第47回衆議院議員総選挙
日本では第47回衆議院議員総選挙が12月2日に告示され、14日に投開票が行われる。
今頃、日本では選挙ムード一色だろう。
海外に派遣されている青年海外協力隊員は、日本の投票所に行けないため選挙に投票できないと思っていたが、実はぼくたちにも選挙に参加するチャンスがあった。
日本大使館で在外投票
ぼくは「在外投票」という制度を利用し、パナマの日本大使館ですでに投票を済ませた。
ぼくがパナマで投じた一票は開票日までに日本に輸送され、有効票となるそうだ。
海外に住んでいる人が、外国にいながら国政選挙に投票できる制度を「在外選挙制度」といい、これによる投票を「在外投票」といいます。
在外投票ができるのは、日本国籍を持つ20歳以上の有権者で、在外選挙人名簿に登録され、在外選挙人証を持っている人です。
引用元:外務省 在外選挙とは
在外選挙について詳しく知りたい人は、以下の外務省のホームページを見て欲しい。
在外選挙のおかげで、海外に住んでいても日本の選挙に参加できる。
このように日本の選挙制度はしっかりしているが、全く問題がない訳ではない。
日本の若者は投票率が低い
日本の選挙の問題と言えば、若者の投票率が低いことだ。
若者にとっては国政選挙よりも、AKB48の総選挙の方が大切なのだ。
(ぼくが日本に居た2013年6月まではそんな風潮だったが、今は日本のAKBブームがどうなったのか把握していない…….)
国政選挙の年代別投票率は、平成24年12月に行われた第46回衆議院議員総選挙では、20歳代が37.89%、30歳代が50.10%となっており、平成25年7月に行われた第23回参議院議員通常選挙では、20歳代が33.37%、30歳代が43.78%といずれの選挙でも他の年代と比べて、低い水準にとどまっています。
そこで総務省では、特に若年層への選挙啓発に努めるとともに、関係機関等と緊密な連携を図り、投票率の向上に努めることとしています。
平成24年12月に行われた第46回衆議院議員総選挙の全世代の投票率は、59.32%だった。
前回の総選挙では、全世代の投票率がおよそ60%なのに対して、20歳代はおよそ38%と明らかに低かった。
ちなみにぼくは26歳なので、20歳代に該当する。
この問題はテレビや新聞などで盛んに報道されているので、知らない日本人はいないだろう。
「若者の投票率が低い」という日本の問題をパナマ人に教えると、必ず驚かれる。
それは、パナマ人にとって投票に行かないなんて、あり得ない行為だからだ。
パナマの政治・選挙・投票率情報
パナマ共和国では5年に一回の頻度で、国政選挙が行われている。
今年の5月に行われた総選挙の投票率は、77%だった。
日本はJICAや外務省を通してパナマに資金援助や技術協力を行っているが、実は選挙の投票率は日本よりもパナマの方が高い。
残念ながら世代別の投票率データは見つからなかったが、年代別に見てもほぼ変わらないだろう。
ぼくの周りの20歳代の友人たちは全員投票に行っていたし、「投票に行くのが当たり前」という風潮がある。
政治活動を行う若者
投票に行くパナマの若者たちは、そもそも選挙活動を手伝っている。
ある友人は政党の旗を付けた選挙カーに乗り、民家にプレゼントを配って回っていた。
知り合いの政治家の活動を手伝うために、わざわざ他の県まで出かけていく20歳代の同僚もいた。
若者が政治活動を行うことは、パナマでは当たり前の光景だ。
パナマの投票率が日本よりも20%も高い理由
直近の総選挙の投票率は日本が59%で、パナマは77%。
パナマの投票率の方が、20%近く高い。
パナマの投票率が高い理由は、投票することにメリットがあるからだ。
応援した政治家が選挙で勝てば、見返りに恩恵を受けることができる。
例えば、プロジェクトの対象にしてもらえる、仕事を回してもらえるなどである。
パナマの社会では日本以上に「政治の力」が強いのだ。
若者が政治に興味を持つのも、政治の力が必要だからだ。
良い就職先に就職するためには、学歴だけでなく政治家の力が必要になる。
若者は就職するために政治家の政治活動に協力し、選挙で投票する。
政治家の後ろ盾を得られれば、就職できるし、出世できるし、クビになることはないのだ。
ぼくはパナマに住んで一年半の間に、政治による人事異動を何度も見聞きしてきた。
なにせぼくの配属先は、選挙で負けた政治家の天下り先(避難先?)になっており、元政治家が何人もいるからだ。
総選挙後には選挙で負けた政党を支持していた元管理職も降格され、田舎の事務所に飛ばされてきた。
日本以上にパナマでは政治の力が圧倒的に強いから、政治に関わらないと生きていけないのだ。
だから、パナマの投票率は高い。
日本の若者の投票率を上げる方法
「日本の若者の投票率を上げよう!」という活動を行っているNPOや学生団体は多い。
そもそも、日本の総務省も若者の投票率を上げたいと思っている。
しかし、その活動とは裏腹に一向に若者の投票率は上がらない。
いったい、どうしたら日本の若者の投票率は上がるのか?
日本よりもおよそ20%も投票率が高いパナマを参考にして、投票率を上げる方法を考えてみた。
若者が投票するメリット
日本の若者の投票率を上げるためには、とにかく若者が投票するメリットを上げる必要がある。
パナマの若者は、良い就職先を得るために政治活動を手伝い、必ず投票に行く。
良い就職先を紹介してもらえるというメリットがあるから、投票に行くのだ。
日本の若者も投票するメリットがあれば、投票に行くだろう。
では、日本でもパナマのように政治家を応援しないと良い就職先に得られないようにするべきか?
この方法では投票率は上がるだろうが、良くない日本の未来が目に浮かぶ。
投票することで起きたぼくの変化
26歳であるぼくは、他の20歳代の若者と同様に政治に関心がなかった。
日本の若者で政治に関心がある人は少ないと思う。
しかし、ぼくの周りには政治に関心があり、投票に必ず行くという若者がいた。
彼の影響で、政治に関心がないぼくも投票に行ってみることにした。
すると、どうだろう…….
ぼくは少しずつ、政治に関心を持つように変わった。
ぼくは投票を行うことで政治について関心を持つようになり、日本人として日本社会の一端を担っている自覚が生まれたのだ。
次第に、芸能やスポーツに関するニュースだけでなく「政治に関するニュース」にも目を通すようになった。
「政治に関心がないから、投票に行かない」と言うが、「投票に行かないから、政治に関心がない」のではないだろうか?
人間の意識を変えることは難しい。
意識を変えようとする前に、行動を変えるべきだと思う。
日本の若者よ、まずは投票に行こう。
そして、投票に行ったことを友人とシェアしてみよう。
追記:さらに日本とパナマの政治について考えてみた。
参考:投票率を上げる必要はない。政治に関心がないことより、社会へ責任を果たさないことの方が問題。
※個人的な見解であり、所属団体の意向を述べるものではない。また、特定の政党を支持する活動でも政治的意見でもない。