大学院時代の恩師からのメール
先日、大学院時代にお世話になった恩師に、活動が始まったことなどの近況を綴ったメールを送った。
すると恩師から返信があり、そのメールの最後にこの一文が添えられていた。
君に一言だけ伝えたいことがある。
『伝道師になるな。』
この一文を見てからしばらくの間、ぼくはカウンターパンチを喰らったボクサーのように打ちのめされていた。
この一文は、今の僕にとっては破壊力抜群の一言だったからだ。
青年海外協力隊の目的は「伝えること」
そもそも、青年海外協力隊の目的は「発展途上国の開発に寄与すること」である。
そのための手段として、各隊員が持つ「日本の技術・経験・知識」を任地の住民に伝える。
簡単に言ってしまえば、青年海外協力隊員はまさに【伝道師】だ。
伝道師になるべき青年海外協力隊に向かって「伝道師になるな」とは、恩師の言葉は見当違いなアドバイスのように聞こえる。
しかし、この言葉は僕の心の奥深く海底200キロくらいに突き刺さった。
JICAボランティアとしてのプレッシャー
今日で職場に配属されて5日目だ。
もう同僚の名前を覚えたし、日本の話題も一通りは話し終えた。
仕事も少しずつ始まって、なんとなく状況も把握した。
「でも、決して焦らずに行こう」そう自分に言い聞かせていた。
「僕は焦っていない」と自分に思い込ませていた。
焦る本心を見抜く恩師
でも結局それは自分でジブンを騙すウソで、本当は「早く同僚に認められたい」と焦っていた。
そのために、僕の持っている技術・経験・知識を教えようと考えていた。
そんな本音を、地球の裏側にいる恩師には見抜かれていたのだ!
僕の恩師は、過疎地域の農家支援や日本の農業開発に30年以上携わっている。
その経験から僕の心理を見抜いたのだろう。
恩師が青年海外協力隊に伝えたかったメッセージ
恩師からのメッセージはこうだ。
伝道師のように一方的に教えるのではなく、
まずは農家から学び、共に悩んで、一緒に汗を流せ。
「ボランティアは教える前に、教わる姿勢が大切 」と青年海外協力隊の訓練所でも教わった。
恩師はこのメッセージを、たった一言に込めた。
「伝道師になるな」
やはり、恩師は偉大だ。
ぼくの心の中を見抜いて、的確なアドバイスを送ってくれた。
青年海外協力隊を志すすべての人に、「伝道師になるな」という言葉を贈りたい。
おしまい。
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