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海外で日系企業の農業ビジネスは成功するのか?野菜と花栽培の成功事例と準備手順と注意点を農業コンサルが解説

      2016/11/10


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セッロ・プンタ高原の野菜

ぼくは2015年7月から農業コンサルタント業を始めたので、ちょうど一年が経過した。

この一年間で「農業コンサルタント」として働いた国は日本、ベトナム、ベネズエラ、ケニア(パナマとボリビアでも活動したけど)。

このブログを通して世界中の農園から質問を受けているし(英語のメールも来る!)、最近は日本企業や個人からも毎週問い合わせが届いている。

日本で農業をしている人からの問い合わせもあるけど、多いのは海外で農業ビジネスを始めたい企業からのもの。

農業ビジネスで海外進出を狙っている日本企業は多いけど、何をどうしたらいいのかわからなくて困っているところが多いらしい。

そこで今回は、海外で農業ビジネスを立ち上げたい企業や個人のために「野菜栽培と花卉園芸の成功事例と準備手順と注意点」を説明しよう。

※野菜と花に絞ったのは果樹と作物栽培はまた別物だし、ぼくがそんなに得意じゃないから(笑)

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海外で農業ビジネスを成功させた企業事例紹介

まずは海外で農業ビジネスを始める企業が多い理由と、成功事例を紹介しよう。

1.TPPで農産物の輸出入が自由化されれば日本の農業が大きく変わる

海外で農業ビジネスを始めたい企業が増えているのには、TPPが関係しているようだ。

説明の必要はないと思うが、TPPは12ヵ国間での経済連携協定(EPA)。

TPPは12ヵ国(日本、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、チリ、ペルー、メキシコ)間での経済連携協定(EPA)です。
TPPは、関税撤廃をはじめ、投資や知的財産保護といった非関税分野や、貿易の周辺分野(労働、環境など)のルール作りを含めた貿易自由化に関する包括的協定となっています。
要するにTPP締約国が世界全体のGDPに占める割合は36%、合計人口は約8億人となっており、ものすごく有望な市場だと言えますね。

引用元:TPPとは?理解するための3つのポイント

TPPによって農産物の関税が撤廃されることになるので、海外産の農産物が今までよりも安い値段で日本へ輸入されることになる。

そこでTPPの影響を受けて「日本農業は大きく変動する、崩壊する」と予想されている。

また、農林水産品に関しても、日本からの輸出拡大の重点品目(牛肉、米、水産物、茶など)のすべてにおいて猶予期間を経て関税撤廃が実現する予定で、米国やカナダ向けの清酒やベトナム向けの水産物(ブリ、サバ、サンマなど)の関税は即時撤廃されるのです。

引用元:TPPとは?理解するための3つのポイント

 

 

2.海外へ農業ビジネスで進出する企業が増加

逆にTPPを生かして、「海外進出を促進しよう」という動きもある。

その動きが工業業界だけでなく、農業業界にも生じているのだ。

日本の中小企業は高い技術力を持つ。だが、新興国では現地政府の急な制度変更による損害や、技術・デザインの盗用などのリスクが高く、海外展開に踏み切れないケースも多かった。TPP発効後は参加国の投資ルールが明確化されるほか、知的財産の保護制度も整備されるため、安心して進出できるようになる。

引用元:中小企業の海外進出支援 官民連携組織で販路開拓後押し

TPPを機に海外に農園を作ってその国の中で販売したり、日本へ輸出することで利益を出そうと考える企業が増えている。

たとえば、大手の製造業なら、いろんな材料や部品を外国から輸入しているが、その際に関税がなくなれば原料費が抑えられる。
また、外国から安い賃金で働く労働者が入ってくれば、人件費を安く抑えられるかもしれない。

でも日本にいる限りは最低賃金の足かせは外せない。それよりもっとずっと人件費を安く抑える方法がある。それは海外へ工場を移転してしまうことだ。

ベトナムあたりに行けば、人件費はずーっと安い。しかもたいていの発展途上国では排水や排ガスなどの環境基準が、日本よりもかなり緩い。労働者を安く使えて、環境を汚しても、文句を言われない。これは企業にとってはオイシイ話だ。

そんなオイシイ海外進出を、よりスムーズにしてくれるのが、TPPなんだ。

引用元:サルでもわかるTPP

 

3.海外で農業ビジネスを成功させた日本企業と日本人の事例紹介

海外で農業ビジネスを成功させた日本企業と日本人の有名な成功事例を紹介しよう。

タイで無農薬栽培のバナナを販売する和郷園

バナナ畑

先進的な取り組みをする農業系企業といえば、和郷園が有名。

ぼくも大学院生時代に和郷園の木内代表取締役の講演を東京まで聞きに行ったことがある。

和郷園は香港に野菜を輸出したり、タイで無農薬無化学肥料栽培のバナナを販売している。

農事組合法人和郷園(本社:千葉県香取市)は、香港への野菜などの輸出や、タイで無農薬無化学肥料栽培バナナ生産・輸出、バイオマスガス事業への協力などを手掛けている。

引用元:持続可能な自然循環型農業を海外で展開−農業組合法人和郷園グループ−(タイ、中国、香港、日本)

和郷園はタイにオテントタイランドという現地法人を立ち上げて、バナナやマンゴーの生産と野菜の販売を行っている。

日本の農業ビジネス活性化の取組みの一つとして、2007年にタイへの進出を果たした、農産物の卸企業であるオテントタイランド様。日本輸出用のバナナやマンゴーの生産や、タイ国内の量販店、日本料理店向けの野菜の販売をされています。

引用元:日本の農業をタイへ!農産品流通の新たなる挑戦

 

インドでイチゴを販売するGRA

インド・バラナシの夜

インドでイチゴを栽培しているGRAも有名だ。

東日本大震災で被災した宮城県のイチゴ農家が設立した農業生産法人で、インドにも進出している。

日本の栽培技術を活かしながら、インドで広く横展開が可能なオペレーションを確立。ハウスは全て現地で設計・調達することで価格を抑えると同時に、ローカル企業の技術力向上、雇用創出にも貢献している。実験ハウスでは、苗の育成や収穫期間の長期化などに取り組んでいる。日本、インドの企業とNPOなどと協業。

引用元:インドプロジェクト|GRA

インドでのイチゴ生産は上手くいっているようで、インドの高級ホテルに出荷しているそうだ。

インドのムンバイで開催されたクールジャパンフェスティバルに出展した(1月17日~19日)。農業生産法人のGRAが何故クールジャパンイベントしかもインドに出展したのか。
実を言えば、GRAは2年前から既にインドでイチゴの生産と販売に取り組んでおり、高級ホテルなどへ販売している。僕らのイチゴの評価は高く、生産が追いつかないほどのオーダーが毎日のようにホテルから飛んでくる。

引用元:<COOL JAPAN>ムンバイで日本のイチゴが大ブレイク

インドではGRAとNECとJICAが協力して、BOP層(貧困層)向けのイチゴプロジェクトを行っている。

2013年3月、インドで、日本のイチゴが初めて収穫された。このイチゴは、JICAが2012年7月から実施している「BOP層の生活改善に貢献するスマートビレッジ事業準備調査」の一環で、インド西部のマハーラーシュトラ州プネ市郊外で日本のイチゴ品種を高設養液耕栽培したもの。

引用元:インドで実った日本の大粒イチゴが秘める可能性

 

エクアドルでバナナを販売する田辺農園

バナナ畑

次はバナナの話題。

※イチゴもバナナも植物学的には野菜で、果樹ではない。

田辺農園は南米エクアドルでバナナを販売している日系企業。

日本のコンビニやスーパーでも田辺農園のバナナは「特別栽培バナナ」として一本ずつ売られているので、見たことがある人もいるだろう。

エクアドルでのバナナの生産者は約6000人。その中で唯一の日本人生産者が田辺さんです。田辺さんの農園は、エクアドル共和国の中でもさらに赤道直下に位置する、エスメラルダス州にあり、面積は380ヘクタールと、東京ドーム約82個分もあり、標高は300メートルと、同じエクアドルの中でも比較的高い位置にあることから、さらに朝晩の寒暖の差が生じ、バナナの栽培に適しています。この広い田辺農園で、スタッフ300人が働いていて、そのうちのトップ5が日本人となっています。

引用元:田辺さんのバナナ

田辺農園はビジネスで成功しているだけでなく、貧困層の雇用を創出しているので地域に貢献している。

田辺農園で働いている人たちはほとんどEcuador人、日本人経営だけれども近くの街のほとんどの人がこの農園で働いていると言ってもいいほどこの地域の雇用創出に貢献しているそう。

最近は業績もなかなかよいようで、これからもどんどんと新しいことに挑戦していきたいと高橋さんは言っていました。

海外で自分の意思を貫いて、やりたいことをやり、地域にも貢献しかつしっかりと利益を出している。

素晴らしいなと思いました。

引用元:【日本人経営のバナナ農園、田辺農園訪問】

 

ベトナムのダラット高原でイチゴとトマトを販売するサラダボウル

ダラットの愛の谷の池

山梨県の農業生産法人サラダボウルは、ベトナムのダラット高原でトマトとイチゴの生産を始めるそうだ。

※ぼくがコンサルティングをしている農園は別。

山梨県の農業生産法人サラダボウル(同県中央市)は、中部高原ラムドン省のダラット高原で栽培した農産物の栽培・販売事業を本格化する。日本式の施設園芸でトマトとイチゴを生産し、ベトナム国内で販売に乗り出す。

既に栽培面積として100ヘクタールを確保している。うち約0.4ヘクタールで来月にも事業化調査(FS)に入り、順次販売していく。

引用元:農業法人サラダボウル、ダラット産トマト販売へ

 

ケニアでナッツを販売するナッツカンパニー

ケニアの穀倉地帯、麦畑

ケニアでナッツを販売しているケニア・ナッツカンパニーを設立したのは、日本人の佐藤芳之さん。

ケニア・ナッツカンパニーは「社員数4000人、契約農家5万軒、農場の敷地面積東京ドーム780個分」まで規模拡大したというのだから驚き!

アフリカ諸国の独立に湧いていた1960年代、佐藤芳之さんは日本人初の留学生としてガーナに渡りました。そして、「アフリカに仕事をつくりたい」と35歳でケニアで立ち上げた「ケニア・ナッツ・カンパニー」を世界5大マカダミアナッツ・カンパニーに育て上げました。

最終的にケニア・ナッツは社員数4000人、契約農家5万軒、農場の敷地面積東京ドーム780個分まで拡大し、佐藤さんは25万人の生活に関わることになったのです。

引用元:「何かやりたい」その漠然とした欲求が一番大事

ケニア・ナッツカンパニーも国際協力事業として援助したのではなく、ビジネスとして利益を出し継続性を重要視していた。

※佐藤さんはケニア・ナッツカンパニーをケニア人に譲り、経営から手を引いた。

当初、ナッツの苗木を現地農家に育て貰うのに、無料で苗木を分けた訳ではなく、キチンとお金を徴収してビジネスとして広めて行ったそうです。ここでも佐藤さん語録がありました。 『タダでもらったモノは大切にしません。』『援助は一過性のものだけど、ビジネスには継続性がある。』

引用元:カンブリア宮殿・・・ケニアナッツカンパニー創業者 佐藤芳之さん

農業ビジネスで海外進出の有名事例はこんなところ。

 

 

海外で農業ビジネス(野菜栽培と花卉園芸)を立ち上げる準備と注意点

それでは、海外で農業ビジネスをしたいと考えている個人や企業のために、野菜栽培と花卉園芸を始めるときの準備と注意点を紹介しよう。

※野菜と花は似ているけど、果樹と麦稲系作物は少し違う

なぜ野菜と花だけなの? 果樹とか麦とか稲作とかは?」と思うかもしれない。

まず、農産物は大きく3つに分けられ、一つ目がトマトやキャベツなどの野菜園芸(花もここに含まれる)、二つ目がリンゴやブドウなどの果樹園芸、三つ目が麦や稲などの作物園芸である。

ぼくが大学院で研究して修士号を取得したのは「蔬菜(そさい)園芸学」という分野なので、野菜栽培の専門家である。

実家はリンゴ農家だし水稲栽培も行っているので、果樹栽培と作物栽培のこともわかるが専門家ではない。

農業に詳しくない人は意外に思うかもしれないが、「野菜栽培⇔果樹栽培⇔作物栽培」はそれぞれ別物なのだ。

なので、今回は野菜と花栽培のビジネスに的を絞って説明する。

 

1.現地でマーケティング調査(市場調査)

海外で野菜と花栽培のビジネスをしたい人は、まずは現地でマーケティング調査をしよう。

いきなり栽培を始めるのではなく、市場の調査が先決。

青果物販売店の調査

まずは、ビジネスを始める候補国で青果物販売店を調査しよう。

八百屋、ローカルマーケット、庶民向けスーパー、富裕層向けスーパー、ショッピングモールなどを訪問し、販売されている品目と値段、パッケージ方法などを調べよう。

これはメキシコのローカルマーケットの野菜。

メキシコシティの野菜売り場

これは南米ベネズエラのスーパーの野菜。

カラカスのスーパーの野菜売り場

これは中米コスタリカのローカルマーケットの八百屋。

コスタリカの野菜販売店

コスタリカのスーパーで売っている野菜の加工品。

青果物だけでなく加工品も調べた方がいい。

コスタリカの野菜のピクルス

メキシコのローカルマーケットのパッケージ方法。

青果物はパック売りなのか、重さ売りなのかに注目しよう。

メキシコの市場のパック野菜

これは南米エクアドルの市場で売っていた謎の野菜。

海外では日本では売っていない野菜や果物、花が売っている。

エクアドルのオタバロの動物市の野菜

これもエクアドルで見つけた謎の野菜。

逆に日本では当たり前に売っている野菜が海外では売っていないので、ビジネスチャンスがある。

エクアドルのオタバロの動物市の謎の野菜

野菜の苗が売っていることがあるので、家庭菜園では何が育てられているのか調べてみよう。

エクアドルのオタバロの動物市の野菜の苗

 

花の利用目的

花栽培のビジネスをしたい場合には、何がどこでどのように売っているのか調べよう。

庭に植える用の花もあるし、

ダラットの愛の谷の花壇

生け花やフラワーアレンジメント用の花もある。

パナマの生け花

熱帯気候の国では、日本には生息していない花も多い。

タバコン温泉の綺麗な花

 

食事や食文化の調査

青果物の調査だけではなく、食事や食文化の調査もしよう。

国が違えば食文化も大きく異なるので、売れる野菜も変わるからだ。

例えば、メキシコでは「サボテンの葉」が野菜として販売されており頻繁に食べられている。

サボテンと野菜のマリネ

メキシコでは辛いソースとたっぷりの野菜を使った料理が多い。

柑橘類やトウモロコシも頻繁に使われる。

野菜たっぷりのトスターダス

しかし、中米パナマ共和国のように野菜を食べない食文化の国もある。

現地の農園の視察・調査

青果物販売店と食文化の調査を行ったら、農園の調査もしよう。

小規模農家や大規模農園などいろんなレベルの農場を見た方がいい。

ティキパヤ市の野菜畑

ぼくはコーヒーの産地では、コーヒー農園に足を運んでいる。

ワインの産地では、ワイン農園にも行くようにしている。

パナマのコーヒー農園で記念撮影1

発展途上国にも欧米企業が大規模農園を経営していることが多い。

最近では中国企業や韓国企業も農業分野で海外進出している。

大規模イチゴ農園

 

2.海外農業向けのビジネスプランの作成

マーケティング調査が終わったら、ビジネスプランを作成しよう。

海外で農業ビジネスを始めようとしている人や企業は、すでにビジネスプランを作成した経験があると思うので、詳しくは書かない。

予算、期間、メンバーなどを押さえておこう。

 

3.ターゲットは誰か?

海外で農業ビジネスをするときに重要なのは、「ターゲットは誰なのか?」。

なぜかというと、日本は総中流社会といわれるように貧乏人が少なくみんなお金を持っているが、海外は貧富の差が激しいからだ。

欧米などの先進国もそうだし発展途上国はさらに貧富の格差が大きいので、ターゲットを明確に設定しないとビジネスは上手くいかない。

富裕層を狙ったビジネス

富裕層を狙ったビジネスをする場合には、農産物に付加価値をつけて高単価で売るのが一般的だ。

付加価値とは、有機栽培や無農薬栽培、ブランド化など。

大都会パナマシティの高層ビル群1

 

貧困層を狙ったビジネス(BOPビジネス)

最近、JICAや一般企業が力を入れているのが、貧困層向けビジネス(通称BOPビジネス)。

貧困層は低価格の商品しか買えないが人口が多いので、薄利多売で利益を出すことができる。

低価格ブランドを作ったり、パッケージのサイズを小さくするのが一般的。

スラム街

 

観光客を狙ったビジネス

海外では観光客を狙ったビジネスもチャンスがある。

青果物を販売するのではなく、ジャムやジュースなどの加工品にしてお土産物として販売したり、系列のスイーツショップを作り飲食店を始める農園もある。

タイムズスクエア周辺の観光客

 

近隣諸国へ輸出する、日本へ輸出する

生産国で販売するのではなく、近隣諸国へ輸出したり日本へ輸出するのもアリ。

アジアで展開している農園は、富裕層が多い中国や日本市場を狙っている。

インテルジェットの飛行機

欧米企業は南米やアフリカで大規模農園を経営しているが、その生産物の輸出先は欧米や日本である。

そのような大規模農園は飛行場の近くで栽培したり、輸送専用機を用意している。

パナマのトクーメン空港

 

4.先に農産物の販売先を見つける

外国で農業ビジネスを始めるときには、栽培をする前に先に販売先を見つけよう。

富裕層を狙ったビジネスをしたいなら、ショッピングモールに入っている高級スーパーや青果物販売店がおすすめ。

首都カラカスのショッピングモール

発展途上国にもショッピングモールはあり、富裕層が集まっている。

最近では先進国と発展途上国という分類はすで古く、近代化した都市部と貧困層が多い田舎に分けるという考え方もある。

アルブルックモールのフードコート

BOPビジネスがしたいなら、ローカルマーケットがいいだろう。

コスタリカのサンホセの市場の八百屋

 

5.外国の気候(気温・日射量・降雨量・日長)の把握

外国で農業をする場合には、その時の気候条件を把握しよう。

農業は気候の影響を受けるので、非常に重要だ。

「アフリカでイチゴを育てるのは無理だよね?」という質問を受けることがあるが、実はかなり広い気候帯で野菜は育てることができる

ただし、専門的な農業技術品種の正しい選定が必要になる。

月別の最高気温と最低気温

野菜や花を栽培したいなら、月別の最高気温と最低気温のデータは調べておこう。

国のデータベースなどで簡単に調べられるが、信用できなこともあるので自分で調べるのが一番確実。

ヤシの木と海

 

月別の日射量

日射量も光合成のために重要なので日射計で調べよう。

日本よりも日差しが強い国もあるし、弱い国もある。

アツい太陽と海

 

月別の降雨量

月別の降雨量も大事。

外国は乾季・雨季がある国が多く、四季がないことが多い。

家庭菜園のトマトの雨除け栽培

 

日長時間の変化

日長時間も植物の生育に影響を与える。

日長時間のコントロールは難しいので、事前に調べるべき。

大型暖房機と二重ビニールハウスのイチゴ栽培

 

6.日本の種苗の輸出入許可

マーケティング調査と気候調査の結果から「栽培する作物」を決めたら、品種を決めよう。

外国で売っている品種をそのまま使うなら問題ないが、競合農園も同じ品種を使えるのでブランド化はしにくくなる。

日本の種苗会社が取り扱う品種を輸出入する場合には、植物防疫所が発行する「輸出入許可証」が必要。

輸出入許可証は相手国と作物によって条件が異なるので、その都度植物防疫所に確認する必要がある。

市販の野菜の種

 

外国でも日本の種苗メーカーの種が購入できる

海外に進出している日本の種苗会社もあるので、海外でも日本メーカーの種苗を買うことはできる。

しかし、日本で販売されている品種かどうかは確認しないといけない。

ベネズエラ産の野菜の種

 

7.海外で現地法人の立ち上げ

セッロ・プンタ高原

海外で農業ビジネスを始める場合には、現地法人を立ち上げよう。

その辺は企業の方が詳しいはず。

 

8.条件が良い農地の確保

海外で農業ビジネスを始めるなら、条件がいい農地を確保するのも大切。

山間部の方が土地が安いし気候が涼しいが、ビニールハウスは建てづらいし輸送が大変。

木の実を教えてくれる村人

都市に近い平野部は生産が効率的にできるが、土地の値段は高い。

ビジネスプランに条件に合った土地を探そう。

セッロ・プンタ高原の野菜

 

9.品質が高い農業資材(農薬・肥料)の販売元を探す

農業生産をするためには、農薬や肥料などの農業資材を揃えないといけない。

ほとんどの国で欧米系メーカーの農薬や肥料が買えるが、日本の物とは特徴が違うので注意が必要。

ビニールマルチや遮光ネットは探す必要があるだろう。

パナマの農業研究施設のビニールマルチ栽培実験

農業資材が手に入らない国では、代用品を使うのも手だ。

例えば木や竹、建築用資材を使えば、コストを抑えることができる。

遮光資材を使った野菜畑

 

10.人件費が安い労働力を確保する

海外で農業ビジネスをすることのメリットは、日本よりも人件費が安いこと。

ただし、国によっては意外と人件費が高い場合もあるので事前に調べよう。

発展途上国の農園で働くワーカーは、月給2~3万円くらいが相場。

稲を移植する村人

 

11.農産物の輸送手段を準備する

意外と盲点なのが、輸送手段。

日本ならば冷蔵車がコンクリートで舗装された道を走ることができるので、コールドチェーン(冷蔵輸送経路)が守られる。

出荷する桃

しかし、発展途上国では冷蔵車がないこともあるし、道が舗装されていないことが多い。

エクアドルのオタバロの家畜市場に入る車

例えば、輸送車がこんな凸凹の道を走ると生産物は「荷痛み」を起こしてしまい、返品率が高まる。

日本以上に過剰梱包が必要になり、梱包費がかさむことになる。

溝にはまった車

日本の夏秋イチゴはこのようなパックで輸送されるが、道が悪いとこれでも傷がつくのでさらに厳重な梱包が必要。

生産者から出荷されるイチゴのケース

 

12.農産物の試験栽培を行う

海外で農業ビジネスを立ち上げるときには、いきなり大規模で始めずに最初は小規模で試験栽培を行おう。

例えば、10アール程度の小さな農地を使ったり、一棟だけビニールハウスを借りるのがいいだろう。

これはキュウリの苗トレイ。

発芽したキュウリ

そして、これがキュウリ畑。

キュウリのマルチ栽培

 

13.サンプルを使ってマーケティング試験

試験栽培で収穫できた生産物をサンプルとして使って、マーケティング試験を行おう。

予定していた売り先にサンプルとして提出して評価を聞いたり、改善点を洗い出す。

例えばキュウリは3つほどの系統に分けることができ、日本で売っている細い系統は海外ではほとんど売っていない。

海外でキュウリといえば長い系統か太い系統だからだ。

なので、海外で日本の細い系統を売りたい場合には、事前にマーケティング試験をした方がいい。

パナマのキュウリ品種は太い

日本で売っているファースト系と呼ばれる先が尖ったトマトは、海外ではほとんど売っていない。

海外のトマトは真ん丸トマトか加工用の楕円形トマトが多いから。

日本の農業はガラパゴス化しているので、日本の知識だけでは海外ではうまくいかない。

未熟なトマトの実

 

14.農業ビジネスの本格始動

マーケティング試験もうまくいったら、農業ビジネスを本格的に始動させよう。

大規模ガラスハウスを建てるなら、このタイミングがいい。

海外で植物工場を始めたいんです!」という話をよく頂くが、植物工場にはメリットとデメリットがあるので注意して欲しい。

詳しくはこちら。

参考:施設園芸農業のメリット&デメリット!日本と海外の点滴灌漑&養液土耕&LED水耕栽培&植物工場(太陽光利用型・完全閉鎖型)

トマトの大規模栽培

海外でイチゴの水耕栽培をしたいんです!」という話も多いが、これにもメリット・デメリットがある。

詳しくはこちら。

参考:苺ソムリエ直伝!イチゴの甘い果実の見分け方&おすすめの品種と美味しい食べ方、苗作り&簡単な育て方

ランナーを伸ばしたイチゴの二段ベッド栽培施設

「水耕栽培」と「養液土耕栽培」の違いを理解できていない人が多いが、これらはまったく別物。

・水耕栽培は、土を一切使わないで液肥だけで育てる栽培方法で難しい

・養液土耕栽培は、土と液肥を使った栽培方法で簡単

薄膜型水耕NFT

最近ではミストを使った施設園芸もあるし特殊なビニールを使った栽培方法もあるけど、すべての栽培方法にメリットとデメリットがあるので、資材会社の営業トークに騙されないように注意してほしい。

エセ科学を使った詐欺みたいな農業資材とか機械がたくさん出回っているから。

水耕栽培のハーブ

 

15.途上国はトラブルが多いので「日本の2~3倍の期間」が必要になる

海外で農業ビジネスに挑戦する企業の多くが、先進国ではなく途上国を選ぶと思う。

先進国はすでに市場が埋まっていてビジネスチャンスが少ないからね。

ただし、途上国は日本とはまったく違う環境なのでトラブルが非常に多くて、「日本の2~3倍の期間」が必要になると考えてほしい。

日本だったら一ヶ月で終わることが、途上国では三ヶ月かかるのが普通だ。

事故車

 

16.日本での農業経験は必須か?

日本での農業経験がないんですが、海外で農業ビジネスはできますか?」という質問を何回か頂いた。

結論からいうと、一人だけもしくは自社だけでやるつもりなら無理、農業の専門家を雇うなら可能。

誰の力も借りずに自社だけ(個人だけ)でやる場合には、農業経験がないと無理

寿司を握ったことがない人が、海外で寿司屋を始めるのは無理だよね?

日本で数カ月か数年くらい修業してから始めるならできると思うけど。

農業も同じで、まったく経験がない人が一人だけで成功させるのは無理。

野菜の水耕栽培や植物工場はマニュアル化できているけど、さすが農業経験ゼロの人だけで扱えるものではない。

水耕栽培や植物工場は農業経験が豊富な人がバックについていないと失敗する。

ビジネスの部分は自分たちでやり、農業は専門家を雇うなら農業経験はなくてもOK

ただし、農業の知識がなくてもマーケティングや営業が得意ならば、野菜の栽培だけを専門家に任せれば可能

だいたい日本の農業関係者は保守的なので、海外に進出しようという人や企業が非常に少ない。

なので、海外で農業ビジネスをしている人の多くが日本の農業企業ではなく、建設や印刷などの異業種からの参入だ。

ビジネスが得意な農業以外のビジネスマンと、野菜栽培の専門家が組んだら最強のチームだと思う。

ぼくは農業コンサルタントとして働いているが相手は農業素人の企業という、このパターンの仕事依頼が多い。

 

17.日本の農家にはコンサルティングを頼まない方が無難

パナマの高原野菜

「日本の農家に栽培指導をお願いしよう」と考える人が多いと思うけど、それは絶対にやめた方がいい!

北海道の農家が沖縄県で栽培できると思う?

例えば、北海道の農家が沖縄県で野菜を育てられると思う?

日本と海外は北海道と沖縄県よりももっと環境が異なるので、農家に栽培指導を依頼すると失敗する可能性が高いし失敗事例をたくさん見てきた

なぜかというと、日本の農家は作物の知識を学ばずに長年の経験と勘を頼りに栽培しているから、科学的な知識がないから。

なので、その栽培方法はその土地の気候だからこそうまくいく技術であり、再現性がなく応用力がないのだ。

野菜農家(母方)と果樹農家(父方)の息子として生まれた農家のセガレのぼくがいうのだから間違いない(笑)

ぼくの家族は「長野県のリンゴ農家」としては優秀だと思うが、絶対に海外のリンゴ農園の栽培指導はできない!

農家に栽培指導をお願いするとトラブルが起きる理由

例えば、科学的な知識がない農家は日長時間が長い低緯度熱帯気候での植物の反応を予想できないし、四季がない熱帯高標高地帯での生育を予想できない。

また、イチゴ栽培でいうと四季成り性品種と一季成り性品種の特性の違いを理解できていないので、とんちんかんなアドバイスを海外の日系イチゴ農園にしてトラブルの基になっている。

もちろん日本にはちゃんとした知識を持った農家もいるが、農業の知識がない人や企業には「ちゃんとした知識を持った農家」と「そうでない農家」を見分けられないのが問題!

イチゴ農家の巡回指導

 

日本の農家の古い知恵を生かした国際協力活動なら最適

でも、日本の農家が長年の経験で培ってきた栽培方法は、発展途上国での国際協力活動なら有効だと思う。

低コストな栽培技術が多いし、近代化していない途上国の農村部でも生かせる技術がたくさんあるからだ。

実際にぼくはJICAの青年海外協力隊として、農家の祖父から習った農業技術を途上国に指導してきた。

詳しくはこちら。

参考:えっ、1本のトマトが5本に増える!?家庭菜園でトマトの脇芽から挿し木苗(挿し芽苗)を無限に増やす栽培方法とコツ

参考:もみ殻くん炭を道具なしで簡単に作る方法!家庭菜園向け籾殻燻炭の使い方と効果・メリット

ただし、祖父が海外の農業ビジネスに指導できるかというと、それは絶対に無理!!

祖父母

 

 

まとめ

今回は、海外で農業ビジネスを立ち上げたい企業や個人のために「野菜栽培と花卉園芸の成功事例と準備手順と注意点」を紹介した。

途上国で農業ビジネスを始めることは日本で始めるよりも大変だが、その分ビジネスチャンスは大きい。

ただし、農業知識がない個人や企業は知識がない農家に騙されないように気を付けてほしい。

 

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→ 農業コンサルタントの実績紹介と仕事依頼

 

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宮﨑大輔 Daisuke Miyazaki

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農業経歴

1988年 長野県飯田市のリンゴ農家に生まれる

2013年 信州大学大学院で農学修士号取得

2013〜2015年 青年海外協力隊として中米パナマ共和国で2年間農業ビジネス支援

2015年〜 農業コンサルタントとして日本、アジア、アフリカで、苺ビジネスのコンサルティング中

・テレビ出演(TBSあさチャン)
・週刊誌監修(女性セブン)
・書籍の監修多数

写真経歴

2013〜2015年 中央アメリカで写真撮影を始める

2015〜2017年 世界20カ国を旅しながら風景写真を撮影

2017年〜 日本で人物写真を撮影中

・Instagram

・ポートフォリオサイト

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