ローメンはまずい?長野伊那(うしお・萬里)の羊肉と蒸し麺のB級グルメ・ローメンは外国人にウケるか?

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目次

長野県伊那市のローメン

長野県伊那市には「ローメン」というB級グルメが存在する。

これは昨今のB級グルメブームに乗るために新しく作られた料理ではなく、昔から地域住民に愛されてきた郷土料理である。

簡単に説明すると、ローメンとは蒸し麺と羊肉を使った焼きそばである。

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伊那市内にローメンを出す店は30軒以上ある。

しかし、実はローメン道の奥は深く、蒸し麺ではなく生麺を使っているお店や、羊肉ではなく豚肉を使っているお店、焼きそばのように汁がないお店やうどんのように汁が多いお店など、「ローメン!」と注文しても出てくる料理にはお店によりかなり差がある。

このようにバラエティに富んだ料理のため、「俺は汁が多いのが好きだから、萬里派だね」とか「僕は、うしおで超超しか頼まないよ(上の写真がそれ)」というように決まった店に行くようになる。

 

 

B級グルメローメンはテーブルクッキング

他にもローメンには「テーブルクッキング」という特徴もある。

これはお店で出されたローメンに対して、テーブルに置いてある調味料を使って自分で好きなように味を付けるというテクニックのことだ。

一般的には、【ウスターソース→酢→ごま油】の順番に味を付けていく。

お店によっては、七味唐辛子やカレー粉が用意されている場合もあるが、マヨネーズは決してかけてはいけない。

ローメンはこのテーブルクッキングを前提とした料理のため、提供された時点の味付けはかなり薄味になっている。

何も味を足さずに食べると、「なにこれ、味うすっ!」とびっくりすることになるので、ローメン初心者はまずはローメン経験者と一緒に食べに行き、テーブルクッキング・テクニックを教えてもらうことをお薦めする。

ローメンについて知りたくなった人はこちらのサイトを見て欲しい → 伊那ローメンズクラブ

 

6月4日は蒸し麺のローメンの日

毎年6月4日は【64=蒸し】ということで、蒸し麺が特徴であるローメンの日に認定されている。

それに合わせて、信州大学農学部では「ローメン食べ歩き大会」を開催してきた。

これは伊那ローメンズクラブ加盟店を巡りローメンを食べると、スタンプカードにハンコを押してもらえるというスタンプラリーだ。

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この大会に僕は友人と毎年参加し、2日間で30軒全店制覇した年も合わせて、2回チーム優勝している。

おそらく20歳代では、世界で一番ローメンを愛している男だろう。

もはやローメン王子と呼ばれてもおかしくない。

 

ローメン王子の日本みやげは、やっぱりローメン

ローメン王子は4月22日まで日本に一時帰国していた。

もちろん目的はローメンをお腹いっぱい食べるためだったので、うしおで超超を2回食べた(超超とは超・超大盛りの略)。

日本での休暇はあっという間に過ぎ、パナマ共和国に帰ることになったので、パナマに待っているホストファミリーへの日本みやげを準備することにした。

ローメン王子の日本みやげはもちろん、「家庭用ローメンセット」である。

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実は店頭には、パッケージにロメンくんが写っているバージョンとウマカローが写っているバージョンの2種類があったが、僕は迷わず伊那ローメン新キャラクターのロメンくんを選んだ。

2年前に行われた新キャラクターを選ぶための伊那ローメン総選挙では、僕はロメンくんに一票を投じていたからだ。

 

意外とローメン、外国人にウケるんじゃね?

ローメンを日本みやげとして持って帰ったのには、訳がある。

ひとつは、ローメンの人気がないからだ。

ローメンの知名度は低く、伊那市民以外でローメンを食べたことがある人はほとんどいない。

しかもローメンを初めて食べた日本人の80%は、ローメンを「まずい」と表現する(ローメン王子調べ)。

しかし僕はパナマ人にローメンを気に入ってもらえる、という密かな自信があった。

確かにローメンの麺は蒸し麺のため軟らかく日本人には嫌われるが、パナマ人の食べているスパゲッティは給食のソフト麺バリに激軟なので、蒸し麺も受け入れられると予想した。

またニンニクと羊肉の香りが強烈で日本人には嫌われるが、パナマ人んはニンニクや香辛料の強烈な香りを好むので、ローメンの匂いも受け入れられると予想したのだ。

「日本人に受け入れられないローメンも、地球の裏側に住むパナマ人には意外と好まれるのでは?」

まさかの、海外でのローメンブーム!

となれば、日本でもローメンの人気に火がつくのではないか。

そんな期待を抱きつつ、僕はローメンを作り始めた。

 

焼きそばではありません、伊那市のローメンです。

まずは家庭用ローメンセットを開ける。

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中には、真空パックの蒸し麺と羊肉入りのスープが入っていた。

 

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スープに水を足して、麺を入れる。

 

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ざく切りキャベツを入れて、一煮立ちさせる。

 

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炒めるというより煮ている。これはスープローメンと呼ばれる、汁ありタイプだ。

「あら、焼きそばを作っているのね」とホストファミリーのママが声をかけてくるので、「これは焼きそばではありません、長野県伊那市のB級グルメ・ローメンです!」と説明する。

 

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ちなみに作り方は箱の裏面に書いてあるので、初めての人でも簡単に作れる。

 

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あっという間に完成!

今回は調味料がないので、テーブルクッキングはなし。

代わりに煮込むときの水を少なめにして、味を濃い目にした。

 

生まれて初めてのローメンを恐る恐るすする

ニンニクと羊肉の独特な香りがキッチンからリビングに流れ込み、さっそくママの娘が反応した。

 

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娘がローメンをフォークですくい、パクッと一口食べてみる。

「どう?」と尋ねるが、娘は無言のまま二口目に手を伸ばす。

その様子を見ても、ママはまだ食べようとしない。

「ダイスケが日本料理を作ったわよ!」と息子を呼び寄せる。

 

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息子は蒸し麺をクルクルッとフォークで巻いて、恐る恐るすする。

「どう?」と尋ねるが、彼は無言でキッチンに行き、水を飲んだ。

その様子をママはじっと見ている。

 

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意を決したようにママが麺を絡め取る。

 

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ガバッと大きな一口で食べたが、二口目は口にしなかった。

生まれて初めてローメンを食べたパナマ人3名の評価は「ローメンはまずくはないけど、美味しくもない」だった。

 

ローメンの未来、伊那市の未来

僕の目論見は見事に外れ、ローメンはパナマ人にも不人気だったので、ローメンブームは起きそうもない。

ローメン海外進出の夢は遠のいた。

長野県伊那市のB級グルメ「ローメン」は世界進出を狙うよりは、これからも地元で愛され続けるべきなのかもしれない。

伊那市には、駅の無人化について話し合うワールドカフェから派生した「ゆるっと赤シャツワークショップ」という高校生を中心とした市民団体や、「逃走中!in 伊那」を企画する若者集団もいる。

行動力がある若者が大人の助けを借りながら、行動を起こしている。

伊那市にとってローメンと同じくらい、いやそれ以上に若者は宝だ。

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ローメンだけを商品化して宣伝に力を入れて単体で外に売り出すよりは、若者主催のイベントなどで伊那市に人を呼び込み、豊かな自然、ローメンなどの郷土料理、面白い人物や個性的なお店で総合的に伊那市の魅力を伝え、伊那のファンを増やすべきなのかもしれない。

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ローメンの未来を考えることは、

伊那の未来を考えることかもしれない。

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