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夏いちごとは?夏秋イチゴ(四季成り性)の品種と栽培方法、産地についてプロが徹底解説

      2017/07/17


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「”夏いちご”と”普通のイチゴ”の違いは何ですか?

ぼくはイチゴビジネスのコンサルティングをしているので、夏イチゴについての問い合わせも多い。

・夏イチゴとは何なのか?

・冬の苺と夏の苺は何が違うの?

・夏に食べるいちごが美味しくない理由は?

ぼくは大学と大学院で「夏から秋にかけて収穫できるイチゴ」の研究を4年間していて、今はそれを日本や海外で企業に教えて仕事にしている。

そこで今回は、夏秋期に収穫できるイチゴ(特に四季成り性イチゴ)について解説しよう。

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夏いちごとは?

そもそも、「夏いちご」とは何なのか?

1.端境期(夏秋)に生産される国産イチゴ

夏いちごとは、その名前のとおり、夏に採れるイチゴのこと。

夏から秋にかけて採れるので、「夏秋(かしゅう)イチゴ」とよばれることも多い。

「あれ? いちごって夏や秋にも採れたっけ!?」

と農業に詳しい人なら気がついたかもしれない。

一般的に日本では、イチゴの旬は冬から春(12月から6月まで)なので、夏や秋にはいちごは出回らない。

その普通のいちごが出回らない端境期に、国内で生産され出荷されているのが夏秋イチゴ(夏いちご)である。

夏や秋に国内でイチゴが生産されるようになったのは、ここ二十年くらいである。

 

端境期に輸入される海外イチゴ

では昔は夏や秋に、日本からイチゴが完全になくなったかというと、そうでもない。

二十年以上昔から、夏や秋にはアメリカなどからイチゴを輸入していた。

一昔前は、夏に食べられるイチゴといえば、「外国産の輸入イチゴ」だったのだ。

アメリカ産の輸入イチゴは、果実が硬く、大きく、赤色が濃く、果実の中心に空洞があり、糖度が低いことが特徴。

日本産のイチゴに比べて味の質は下がるが、国内のイチゴが完全になくなり、希少性が高い時期なので国産イチゴの倍の値段で売られていた。

今でも夏場になると高級スーパーでは、アメリカ産のイチゴが販売されている。

夏秋イチゴは最も儲かる農作物

その夏場の輸入イチゴに対抗する形で、生産されるようになったのが夏秋イチゴである。

理由はシンプルで、普通のイチゴの2倍の値段で売ることができて、めちゃくちゃ儲かるから。

そもそも、イチゴは収益性が高い(儲かる)農作物なので、新規就農者に人気の作物だった。

例えば、冬から春のイチゴの平均的な卸売価格は、1キロ1,500円程度。

それに対して、夏秋イチゴの平均的な卸売価格は、1キロ3,000円程度。

イチゴの中でも夏秋イチゴはさらに収益性が高い農作物になったので、今では県や国が新規就農者向けに夏秋イチゴ栽培を振興している。

夏秋イチゴは現在の日本の農業の中で、もっとも儲かる農作物の一つといっていいだろう。

 

2.用途は業務用(ケーキ屋、アミューズメントパーク)

なぜ、夏秋イチゴが儲かるのか?

その理屈はかんたんだ。

夏秋イチゴが儲かる理由は、供給がほぼゼロになるのに需要があるので、普通より2倍の値段でも売れるからだ。

供給がなくなるのは、夏場にイチゴが収穫できないから。

イチゴは気温が高くて日長時間が長くなる夏には、花を咲かせることができなくなり実も収穫できない。

そして、需要というのは、ケーキ屋さんやアミューズメントパークなどの業務用需要だ。

夏にはスイカ、ブドウ、梨などいろんなフルーツが旬をむかえるので、わざわざイチゴを生で食べる必要はない。

ただし、イチゴを一年中必要としている人たちがいる。

それがショートケーキを作りたいケーキ屋さんや、イチゴを使ったスイーツを売りたいアミューズメントパークである。

イチゴが上に乗っていないショートケーキはショートケーキとは呼べないし、ショートケーキが売っていないケーキ屋さんもありえない。

そのため、夏でもイチゴの需要は必ずあるのだ。

なので、みなさんも知らないうちに夏イチゴを口にしているはずだ。

7月から11月まで出回っているイチゴのほとんどは夏イチゴなので、ぜひ気にしてみてほしい。

ただし、夏にはいろんなフルーツが売られているので、スーパーマーケットで夏秋イチゴが生食用として販売されることは稀だ。

 

3.夏イチゴの味は美味しいのか?糖度は?

夏秋イチゴがスーパーマーケットで生食として売られない理由は、もう一つある。

それは、夏秋イチゴの糖度が低く、冬場のイチゴと比べて味が美味しくないからだ。

最近では、「冬のいちごと同じくらいの糖度です!」という宣伝文句で販売されている夏秋イチゴもあるが、それは過大広告だと思う。

旬のスイカや梨が安く食べられる時期に、わざわざ美味しくないイチゴを、2倍の金額を払ってまで食べたくないよね?

なので、スーパーマーケットで夏秋イチゴが販売されることはほとんどない。

ただし、夏秋イチゴの産地の近くのスーパーや、品揃えが豊富なお店では店頭に並ぶこともある。

 

4.四季成り性と一季成り性イチゴ

「夏にイチゴは実をつけないのに、どうやって収穫するの?」

と疑問に思う人もいるだろう。

冬から春にかけて収穫されるイチゴは、「一季成り性」とよばれる性質を持っているイチゴである。

それに対して、夏から秋にかけて収穫されるイチゴは、「四季成り性」という性質を持っている。

実は、普通のイチゴと夏秋イチゴは、イチゴのタイプが違うのだ。

四季成り性と一季成り性の違い

一季成り性イチゴと四季成り性イチゴの違いは、花芽分化(花を作る条件)の違いである。

葉の見た目や果実の見た目や味は、一季成り性も四季成り性も同じ。

花芽分化の条件を大雑把に説明すると、以下のような違いがある。

【気温に対する反応】

・一季成り性:25度以上で花芽分化できない。24度以下でも日長時間が長すぎると花芽分化できない。

・四季成り性:30度以上で花芽分化できない。

【日長時間に対する反応】

・一季成り性:日長時間が短いほど花芽分化しやすい

・四季成り性:日長時間が長いほど花芽分化しやすい

※農業初心者向けの大雑把な説明なので、厳密にいうと正しくないです

 

ものすごくかんたんに説明すると、日本の気候条件で冬と春に収穫できるのが一季成り性イチゴで、一年中収穫できるのが四季成り性イチゴである。

【収穫できる季節】

・一季成り性:冬、春だけ

・四季成り性:春夏秋冬すべて

一季成り性は冬と春しか収穫できず、それに対して四季成り性は春夏秋冬いつでも収穫できる。

しかし、実際に世の中に出回っているイチゴは、夏と秋は四季成り性で、冬と春は一季成り性というように分業制になっている。

四季成り性イチゴを一年中生産して、一年中四季成り性イチゴを売ることができるのに、なぜそうしないのか?

【出回っているイチゴの種類】

・春:一季成り性

・夏:四季成り性

・秋:四季成り性

・冬:一季成り性

その理由は、さきほど説明したとおり、四季成り性の味が一季成り性よりも美味しくないからだ。

現状日本では、冬と春は味が美味しい一季成り性を生産して、一季成り性が生産できない夏と秋には四季成り性を生産している。

※ただし、完全人工光型植物工場のイチゴ生産はその限りではない。

参考:施設園芸農業のメリット&デメリット!日本と海外の点滴灌漑&養液土耕&LED水耕栽培&植物工場(太陽光利用型・完全閉鎖型)

 

一季成り性イチゴを使った夏秋イチゴ生産

日本の夏秋イチゴのほとんどが、四季成り性イチゴを使っている。

ただしごく少数だが中には、一季成り性イチゴを使った夏秋イチゴ生産も行われている。

その場合には、苗の冷蔵処理や日長時間の短縮、ハウス室温やクラウン部の冷却が行われている。

 

5.海外にも夏秋イチゴはある?

「海外にも夏秋イチゴはあるの?」

という質問を受けることがある。

答えはNoだ。

そもそも、日本と韓国以外では、イチゴはビニールハウスを使わずに栽培されている。

気温が低い時期にビニールハウスで暖房機を使ってイチゴを栽培している国は、日本と韓国以外にはほとんどない(オランダやイスラエルなどはビニールハウスを使っているけど)。

なので、海外ではイチゴの栽培に適した気候の土地で、一年中イチゴが屋外で栽培されている。

そして、同じ株から連続して3年間から5年間くらいは収穫し続けている。

しかし、日本は同じ株から収穫する期間は半年間だけである。

※完全人工光型植物工場のイチゴ生産は除く。

なので、海外のイチゴ生産では、”夏秋イチゴ”という概念すら存在しないのである。

ただし、海外のイチゴ品種にも一季成り性品種と四季成り性品種があり、どちらも一年中栽培されている。

参考:【海外イチゴ栽培コンサルティング】外国で日本式の高品質イチゴ農園を始める時に注意するべき12のこと

 

 

夏イチゴの主力品種(四季成り性)

次に、夏イチゴの主力品種(四季成り性)を紹介しよう。

1.ペチカ・シリーズ

日本を代表する夏秋イチゴといえば、北海道の株式会社ホーブのペチカ・シリーズ(ペチカ、ペチカサンタ、ペチカプライム、ペチカエバー、ペチカほのか)。

ホーブはイチゴの品種改良と夏イチゴの卸売をしている会社で、年間売上は52億円。

1995年に四季成り性品種ペチカを育成し、その後も品種改良を続けている。

ホーブはTBSのがっちりマンデーでも特集されていた。

ホーブのペチカが、日本の国産夏秋イチゴの礎を築いた。

 

2.すずあかね

ここ数年、大人気なのがホクサン株式会社のすずあかね。

ホクサンは元は北海三共という会社名だったが、数年前に改名した。

最初に作った四季成り性は「HS138(商品名:夏実)」で、その改良品種として「すずあかね」が誕生した。

すずあかねの特徴は、植物の背が低く、果肉は白く、果実が大きい。

北海道や長野県に人気の品種である。

 

3.サマープリンセス

長野県の南信農業試験場が育成した品種が、サマープリンセス。

サマープリンセスの特徴は、収穫量が多く、果実が白く、うどんこ病に弱く、白ろう果という果皮の着色異常が発生すること。

栽培は長野県内に限られているが、一時期は長野県中の夏秋イチゴ農家で栽培されていた。

また、サマープリンセスの改良品種であるサマーエンジェルは、流行らずに姿を消してしまった。

 

4.なつあかり

東北農業研究センターが育成した品種が、なつあかり。

なつあかりの特徴は、収穫量が少ないが、果実糖度が高く味が美味しいこと。

ただし、自然条件では収穫量が少なすぎて、最近では見かけなくなった。

 

5.信大BS8-9

信州大学が育成したのが、信大BS8-9。

信大BS8-9の特徴は、果実糖度が高く美味しいことと、うどんこ病にかかりにくいこと。

ぼくはこのイチゴの「周年生産の研究」と「栽培マニュアルの作成」に、4年間携わっていた。

昔は長野県内でしか栽培できなかったが、今では北は北海道から南は九州まで栽培されている。

 

 

【追記】6.ペチカほのか・夏瑞(なつみずき)

株式会社ホーブがペチカシリーズの後継として、品種名ペチカほのか(商品名:夏瑞、なつみずき)を開発した。

大玉、高糖度が売りの品種で、現在の生産地は北海道。

7月中旬に東京の百貨店で食べてみたが、本当に糖度が高くて驚いた!

 

 

夏イチゴの栽培方法

次に、夏イチゴの栽培方法をご紹介しよう。

夏イチゴは商業的な作物なので、家庭菜園向けではない。

家庭菜園で四季成り性イチゴを育てたい場合には、一般的な栽培方法でよいので、こちらの記事を読んでほしい。

参考:ブランドイチゴブーム!イチゴの甘い果実の見分け方&おすすめの品種と苺の美味しい食べ方、苗作りのコツ&高設栽培の簡単な育て方を解説

 

1.夏イチゴ栽培に必要な設備(高設栽培)

まずは、夏イチゴの栽培に必要な設備をご紹介しよう。

イチゴ栽培には「土耕(どこう)栽培」と「高設(こうせつ)栽培」という二種類があるのだが、今回は新規就農者に人気の高設栽培を紹介する。

ビニールハウス

まず、日本でイチゴ栽培をする場合には、ビニールハウスが必須。

素材は鉄骨ハウスでもいいし、直管パイプでもいい。

日本のいちご品種は果肉が柔らかく果皮が弱いので、雨よけがないと果実が痛んでしまうのだ。

自動灌水装置

高設栽培では自動灌水装置と給液チューブが必須。

灌水装置とドリップチューブは、各メーカーからいろんな種類が販売されている。

高設ベンチ

高設栽培は、いちごを高設ベンチの上で栽培する。

高設栽培とは栽培槽を腰から胸の高さくらいまで上げ、作業効率をよくすることが目的だ。

栽培容器

高設栽培に使う栽培槽は、いろんなものがある。

プランター型、発泡スチロール箱、トレイタイプ、シートタイプなど。

培地

日本のイチゴ栽培では、水耕栽培は一般的ではない。

イチゴの水耕栽培も可能だが、「養液土耕栽培」という土と液肥を使う栽培方法の方が、リスクが少なくメリットが多いからだ。

そのため、夏秋イチゴ栽培にも土ではなく、特殊な培地を使うことが多い。

肥料

高設栽培では肥料濃度を調整した液肥を流して、イチゴに必要な分だけ肥料を与える。

昔は農家の勘に頼っていた細かいコントロールを数値化できるので、大規模栽培や新規就農者にも向いている。

農薬

夏秋イチゴ栽培には、殺虫剤や殺菌剤などの農薬が必要。

冬や春の時期よりも害虫の発生が多いので、その対策が大変だ。

業務用冷蔵庫

夏秋イチゴを収穫したら、まずは業務用冷蔵庫に入れて「予冷」という冷却作業を行う。

そして、そのあとに選別してパッキングして、出荷する。

自動読み上げ機能付き測り

夏秋イチゴ農家では毎日たくさんのイチゴを選果しないといけないので、自動読み上げ機能付きの測りを使うことが多い。

イチゴをトレーから持ち上げると「コレハ、Mサイズ、デス」と読み上げてくれるので、めちゃくちゃ便利。

出荷資材

夏秋イチゴの出荷先は主に、市場やケーキ屋さん。

冬のイチゴのようにスーパーでパック売りされることはほとんどなく、ダンボールの出荷資材に入れられて出荷される。

 

2.夏秋イチゴ農家を始めるのに必要な資金

夏秋イチゴ農家を始めるために必要な資金は、面積ややり方にもより大きく変わるが、最低でも1,000万円以上は必要だろう。

日本でよく利用されている新規就農者の個人の融資の額は3,000万円で、法人だと1億円だ。

日本で夏秋イチゴを始める場合には、3,000万円くらいの資金があるとよい。

イチゴ栽培の場合には、「高設栽培をするか、土耕栽培をするか」で費用が変わってくる。

 

3.高設栽培のメリット・デメリット

イチゴで新規就農者するときに悩むのが、栽培方法だろう。

そこでまずは、高設栽培のメリットとデメリットを紹介しよう。

高設栽培のメリット

・作業効率が良い

・培地を使えば土壌汚染の心配がない

・肥料や水分をコントロールできる

・マニュアル化が楽なので、新規就農者や大規模化に向いている

・無理をすれば二段ベッドも作れる

 

高設栽培のデメリット

・土耕栽培よりも費用が増える

・土入れや片付け作業が大変

・メンテナンスにもお金がかかる

 

4.土耕栽培のメリット・デメリット

次は、土耕栽培のメリットとデメリット。

土耕栽培の方が歴史が長く、古い農家は土耕栽培で、新しい農家は高設栽培を導入している事が多い。

土耕栽培のメリット

・導入コストが安い

・ランニングコストが安い

・経験やノウハウが蓄積している

・うまく作れば、高設栽培よりも味が良くなる(場合によるが)

土耕栽培のデメリット

・腰を丸めた状態で作業しないといけない

・土壌汚染の可能性がある

・経験や勘に頼った部分が多く、マニュアル化や大規模化しにくい

 

5.栽培スケジュール

次に、夏秋イチゴの栽培スケジュールをお教えしよう。

4月定植

夏秋イチゴの定植は4月頃が多い。

ただし、東北地方では前年の秋に定植する農家も多い。

5月株育成期

5月は株を育てる時期なので、出てきた花房は取って捨てよう。

6月花上げ期

6月からは出てきた花房を残しておいて、花を咲かせよう。

この時期からはハウスにミツバチを用意して、授粉させよう。

7月収穫開始

夏秋イチゴの収穫のピークが7月。

Lサイズのイチゴがたくさん採れる時期なので、あらかじめ売り先を確保しておこう。

夏秋イチゴ農家は、この時期がめちゃくちゃ忙しくて寝る時間がなくなる。

8月中休み

8月に入ると収穫のピークが終わり、収穫量が減ってくる。

この時期に摘花や栽培管理をしっかりしよう。

9月収穫

9月になり暑さの峠が超えると、イチゴも元気を取り戻してくる。

秋の収穫のピークを迎える。

10月収穫

10月になると果実の成熟にかかる日数が増えて、果実の糖度が増してくる。

高標高地では10月末で収穫が終わる。

11月収穫終了

11月になるとイチゴの果実が巨大化し、糖度も冬いちご並に美味しくなる。

ただし、一季成り性品種が市場に出回り始めるので、四季成り性品種の生産はここで終了。

12月片付け

来年度の栽培のために、苗を切り取ってハウスの片付けを行う。

これで夏秋イチゴの1シーズンが終わり。

 

6.育苗スケジュール

夏秋イチゴ農家は、果実を生産させながら、翌年度用の育苗をしないといけない。

育苗にはいろんな方法があるが、今回はナイアガラ方式を紹介する。

8月翌年の栽培株数決定

まずは8月に、翌年栽培する苗の数を決める。

すべての苗が元気に育つとは限らないので、例えば2万株必要な場合には、2万4千株くらいは苗作りをしよう。

9月ランナー出し

9月になったら必要な苗数分が採れるだけの親株から、ランナーを出させる。

おおまかな数を数えて、翌年栽培分の苗数までランナー子苗を増やそう。

10月採苗

10月になったらランナー子苗を切り取って、ポットか育苗トレイに挿して、「挿し苗」を作ろう。

発根を促すために自動ミスト装置があると便利。

11月育苗

11月は育苗期間。

農業には「苗半作(なえはんさく)」という言葉があり、意味は”収穫量の半分は苗で決まる“ということ。

それくらい育苗は重要で難しいので、気をつけてほしい。

12月から2月屋外で管理

12月から2月は雪の下で管理すればOK。

この期間はすることがないので、翌年栽培用の準備かバカンスを楽しもう。

夏秋イチゴ農家はこの時期に海外旅行に出かけたり、出稼ぎにでかけたり、毎日パチンコしている。

3月追肥

3月になると苗が生育を再開させるので、追肥を与えよう。

IB化成を使うと楽ちん。

4月定植

そして、4月に苗を定植して、新しいシーズンが始まる。

 

7.夏イチゴ栽培の課題と対策

次は、夏秋イチゴの課題と対策について。

高温期のなり疲れ

夏秋イチゴの問題といえば、高温期のなり疲れだ。

イチゴは果実が実ると光合成で生産したエネルギーのほとんどを果実に送ってしまうので、根や葉がエネルギー不足になり弱ってしまう。

そのため、生育速度が遅くなったり、次に採れる果実が小さくなってしまう。

また、気温が高すぎて四季成り性品種でも花芽分化できないことがあり、俗に「花がとぶ」とよばれる現象が起きる。

そうならないように、摘花をしたり、電照処理をしたりしないといけない。

果実の糖度が低い

夏秋イチゴの最大の問題は、ずばり不味いこと!

果実の糖度を上げる方法は、成熟日数を伸ばすことや、光合成をしっかりさせること。

ただし、根本的な解決のためには、糖度が高い品種を選ぶことである。

果皮に傷がつく

夏秋イチゴの出荷でのトラブルで多いのが、果皮の傷。

イチゴは果皮がデリケートなので、収穫するときや選別するときの接触で、果実に傷がついてしまう。

なので、果実を扱うときには細心の注意を払おう。

また、出荷資材を検討して、輸送時の痛みも減らそう。

白ろう果実の発生

サマープリンセスやすずあかねには、白ろう果という着色異常が発生する。

白ろう果の発生には日射不足が関与しているという研究報告があったが、以前有効な対策は見つかっていない。

なので、白ろう果の発生が少ない品種を選んだ方がリスクは少ない。

果実の小玉化

夏秋イチゴは7月のピークをすぎると、果実がどんどん小さくなってしまう。

これは株の栄養条件が関与しているので、適正な液肥管理と摘果処理を心がけよう。

また、果実サイズには品種の影響も強いので、大玉の品種を選択しよう。

病害虫の多発

夏秋イチゴが栽培される4月から11月は、病原菌や害虫にとっても快適な環境なので、病害虫の被害が問題になる。

トラップシートを使って発生を即座に発見し、早期防除・予防的防除を徹底しよう。

特にホコリダニや炭疽病が発生すると、イチゴが全滅する危険性もある。

 

8.夏秋イチゴの販路

次は、夏秋イチゴの販路について。

地元のケーキ屋

夏秋イチゴの主な販路は、まずは地元のケーキ屋さん。

中規模の洋菓子屋と夏場に契約できれば、毎週いちごを出荷できる。

製菓製造メーカー

製菓製造メーカーと契約できれば、大量のイチゴを出荷できる。

ただし、納期や量を守らないといけないので個人では難しく、農家グループで出荷するのが現実的。

都市部の青果市場

夏場でも大量のいちごをさばけるのは、都市部の青果市場だ。

大口の販路として市場の卸売企業を抑えておくと安心。

直売所、スーパー

近所に直売所やスーパーがあれば、そこに少量だけ生食用として卸すのもおすすめだ。

夏場のいちごは大量に売れることは望めないが、物珍しさから少しは売れるだろう。

 

 

9.夏秋イチゴの六次産業化

次は、夏秋イチゴの六次産業化について。

農林水産省は「農業の六次産業化」を推進する立場を取っているので、六次産業化をすれば補助金が取りやすい。

参考:農家の生きる道は六次産業化?一次産業サミット@長野県伊那市コワーキングスペースDEN

夏場のいちご狩りで観光農園化

夏いちご農家ではあまり先行事例がないが、冬いちごでは観光農園化が一般的だ。

大型の観光バスが停められる駐車場を用意して、観光ツアーを誘致できれば収益源になる。

最近では外国人観光客もいちご狩りに夢中だそうなので、夏場でも面白いかもしれない

ただし、夏場のビニールハウスの中はサウナ状態なので、観光農園化には工夫が必要だ。

ソフトクリームと合わせて販売

苺は乳製品との相性が良いので、ソフトクリームなどの乳製品と合わせて販売している農園もある。

近くに牧場があればコラボするのもいいだろう。

ジャム加工

イチゴを栽培していると、どうしても売れない「クズイチゴ」が発生する。

一般的にはこのようなクズイチゴは、冷凍されジャムに加工されることが多い。

冷凍イチゴのかき氷、ドリンク

冷凍イチゴを使ったドリンクやかき氷の販売も可能だろう。

 

 

 

夏イチゴの産地

最後に、夏イチゴの産地について紹介しよう。

夏イチゴを育てるためには、夏季冷涼な気候が必須なので、主に北海道、東北地方、長野県で栽培されている。

1.北海道

多くの農作物と同じように、夏秋イチゴの最大産地もやはり北海道。

もう、北海道の面積はずるくない?

栽培方法

北海道では、主に高設栽培で夏秋イチゴが栽培されている。

主要品種

北海道の主要品種は、株式会社ホーブのペチカ・シリーズと、ホクサン株式会社のすずあかね。

売り先

北海道からは全国へイチゴが出荷されている。

 

2.東北地方(青森、秋田、山形、宮城)

東北地方の中でも、夏秋イチゴが盛んな県は青森、秋田、山形、宮城

夏に吹く涼しい風”やませ“が、夏秋イチゴ栽培に最適といわれている。

栽培方法

東北地方では、土耕栽培がメイン。

新規就農者は高設栽培を選択することが多い。

主要品種

東北地方の主要品種は、ペチカ・シリーズやすずあかねなど。

売り先

主に東京などの関東圏へ出荷されている。

 

長野県

長野県も夏季冷涼な気候を生かして、夏秋イチゴ栽培が盛んだ。

栽培方法

長野県のほとんどの夏秋イチゴ農家が、高設栽培を取り入れている。

特に栽培面積が大きいのは、東信地域にある佐久、野辺山地域

一昔前に高原野菜で潤った地域に、今はレタス御殿ではなく”夏イチゴ御殿“が建っている。

主要品種

長野県の主要品種は、すずあかね、サマープリンセス、そして信大BS8-9。

長野県の夏秋イチゴの強みはなんといっても、品種の質の高さだ。

売り先

長野県産の夏秋イチゴは、主に関西圏へ出荷されている。

 

その他の夏秋イチゴ産地

小規模ではあるが、北海道、東北地方、長野県以外にも夏秋イチゴを育てている地域がある。

富士山麓の山梨県、静岡県

山梨県から静岡県にまたがる富士山麓の高標高地でも、夏イチゴが生産されている。

西日本(四国、九州)の高標高地

四国や九州の標高が高い地域では、涼しい気候を生かして夏イチゴが栽培されている。

 

 

まとめ

今回は夏イチゴ(四季成り性イチゴ)についてご紹介した。

ぼくはこのイチゴについて、大学と大学院で4年間研究と農家へ指導していた。

そして、その経験を生かして、今では日本や海外で日本式のイチゴの育て方を教えている。

 

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宮﨑大輔の紹介

一眼レフカメラを握る宮﨑大輔

宮﨑大輔 Daisuke Miyazaki

【職業】

■農業コンサルタント

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【農業経歴】

1988年 長野県飯田市のリンゴ農家に生まれる

2011年 信州大学在学中に、実家のリンゴジュースを東京のマルシェやネットで販売する

2013年 信州大学大学院で農学修士号取得

2013〜2015年 青年海外協力隊として中米パナマ共和国で2年間農業ビジネス支援

2015年〜 農業コンサルタントとして日本、アジア、アフリカで、苺ビジネスのコンサルティング中

・テレビ出演(TBSあさチャン
・週刊誌監修(女性セブン
・書籍の監修多数

【トラベルフォトグラファー経歴】

2013〜2015年 中央アメリカで写真撮影を始める

2015〜2017年 世界20カ国を旅しながら風景写真を撮影

2017年〜 日本や海外で人物撮影、企業撮影、イベント撮影を行う

世界中の写真をInstagramにアップしています。

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