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青年海外協力隊が教える!途上国へ新しい技術を定着させる6つの秘訣【調査、体験、伝統技術、アイデア、普及】

      2017/01/17


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有機肥料の講習会

途上国へ新しい技術を定着させる秘訣

ぼくは青年海外協力隊・野菜栽培隊員として、中米パナマ共和国で2年間農業技術を普及した。

活動期間中には農業技術だけでなく、改良カマドや衛生改善の指導も行い、幅広い分野で普及活動をした。

普及した技術のうち定着した技術もあるが、定着しなかったものもある。

新しい技術を普及することは簡単だが、定着させることはとても難しいのだ。

青年海外協力隊は途上国へ新しい技術を普及しているが、そのほとんどは定着することなくボランティアの帰国後に消滅している。

そのため、ぼくは2年間とにかく継続性が高い活動を普及するように考え、工夫して活動した。

そこで今回は青年海外協力隊として意識していたこと、実践していたことを6つ紹介しよう。

これから青年海外協力隊として活動する人や、発展途上国で新しい商品やサービスを普及したい人の参考にしてほしい。

< 途上国へ新しい技術を定着させる6つの秘訣 >

1.対象者の生活、文化、宗教、家族構成、歴史などすべてを調べる

2.途上国の慣行技術を自分の体で体験する

3.途上国の役に立つのは、日本の伝統的な技術

4.慣行技術と新しい技術を比較する

5.現地住民のアイデアを取り入れ、適応させる

6.普及を繰り返す

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1.対象者の生活、文化、宗教、家族構成、歴史などすべてを調べる

まずは、新しい技術を普及させる対象者のことを理解しよう。

(1)対象者が必要としていることを知るため

対象者の生活、文化、宗教、家族構成、歴史など、ありとあらゆることを調べよう。

対象者のことを知らないと勝手なボランティアの勘違いで、必要がない技術や適さない技術を教えてしまうことになるからだ。

国際協力の世界では「ボタンのかけ間違い」と呼ばれているが、実際に外国人が相手にとって全く必要がない技術を教えてしまうことは多い。

例えば、文字が読めない村人に本を配ったり、ガスコンロを持っている人に改良カマドを教えることがある。

 

火をおこす

 

 

(2)対象者のことを調べながら活動すべき

ぼくは活動集落である無電化集落に、30回以上足を運び、50晩以上泊まり込んで対象者の農民の暮らしを学んだ。

しかし、2年間一緒に活動していても、すべてを理解することはできない。

未だに集落に行くたびに新しい発見があるほどだ。

なので、すべてを理解してから活動するのではなく、対象者のことを調査しながら活動していくしかないだろう。

 

山奥の集落の子供

 

(3)経済発展度も調べるべき

農村調査をするときには、慣行技術の他に特に経済発展度も調べておこう。

活動する場所が電気も水道もないような山奥の集落なのか、それとも電気と水道はあるが交通手段は馬を使う村なのか、それとも自家用車を持つ町なのかで必要とされる技術は全然違う。

 

村人が技術を受け入れるとき

 

農業技術普及の参考本「村人が技術を受け入れるとき」という本には、「経済発展度と農業技術発展度の交点を探すべき」と書かれている。

農業や保健、衛生などすべての問題は経済発展の影響を受けるので、新しい技術を定着させるためには経済発展のレベルを把握しておこう。

 

首都パナマシティ

 

 

 

2.途上国の慣行技術を自分の体で体験する

新しい技術を普及させる前には、必ず自分の体で途上国の慣行技術を体験しよう。

(1)最も理解できるのは体験すること

どんな技術を使っているのかは村人から話を聞けば想像できる。

しかし、想像するのと実際にやってみるのとでは全然違う。

 

例えば、ぼくは焼き畑農業をしていると聞いたので、実際に木の伐採から種播き、収穫作業まで一通りの作業を体験することにした。

実際に体験したことで村人が肥料を使わない理由や、朝から酔っぱらっている理由を知ることができた。

体験することで本当の意味で理解することができる。

 

イネの調査をしている様子

 

 

(2)本当の問題を学べる

実際に自分で体験することで、本当の問題を知ることができる。

例えば、ぼくは改良カマドを2つの集落で普及したが、ひとつの集落では定着し、もうひとつの集落では消滅した。

定着した集落は人口が多く山の土地の奪い合いが起きていたが、消滅した集落は人口が少なく土地は余っていた。

そのため、「定着した集落は燃料の薪を入手するのが難しいため、薪を節約できる改良カマドが定着した」と考えられる。

 

これが発覚したのは、ぼくが三ツ石カマドで料理を作るために薪拾いを行ったからだ。

 

改良かまど3

 

 

(3)必要な新しい技術を考えるきっかけになる

慣行技術を体験することは、必要な新しい技術を考えるきっかけになる。

例えば、焼き畑農業を実際に行ったことで、村人が野菜を育てるときに畑を耕さず、肥料も使わない理由がわかった。

だからこそ、野菜栽培のためには、畑を耕すことと肥料を与えることを教える必要があると気づいた。

焼き畑農業を体験しなければ、農民とぼくの意識の違いを知ることはできなかっただろう。

 

イネの播種間隔

 

 

 

3.途上国の役に立つのは、日本の伝統的な技術

途上国の役に立つのは、日本の伝統的な技術だ。

(1)途上国は日本の数十年前の姿

途上国は日本の数十年前の姿をしている。

パナマのように経済成長期の国もあるし、まだまだ経済発展し始めない国もあるが、それらは日本が通ってきた状態だ。

日本の過去を参考にすることで、途上国の今に生かすことができる。

 

東京の高層ビル

 

(2)日本の最新技術が役に立つとは限らない

途上国は一部の都市部を除き、日本よりも経済発展していない。

そのため日本とは環境が違い、日本の最新技術が役に立つとは限らない。

 

例えば、日本の水耕栽培や植物工場の最新技術は、パナマには役に立たない。

なぜならば、パナマには正確に工場を作るような技術がないし、人件費が安いからだ。

最新式の全自動植物工場を作るくらいなら、人を雇って畑を耕した方がいい。

参考:施設園芸農業のメリット&デメリット!日本と海外の点滴灌漑&養液土耕&LED水耕栽培&植物工場(太陽光利用型・完全閉鎖型)

 

水耕栽培の大きなトマト

 

(3)日本の伝統的な技術が適応する

途上国には日本の伝統的な技術が適応することが多い。

アフリカなどで青年海外協力隊が普及している改良カマドは、元をたどると日本の農村の伝統的な技術だ。

参考:す、すご過ぎる!三ツ石竃を使っていたコミュニティの村人が開発した「五連式改良カマド」の作り方

 

例えば、日本の稲わらマルチも伝統的な技術だが、ビニールマルチが売っていないパナマでは最適な技術だ。

参考:稲わらマルチ栽培の家庭菜園での使い方&ビニールマルチをきれいに張る方法&マルチングの種類と効果

 

家庭菜園の稲わらマルチ栽培

 

 

 

 

4.慣行技術と新しい技術を比較する

新しい技術を普及することになったら、すべてを新しい技術に変えるのではなく、慣行の技術と比較しながら普及しよう。

(1)新しい技術だけを伝えると効果がわからない

新しい技術を伝えるためには、それだけを伝えるのではなく、慣行の技術と比較することで伝わりやすくなる。

特に新しい技術が慣行技術よりも作業が面倒くさかったり、費用がかかると対象者がマイナスイメージを抱いてしまう。

 

レタスと赤カブのポット育苗

 

(2)慣行技術と比較して、目で見てメリットがわかるように伝える

そのため、慣行技術を教えるためには、目で見てメリットがわかるように比較しよう。

例えば、農業では肥料を与えた株と与えていない株を隣り合った畝で栽培することがおすすめだ。

参考:青年海外協力隊にクビ宣告をした上司に実験の報告書を提出すると?

 

インゲンマメの雑草マルチ栽培の比較

 

(3)選ぶのは対象者

実際、新しい技術を使い始めるか決めるのは、ボランティアではなく対象者だ。

そのため、対象者の価値観で技術を選べるように技術の比較して伝えよう。

村人と話す

 

 

 

 

5.現地住民のアイデアを取り入れ、適応させる

新しい技術を現地住民に伝えたら、彼らからのアイデアや意見、不満を聞いて、それを新しい技術に取り入れよう。

(1)新しい技術に対する意見を聞く

新しい技術を教えたら、それで終わりにせずに村人から意見を聞こう。

村人の視点にはボランティアにはない要素があり、普及活動を改善するヒントがもらえるはずだ。

 

村人に囲まれるボランティア

 

(2)不満やアイデアが出たら改善すべき

新しい技術について不満やアイデアをもらえたら、それを取り入れて改善させよう。

実際に実行する村人の意見が一番大切だ。

 

村で話すボランティア

 

(3)適応技術かそうでないか

新しい技術が適応技術かそうでないかは、対象者の意見で判明する。

対象者が気に入ればその技術はその土地に残るが、そうでなければ消滅する。

 

籾殻燻炭の作り方

 

 

 

6.普及を繰り返す

普及させる新しい技術を決めたら、何度も繰り返し指導しよう。 

(1)どんなに素晴らしい技術も一回では定着しない

どんなに素晴らしい技術も一回では定着しない。

何度も繰り返し指導する必要がある。

 

バナナの葉マルチを手伝う子供

 

(2)改善しながら繰り返し教える

そして、ただ同じことを教えるのではなく、少しずつ村人の意見を聞きながら改善させていこう。

例えば、有機肥料作りならばその地域で手に入る材料に変えて、その地域に適応させるべきである。

参考:高倉式コンポスト(JICA推奨の微生物発酵液型)を、容器が不要で簡単な作り方へ改良したコンポスト有機堆肥の作成方法

 

有機肥料の講習会

 

(3)ボランティア抜きで実践させる

対象者に新しい技術が伝わったら、最後にボランティア抜きで実践させよう。 

ボランティアが関わらずに実践することで新しい問題が発生するかもしれないが、それを先に知らないとボランティアが帰国後に消滅してしまう。

そのため、ボランティア抜きで発生した問題を、任期中に解決させよう。

ボランティアは自分が日本へ帰国することを考慮して、ボランティア抜きで活動が継続できる仕組みを作るべきだ。

 

例えば、ぼくの場合には野菜栽培の種の入手をボランティアに依存していたので、二年目はとにかく村人だけで野菜の種が入手ができるようになることを目標にして活動していた。

参考:メタファシリテーション9ヶ月間!フィールド調査団の野菜ビジネス計画が村人主導で始動した。

かんたんな種取り

 

 

 

まとめ

2年間、青年海外協力隊として活動したぼくが考える「途上国へ新しい技術を定着させる6つの秘訣」を紹介した。

1.対象者の生活、文化、宗教、家族構成、歴史などすべてを調べる

2.途上国の慣行技術を自分の体で体験する

3.途上国の役に立つのは、日本の伝統的な技術

4.慣行技術と新しい技術を比較する

5.現地住民のアイデアを取り入れ、適応させる

6.普及を繰り返す

これから青年海外協力隊として途上国で活動する人や、途上国でサービスや商品を定着させたい人に参考にしてもらいたい。

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長野県飯田市のリンゴ農家に生まれる→信州大学大学院で農学修士号取得→青年海外協力隊の野菜栽培隊員として中米パナマ共和国で2年間農業ビジネス支援→フリーランスの農業コンサルタントとして日本、アジア、中南米、アフリカで、日系企業から依頼を受け5カ国で農業ビジネスのコンサルティングを行っている。

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