24回目の無電化集落への滞在
今週は、月曜日から水曜日まで無電化集落に滞在してきた。
本当は日曜日から行くはずだったが、首都出張の疲れからか体調が悪くて行けなかった。
無電化集落に滞在するのは、今回で24回目。
今回の一番の目的は、村の中学校の卒業式に出席することだった。
無電化集落までの道のり
無電化集落までは、まずは村の中心地から乗合ジープの荷台に一時間乗って、別の集落に向かう。
ここがジープの到着場。
そこから、アップダウンの厳しい山道を2時間歩く。
奥に見える山の向こうに目的地がある。
途中には反り建つ壁のような坂道が2キロ以上続く場所があり、重いバックパックを背負って歩いているので泣きたくなる。
宿泊する家
月曜日は学校に宿泊したが、火曜日に町から通っている学校の先生が町に帰ってしまったので、ぼくは民家に宿泊させてもらった。
もちろん電気がないので、夜はヘッドライトが必須。
山奥の集落には、「チトラ」という超極小の吸血虫が大量に生息しているので、長袖・長ズボン・靴下・手ぬぐいが必要になる。
そうしないと、全身が蚊に刺されたような跡と痒さで悶絶することになる。
無電化集落に滞在中は、かまどで料理を作る。
まき割りをして、火をおこして、ちょっとしたキャンプ気分が味わえる。
中学校の卒業式
12月15日月曜日に、村の中学校の卒業式が行われた。
乗合ジープに乗り、山道を這いつくばりながら歩き、なんとかぼくは卒業式に間に合った。
学校に着くと、村中の人が集まっていて、学校が人だらけになっていた。
ここはラテンの国パナマなので、人が集まると必ずダンスが行われる。
卒業式では発電機を使って音楽を流し、子供のダンスが披露された。
今年は10名の学生が卒業した。
果たして10名の卒業生のうち、何名が高校に進学するのか?
10名が卒業、高校に進学するのは…
パナマには、「成績上位トップ3名には奨学金を受ける権利」がある。
なので、10名中3名は高校に進学できるかというと、そうではない。
この集落には高校がないので、高校に進学したい場合は村の中心地の高校に通わなくてはならない。
遠すぎて通うことは無理なので、村の中心地に住む必要がある。
そのため、高校に進学するためには、学費とは別に「生活費」が必要になる。
なので、奨学金を受ける権利があったとしても、高校に進学させない親もいる。
この集落の子供が高校に進学する確率は、30%以下である。
ちなみにこの集落の子供が大学に進学する確率は0%、歴史上一人もいないそうだ。
クリスマスプレゼント
卒業式が今年の学校最後の登校日で、2月中旬までは長期休みになる。
12月25日のクリスマスが近いということで、すべての子供にクリスマスプレゼントが配布された。
配布元は、パナマのNGO。
プレゼントは、バービー人形っぽい人形、おもちゃの車、テニスっぽいラケット、モノポリーっぽい遊び道具、塗り絵帳などで、一人3個ずつ貰っていた。
バービー人形っぽい人形を持つ少女。
大きなトラックをもらった少年。
テニスラケットを持ち、なぜかエアギターを始めた少年。
後の、世界エアギター選手権優勝者である。
英語表記のため誰も読めない
モノポリーっぽいお絵かきをする遊びもあったが、これには欠点があった。
それは、ルールもカードもすべてが英語表記だったのだ。
この集落には、英語が理解できる人は一人もいない。
中学校の先生も英語はわからない。
なんとか英語のルールをスペイン語に翻訳して子供に遊び方を説明したが、全く理解できていなかった。
電気がない村滞在のまとめ
中学校の卒業式では10名の子供が卒業した。
すべての子供にクリスマスプレゼントが配られた。
今回の滞在では思うことがたくさんあったので、数回に分けて滞在記を書こうと思う。
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