の仕事」(アルク)、「続入門社会開 発」(国際開発 ジャーナル社)、「参加型開発の再検討」(アジア経済研究所)「共生社会への課題」(唯学書房)、監訳書である「参加型開発と国際協力」「参加型ワーク ショップ入門」「開発の思想と行動」(明石書店)など多数の執筆経歴がある。
そして、国際協力の日本最大のメーリングリストサービス「人の森」の運営者でもある。
大学生・研究者から、ODA専門官、世銀エコノミスト、NGOスタッフまで、幅広く参加している日本最大の開発メーリングリストの主催者が、アジア、アフ リカ、ラテンアメリカでの林業専門家、住民参加型の村落開発のフィールドワーカーとして、豊富な経験をもとに書き下ろしたスーパーガイド。
開発ワーカーが 開発学の理論と実践のハザマで悩みながら、自分を磨くための全65章。
野田さんはロバート・チェンバースの本を日本語訳しているし、国際協力関係者で知らない人はいないと思う。
ぼくは面識はないが、本を読ませてもらったり直接会ったことがある同期の環境隊員から話を聞いた。
実は、野田さんは青年海外協力隊・環境隊員の顧問をしているのだ!
そんな野田さんが書いた開発フィールドワーカーという本をぼくが初めて読んだのは、青年海外協力隊に参加する前の大学院生の頃だった。
大変失礼な話だが正直なところ、当時のこの本を読んだ印象はイマイチだった。
理由は野田さんの専門である森林の話が多すぎることと、見開き1ページの65章からなる構成になっているせいで内容が分かりづらかったからだ。
この本はストーリー性が全く、国際協力の経験がない大学院生のぼくには理解するのが難しかった。
そのため、開発フィールドワーカーを青年海外協力隊を志す人に読んで欲しい25冊のリストにも入れなかった。
青年海外協力隊になってから、読み返してみた
ぼくは基本的には「つまらない」と感じた本は一度しか読まない。
しかし、たまたまもうすぐ帰国する先輩隊員がこの本を持っていたので、譲り受けてもう一度読んでみることにした。
休日に家で洗濯機を回しながら、暇つぶしがてらに開発フィールドワーカーを読み返していると、そのうちすっかり洗濯をしていたことも忘れて、ぼくは夢中で読みふけっていた。
それほどぼくの心は、二度目の開発フィールドワーカーに鷲づかみにされた。
なぜぼくは夢中になったのか?
青年海外協力隊員として農村でおよそ一年間活動したからこそ、野田さんが伝えたかったことが理解出来たのだと思う。
青年海外協力隊に参加する前の人や、参加型開発を前提とした国際協力の経験がない人には、特に参加型開発と森林分野で国際協力の経験が豊富な野田さんが伝えたいことは、なかなかイメージできないと思う。
野田さんは青年海外協力隊になんと2回も参加し、その後も国際協力の分野で活躍されている。
森林の専門家として、そして参加型開発の専門家としても世界中で活動されているからこそ、開発フィールドワーカーには具体的な事例が豊富に載っている。
それらの事例が「ぼくの農村での活動でもまさにそれが問題なんだ!」とか「あ~、ぼくもそれ山奥の集落で気を付けなきゃな…」と心にバシバシ響いてくる。
青年海外協力隊に参加したことで、自分の経験と65章の事例を照らしわせて、自分の考えを深めることが出来るのだ。
だからこど、ぼくは開発フィールドワーカーを「農村で活動を始めた青年海外協力隊員」に強くお薦めする。
国際協力の世界で主流になっている参加型開発に関するアドバイスや情報、失敗例も満載で、参加型開発手法を村落開発に取り入れようとしている協力隊員の活動の参考になるので、ぜひ読んで欲しい!