青年海外協力隊OBOGは4万人もいるはずなのに、今は何をしているのか全然わからないのはおかしくない?
協力隊になりたい人や現役隊員は帰国後の進路が知りたいはずなので、協力隊OBOGの任期終了後に的を絞ったインタビューをすることにした。
第一弾はコロンビアで日本語教師をしているカオリさんに話を伺った。
参考:JICAボランティアを二つ経験後にコロンビアで日本語教師をするカオリさんの青年海外協力隊OGインタビュー
そして、第二弾はたまたまカオリさんの部屋に居候していたチノさん。
ちなみにチノという名前はあだ名であり、かおりさんの好きなアニメのキャラクターから名付けられ、チノの名でメデジンでは通っているようだ。
チノさんは青年海外協力隊の経済・市場調査としてアフリカのエチオピアで活動し、今はコロンビアで会社を起業しラーメン屋を始めるという。
ちなみに、ぼくとチノさんは同じ平成25年度一次隊で派遣された同期だった(訓練所が別だったので面識はない)。
「なぜ、エチオピアで活動していたのにコロンビアで起業したのか? なぜ、ラーメン屋なのか?」など気になることを聞いてみた。
【追記】
チノさんが日本のテレビ番組「こんなところに日本人」に出演されました!
おめでとうございます〜!
「コロンビア 南米大陸の大山脈 アンデスの山間の町に住む日本人」を探す旅に出たのは熊切あさ美。
首都ポゴタにあるエルドラド国際空港へと降り立った熊切は、「涼しくて心地よいですね」と標高2400mを超える地での快適な気候に、気持ちよさそうだ。
しかしどんな日本人が暮しているか聞いてみると「女性な気がします! きっと何か嫌なことがあってこちらに来て、住み着いちゃったのかな?」と、境遇を自分と重ね合わせているかのような妄想を広げるのだが…!?
初対面だけど、青年海外協力隊・フィールド調査団で存在を知ってくれていた
(コロンビア・メデジンのカオリさんの家にて初対面のご挨拶)
宮﨑:はじめまして、宮﨑です。
チノさん:はじめまして、チノです。青年海外協力隊・フィールド調査団でプレゼンを見て以来、ずっとお会いしたかったです。世界銀行の小辻さんからもお話を伺っていました。カオリさんからあの宮﨑さんが来ると聞いて、楽しみにしていました。
宮﨑:存在を知ってくれていたんですね、ありがとうございます。
※青年海外協力隊・フィールド調査団とは、ロジカルシンキングをボランティア活動に生かそうと考える有志の集まり。詳しくは公式サイトを見てください→ 青年海外協力隊・フィールド調査団
宮﨑:今日はカオリさんにインタビューするために来たんですが、チノさんのお話も面白そうなので伺っていいですか?
チノさん:顔出しNGでよければいいですよ!
宮﨑:(長髪イケメンなのにもったいない)
青年海外協力隊に参加する前:商社に3年間勤務
宮﨑:まずは、青年海外協力隊に参加する前は何をされていましたか?
チノさん:日本の商社で3年間働いていました。
宮﨑:商社で働いていたのにどうして青年海外協力隊に参加したんですか?
チノさん:海外で働きたかったからです。学生時代から海外旅行が好きでずっと海外で働きたかったので。会社からは「あと2、3年働いたら海外駐在させる」といわれたんですが、待てなくて辞めました。
青年海外協力隊の経済・市場調査としてエチオピアへ派遣
宮﨑:青年海外協力隊ではどこで何をしていたんですか?
チノさん:東アフリカのエチオピアへ「経済・市場調査」という職種で派遣されました。
【エチオピアの場所】
宮﨑:経済・市場調査?
チノさん:この職種は「マーケティング」という名前に変わりました。実は第一志望の派遣国は宮﨑さんが派遣されたパナマ共和国だったんですよ。
宮﨑:もしチノさんの第一志望が通っていたら、一緒に活動していたかもしれませんね!
チノさん:隊次は「平成25年度一次隊」なので、宮﨑さんと同期です。訓練所は福島県二本松市でしたが。
宮﨑:おぉ、同期なんですね! ぼくの派遣前訓練は長野県駒ケ根訓練所だったので、お会いする機会はなかったですね。
※青年海外協力隊は3ヶ月ごとに年4回派遣され一次隊から四次隊まであり、派遣前訓練を受ける訓練所は二か所に分かれている。
宮﨑:エチオピアでは何をしていたんですか?
チノさん:半分公的な家具会社に派遣されて、マーケティングの手伝いをしていました。
青年海外協力隊の任期終了後:アルメニアとジョージアを自転車で二ヶ月かけて周る
宮﨑:青年海外協力隊の任期終了後は何を?
チノさん:2015年7月に日本へ帰国しました。9月から東ヨーロッパのアルメニアとジョージアを自転車で二ヶ月間かけて周りました。
宮﨑:(ヤヴァイ、話がおかしくなってきた)
【アルメニアの場所】
宮﨑:アルメニアとジョージア?? マイナーな国ですよね……
チノさん:日本人観光客が全然いない国でしたね。世界一周中のバックパッカーも3日くらいしか滞在しない国です(笑)
宮﨑:しかも自転車で?
チノさん:自転車が好きなんですよ。
※メデジンでも基本的に自転車で移動をしているそう
宮﨑:アルメニアとジョージアはどんな国でしたか?
チノさん:日本人旅行者が珍しいからめちゃくちゃ歓迎されました。道で知らない人に「どこから来た?」と聞かれて日本と答えると「家に寄ってけ!」といわれてそのまま食事とワインとご馳走になって泊めてもらうみたいな。みんなすごく親切で良い国でしたね。ワインの発祥の地だからみんな自宅でワインを作っていて、帰り際には「コレ持ってけ!」とワインの大瓶をもらったりして。
宮﨑:めちゃくちゃ楽しんでる!
チノさん:この旅を通して「海外を旅行するのではなく、海外に住みたい!」という自分の気持ちを再確認できました。
宮﨑:日本で働こうとは思わなかったんですか?
チノさん:日本の会社で働くのはもう無理だと思いました。海外で余生を送りたいなって。
宮﨑:余生?? (大丈夫? 病気なの?)
チノさん:余生の意味は、やらされるように生きることではなく「自分の意思でやりたいことをやって生きる」という意味です。目指しているのは、自分のやりたいことをして生きること。自分の人生を「壮大な実験」と捉えているんです。
宮﨑:(カッコイイなぁ~)
南米コロンビアへ行くことを決意し、即実行!
宮﨑:アルメニアとジョージアの自転車旅行から帰って来てからは何を?
チノさん:南米コロンビアへ行くことにしました! 2016年4月からメデジンに滞在しています。
宮﨑:突然、なぜ南米なんですか? これまでの経歴は日本(アジア)→エチオピア(アフリカ)→アルメニアとジョージア(東ヨーロッパ)でしたよね?
チノさん:だって、海外で知り合った日本人はみんな「南米が良かった」っていうんですよ。それで南米へ行ってみようと決めました。
宮﨑:ちなみに南米で必須のスペイン語は……?
チノさん:エチオピアはアムハラ語という独自の言語が母国語で、派遣前の訓練所時代は英語の授業を受けていました。なので、スペイン語はまったく喋れなかったです。今は独学と日本語学生とのエクスチェンジレッスンで勉強中です。
宮﨑:メデジンではどこに住んでいるんですか?
チノさん:カオリさんの仕事を手伝いながら7カ月くらい居候させてもらっています。
※カオリさんについてはこちらのインタビュー記事を読んでください →JICAボランティアを二つ経験後にコロンビアで日本語教師をするカオリさんの青年海外協力隊OGインタビュー
宮﨑:それで、実際にコロンビアに来てみてどうでしたか?
チノさん:それが、全然、好きになれなくて。俺には南米は合わないなって……
宮﨑:えぇ~!? それはどうしてですか? ぼくはメデジンが大好きで住みたいくらいですけどね~
チノさん:歴史が残っている地域が好きなんですよね。もともと地理が好きなので、その土地に引き継がれている伝統や文化に惹かれるんです。でも中南米はすべてスペインに支配されたから、その歴史が途切れているんですよね。その点、独立を守り続けているエチオピアや歴史が長い東ヨーロッパは良かったなぁ~。
宮﨑:うぅ~ん、たしかに中南米はどこも同じような歴史を辿っていますからね……
コロンビアのメデジンで起業し、ラーメン屋を開業準備中
宮﨑:コロンビアでは何をしているんですか?
チノさん:会社を起業したので、ラーメン屋を始めることにしました! 今は開店準備で大忙しです。
宮﨑:(ヤヴァイ、また話がおかしくなってきた)
宮﨑:聞きたいことが山ほど現れたので、順番に質問しますね。まず、なぜ起業したんですか?
チノさん:昔から「将来は起業しよう! 自分でビジネスをしよう!」と思っていました。また「海外に住みたい!」とも思っていて、コロンビアに住むためには自分で起業すればいいとわかったので、現地の企業にサポートしてもらい会社を立ち上げました。
宮﨑:なるほど。でもコロンビアは好きじゃないんですよね? なのになぜコロンビアのメデジンでラーメン屋を?
チノさん:メデジンは好きではないですが、ビジネスチャンスがあると考えたからです。まずメデジンはコロンビア第二の都市なので発展していて、人口は300万人弱で富裕層や日本好きな学生も多いです。アジア人が経営するアジア料理店はありますが、日本人経営の日本料理店は一軒もありません。もちろんラーメン屋も一軒もないです。ですがコロンビアの首都ボゴタには日本人経営の日本料理店やラーメン屋がすでにあり人気なので、メデジンでもイケると考えました。
宮﨑:めっちゃ考えてた! さすが元マーケティング隊員。普通は好きな場所でビジネスを始める人が多いですが、ビジネスチャンスがありそうな場所で起業した方が成功しそうですね。
宮﨑:でもラーメンを作るって意外と難しいですよね? 海外でラーメンを食べると激マズなこともあるんですが、大丈夫ですか?
チノさん:大丈夫です! 実は高校時代に有名な人気ラーメン屋でアルバイトをしていて、スープのレシピや作り方を教えてもらったんです。そのラーメン屋に就職することも考えたほどでした。
宮﨑:それなら安心ですね。ちなみにラーメン屋の店名はもう決まっているんですか?
チノさん:SUMOU RAMENです! 俺が相撲が好きなのと、理由はわかりませんがコロンビアでは相撲の知名度が高いので。
宮﨑:ラーメン屋開業で大変なことは何ですか?
チノさん:なかなか良い物件が見つからないことですね。外国人だとわかると貸してもらえなくて。それと中華麺が手に入りづらいのでどうしようかと考え中です。冷やし中華に使ったパスタを重曹入りのお湯で茹でた麺はどうでしたか?
この日はチノさんに夕飯を作ってもらいました。メニューは冷やし中華です!
宮﨑:ぶっちゃけ、まぁまぁですね。 ←食べ物の中でラーメンが一番好きな男の生意気な意見
チノさん:厳しい意見をありがとうございます。輸入物の中華麺なら手に入るけど高くて、自家製麺は面倒くさいし悩んでいます。
宮﨑:ラーメン屋が上手くいけばメデジンに永住できますね。うらやましいです!
チノさん:永住するつもりはないです。とりあえず2、3年やってみようみたいな軽い気持ちで始めました。
宮﨑:こだわりがない方が柔軟に対応できるし冷静に分析できるから、ビジネスとしてはいいのかもしれないですね。以上でインタビューは終わりです。突然インタビューを申し込んだのに対応して頂き、ありがとうございました。
チノさん:いえいえ。メデジンでイチゴビジネス始めましょうね!
※コロンビアでのイチゴビジネスの可能性についても議論しました
まとめ
今回は、商社から一転エチオピアでマーケティング調査、そしてコロンビアで起業しラーメン屋を始めるチノさんにインタビューを行った。
ぼくとチノさんは同期隊員ということもあり、日本へ帰国したタイミングが同じ(一年半前)。
ぼくは未だに海外をフラフラしているのに、チノさんはすでに起業してビジネスを始めていて凄いと思った。
ラーメン屋でのアルバイトの経験、商社でのビジネスの経験、エチオピアでのマーケティングの経験、アルメニアとジョージアでの体験が今のコロンビアでのラーメン屋起業に繋がっていると感じた。
青年海外協力隊の任期終了後の進路を決めるときには仕事だけでなく、チノさんが使う余生という印象的な言葉のように「生き方」を考えた方がいいだろう。
近い将来、メデジンでSUMOU RAMENのラーメンを食べることを楽しみにしている!
【募集】インタビューに協力してくれる青年海外協力隊OBOGを募集中
青年海外協力隊の帰国後進路の情報をもっと世の中に伝えるために、インタビューに協力してくれる青年海外協力隊OBOGを募集しています!
主に任期終了後の進路についてお話を伺い、ブログにアップさせて頂きます。
ぼくは日本中、世界中を移動しているのでタイミングが合った時に、どこかでインタビューをさせて頂きたいです。
ご協力して頂ける方はお問い合わせよりご連絡ください→ お問い合わせ